レトルトカレーの誕生

インスタント世代とは良く言いますが、このときにその言葉の普及に一役買ったのではと思われるのがレトルトカレーの誕生です。いまやレトルトカレーは自然に生活に根付き、手軽に食事を取る際に活躍するメニューとなっています。

そんなレトルトカレーの誕生は昭和44年。大塚食品工業から画期的な新製品として「ボンカレー」が発売されました。ボンカレーという名前はフランス語のBON(おいしい)と英語のCURRY(カレー)を組み合わせた商品名です。熱湯で3分間温め、ご飯にかけるだけで食べられるというその手軽さが大好評。ついにボンカレーは自動販売機でも販売されるほどのヒット商品になりました。
レトルトカレーは大塚食品ではなく大塚化学株式会社によって開発されました。海外で既に開発が進められていたレトルト食品に注目し、カレーを新しい容器に入れての販売を思いついたのです。しかし、レトルト食品を開発しようとしてまず悩まされたのが袋の問題。これは本家アメリカの宇宙食の開発においても随分難儀した点で、その為に商品化が遅れていたといいます。
初代ボンカレーは透明の袋に入っており、保存期間も60日までと保存食品としては短い期間しか保存がききませんでした。しかもフィルムの中の空気抜きがうまくいかずにカレーが酸化してしまうという問題点などもあった為、あまり売り上げとしては芳しくないスタートを切ることになります。

その後試行錯誤を重ね、アルミ箔をプラスチック材でサンドイッチにした遮光性に優れた3層パウチを完成させました。光を遮断し空気も通さないアルミをプラスチック材でサンドすることで強度の面も保存の面も優れたパッケージを作ることができたのです。このパッケージは特許も取得し、カレー業界のみならず包装業界にも影響を与えました。


何も調理が要らずにすぐにカレーが食べられるという便利さ、缶詰よりも軽くかさばらずなべも汚さないという手軽さが日本のライフスタイルに合致したことで、爆発的なヒット商品として広まっていくことになったのです。