カレーうどん

カレーを応用したメニューのひとつにカレーうどんがあります。カレーうどんはうどん屋をはじめ、学校の給食や食堂の定番メニューとして広く人気があり、カレーうどんの専門店も多く存在しています。
カレーうどんのカレーはごはんにかけて食べるカレーとは違います。カレー粉にだし汁やうどんのつゆを加え、好みで醤油やみりんなどを加えて和風テイストに仕上げているのです。具材は玉ねぎ、長ねぎ、豚肉、関西では牛肉が一般的で、とろみをつけるために片栗粉を入れます。その他ににんじん、玉ねぎなどの野菜、油揚げ、斬新なものではチーズなど、バリエーションに富んだ具材が使われているようです。

はじめてカレーうどんが登場したのは明治時代。1904年、早稲田の「三朝庵」からカレーうどんの元祖が初めて世に送り出されました。当時は奇妙な西洋料理として訝しげられていましたが、カレーが国民に浸透していくのに合わせて広く受け入れられるようになったそうです。

またうどんではなく、蕎麦にカレーをかけたものはカレー南蛮と呼ばれます。南蛮とは唐辛子を指すのではなく、大阪の難波を意味しています。この場所で採れた長ネギが材料として使用されたため、難波→なんば→南蛮と転じていったということです。

レトルトカレーの誕生

インスタント世代とは良く言いますが、このときにその言葉の普及に一役買ったのではと思われるのがレトルトカレーの誕生です。いまやレトルトカレーは自然に生活に根付き、手軽に食事を取る際に活躍するメニューとなっています。

そんなレトルトカレーの誕生は昭和44年。大塚食品工業から画期的な新製品として「ボンカレー」が発売されました。ボンカレーという名前はフランス語のBON(おいしい)と英語のCURRY(カレー)を組み合わせた商品名です。熱湯で3分間温め、ご飯にかけるだけで食べられるというその手軽さが大好評。ついにボンカレーは自動販売機でも販売されるほどのヒット商品になりました。
レトルトカレーは大塚食品ではなく大塚化学株式会社によって開発されました。海外で既に開発が進められていたレトルト食品に注目し、カレーを新しい容器に入れての販売を思いついたのです。しかし、レトルト食品を開発しようとしてまず悩まされたのが袋の問題。これは本家アメリカの宇宙食の開発においても随分難儀した点で、その為に商品化が遅れていたといいます。
初代ボンカレーは透明の袋に入っており、保存期間も60日までと保存食品としては短い期間しか保存がききませんでした。しかもフィルムの中の空気抜きがうまくいかずにカレーが酸化してしまうという問題点などもあった為、あまり売り上げとしては芳しくないスタートを切ることになります。

その後試行錯誤を重ね、アルミ箔をプラスチック材でサンドイッチにした遮光性に優れた3層パウチを完成させました。光を遮断し空気も通さないアルミをプラスチック材でサンドすることで強度の面も保存の面も優れたパッケージを作ることができたのです。このパッケージは特許も取得し、カレー業界のみならず包装業界にも影響を与えました。


何も調理が要らずにすぐにカレーが食べられるという便利さ、缶詰よりも軽くかさばらずなべも汚さないという手軽さが日本のライフスタイルに合致したことで、爆発的なヒット商品として広まっていくことになったのです。

スープカレー

北海道・札幌の新しい名物として大人気を呼んでいるスープカレー。スープカレーが世に知れ渡ったのは最近ですが、スープカレーの原型がはじめて登場したのは1970年代。インドカレー、スリランカカレーという名前で様々な店でスープカレーが出されていました。スープカレーという名前が出てきたのは1990年代になってからのようです。

スープカレーと普段食べているカレーとの一番の違いは固形のルウを使わないこと。小麦粉やバターが使われていないのでとろみがなく、さらっとした液体状です。
やはり注目すべきはスパイスの効いたこだわりのスープ。豚や鶏がらでしっかり旨みを抽出し、これをベースにトマトで風味を整えるのがポピュラーな作り方。鰹節など日本のダシを使って和風テイストにしてみたり、スパイスの種類や強さに特徴を持たせるなどのオリジナルの味を追求している店もあるようです。
肉はチキンレッグがまるまる1本入っているのが一般的ですが、ポークやラム肉、ベーコンを使う場合もあります。具材にはおおぶりの人参やじゃがいも、ピーマン、しめじ、オクラ、ブロッコリー、卵などの他、ほたてやえびなどの魚介類などを入れ、様々な具の調和が楽しめるメニューです。

スープカレーは店舗によってスープも具もスパイスも様々なので、札幌名物のラーメンと同様にバリエーションが豊富かつ楽しい料理だといえますね。

シナモン

八つ橋にまぶしてあるニッキの通称で有名なシナモン。甘くそしてぴりっと辛みの効いた独特の風味が特徴です。シナモンといえばドーナツ、りんごやフルーツの焼き菓子などがお馴染みです。しかしこれもれっきとしたスパイスの一つでインド料理にも欠かせません。

原産地はエジプトから中国・ベトナム地方ですが、現在は日本を含め熱帯地方ならどこでも生息しています。厳密にいうとシナモンと呼ばれるのはスリランカ産だけで、近種のシナニッケイをから作られるものをカシア、日本産のものはニッキ(肉桂)と分類しています。その歴史は古く、紀元前4000年頃にはエジプトのミイラ作りに防腐剤として使用されていたということです。また、旧約聖書や古代ギリシャの詩、中国の薬学書、日本では正倉院の書物の中でシナモンについての記述があります。実際に樹木が輸入されて、香辛料に使われ始めたのは江戸時代からですが、最古のスパイスとして長い歴史を持っているのです。

シナモンはクスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたもの。まるめてスティック状にしたものと、パウダーにしたものが売られています。カレーで使用する場合は香りづけが目的。固形の場合は油で炒め、パウダー状のものは他のスパイスと調合して使います。入れすぎると苦味が強く出すぎてしまうので、配合量の目安は他のスパイスに対して9~13:1の割合。大体この範囲内で微調整してみてください。