カレー健康法

カレーの隠されたパワーを皆さんはご存知ですか?カレーは美味しいだけでなく、体に良い食べ物なのです。
カレーの本場インドでは、食事で摂取するもの自体が病気の治療や予防してくれるという「医食同源」の考え方が一般的で、これはインドのどの地域でも共通です。カレーにふんだんに使われるスパイスは、調味料としてはもちろんのこと、古代から薬としても用いられてきました。つまり、何種類ものスパイスを使って作られるカレーは薬の宝庫といえます。
では、カレーを食べるとどのような効果が得られるのでしょうか?
まず、カレーの辛さには脳の血流を良くしてくれる効果があるため、脳の活性化や眠気覚ましに効きます。また、新陳代謝を良くして体温も上げてくれるので冷え性を解消してくれると同時に肥満予防効果もあるようです。しかも、カレーに入れられる黄色の成分・ウコンは万能薬です。最近の実験では、アルツハイマー病を防ぐ効果もあると明らかになりました。実際に米国人に比べインド人は発症率が4分の1だとか。しかも、辛いものを食べるとアドレナリンが分泌され、筋力も一時的に上がるという説もあります。
このように、カレーは人間にいくつものパワーを与えてくれます。暑さでエネルギーを消費してしまう夏にはぴったりの食べ物です。それだけではありません。新陳代謝が活発になると汗をかきやすくなりますが、その汗が体内の熱を奪ってくれるのです。暑い国であるインドで辛いカレーができたのも、体の仕組みをうまく活かした人間の知恵があったからなのですね。
日本でもカレー消費のピークは7・8月の真夏です。赤道付近の国には辛い料理が多いことからも、暑さをしのぐために辛さを求めるのは世界共通のようです。人間の本能的な行動なのでしょう。

カレーと軍隊

「腹が減っては戦はできぬ」ということわざ通り、エネルギーを激しく消耗する軍隊の兵隊達と食事は切り離せないものでした。
明治時代の海軍では脚気(かっけ)が流行り、それにかかって死ぬ者もいました。これは食事に原因があると考えられ、英国海軍に習って洋食を取り入れることになります。その一つにカレーが選ばれ、軍隊の食事に採用されました。また、軍隊にはいつ戦乱が起こってもいいように「食事は作り方が簡単で栄養があって一度に何十人分も大量に作れるものであること」という内容の規則があったほどでした。この三拍子そろった条件にまさしくカレーはうってつけだったのです。そして一説では、地方出身の兵隊たちが軍隊から除隊したり休暇で帰ったりした時に、各家庭で兵隊時代に食べたカレーを再現したため全国各地にカレーが普及したと言われています。
現在、実際の海上自衛隊でもカレーは伝統のメニューとして艦艇や部署ごとに独自の秘伝レシピでそれぞれ作られています。隠し味にワイン、小豆やコーヒー、中にはコカコーラ・ブルーベリージャムを入れる等、それぞれの艦艇や部署ごとに特色があるそうです。味はかなり高レベルで一般の西洋料理店よりもおいしいため、海軍自衛隊カレーの味に惚れ込んで入隊する人まで実際いるとかいないとか。
また、日本人におなじみのご飯の上にかけて食べる「カレーライス」の原点が海軍カレーです。ちなみに横須賀海軍カレーは、カレーだけでは不足しがちなカルシウム・葉酸を牛乳とサラダをつけて3点セットで出すのが定番のメニューだとか。
よく耳にする話ですが、今でも日本の海上自衛隊は航海中に曜日がわからなくならないよう、毎週金曜日にはカレーを食べるそうです。カレーを作る日はわからなくならないのですかね・・・。

カレーは一晩ねかせるとなぜおいしい?

作った日に出来たてを食べるのも美味しいですが、次の日の朝になって食べるカレーは不思議とコクや旨みが増していませんか?よく「カレーは寝て待て」という言葉を聞きます。一晩置くと味に変化が起こるのはどうしてなのでしょう。

カレーの中にはグルタミン酸と呼ばれる旨み成分が含まれています。作りたてのカレーと一晩置いたカレーに含まれるグルタミン酸の量を調べたところ、後者はグルタミン酸の量が1.5倍以上も増加していたそうです。これがカレーに深いコクや独特の甘みをもたらしてくれる原因なのです。

また熱を加えると肉や野菜に含まれる糖分、アミノ酸、たんぱく質などからも甘み・旨み成分が溶け出します。これらが時間をかけてゆっくりカレーに浸透し、ちょうど一晩経った頃に全体に行き渡り馴染んでくるということです。特に玉ねぎは旨み成分がぎっしり詰まっていますし、ジャガイモは味をまろやかにしてくれる効果があります。

スパイスも時間を置くほどカレー全体に馴染んでいきますが、再加熱することで風味や香りが徐々に弱くなってしまいます。初めに作った時のようにもっと風味を引き立てたいのなら、再びスパイスをブレンドして加えてみるといいでしょう。

カレーの隠し味

チキンなどの肉や魚介類のエキス、そしてスパイスなど、本格的なカレーを作る時はベースからそれなりのものを揃えます。
そこまでではないが家庭で作るカレーにちょっとした隠し味を入れたい!そんな場合によく使われる身近な調味料を挙げてみました。


醤油、だし・・さっぱりした和風味に近づきます。
ソース・・こっくりした濃厚さが加わります。
ケチャップ・・トマトの酸味が加わりさっぱりします。
インスタントコーヒー・・少し苦味が出て大人の味になると、人気のある隠し味です。
チョコレート・・甘さとコクが出てまろやかになります。
はちみつ・・味がマイルドになります。
ワイン・・酸味とコクが加わります。
ヨーグルト・・肉をつけ込むと柔らかくなります。
あめ色玉ねぎ・・玉ねぎをフライパンであめ色なるまで炒めたものです。甘くマイルドな味になります。


他にもすりおろしたりんご、チーズ、にんにく、ジャムなどカレーとは結びつかないような意外なものが隠し味として使われているようです。

いくつかの隠し味を少しずつ入れるとカレー全体が馴染み、全体的にバランスの取れた味になります。マイルドなカレーが好きだ、逆に少し苦味やコクがあるほうがいいなど、好みがはっきりしている人は特定の隠し味を多めに入れ、自分だけの味を追及してみてはどうでしょう。

こんなにバラエティーに富んだ調味料や嗜好品を隠し味として使える料理は他にありません。それだけカレーは独特の風味や味を持っているのですね。

カレーって何語?

カレーという言葉は既に日本でもすっかり浸透してしまっているので、今改めて何語かと問われると困ってしまうのではないでしょうか。漠然と英語かというのは想像がつきますが、それではその語源はどこになるのでしょう。
英語で書くとカレーは「CURRY」となりますが、これはヒンズー語の「おいしいもの」をあらわす「TURCARRI」から来ているといわれています。それが日本に来て「カリー」から「カレー」に変化していったということです。
他にはタミール語の「ご飯にかけるたれ」の意味である「カリ」から「カリー」という言葉ができたという説、釈迦が作ったスパイスを使った料理の「クーリー」から「カリー」となったという説(クーリーはヒンズー語でおいしいという意味)、インド北都の料理名「カディ」が由来となった説など多様な説があります。
これらの説以外にも多様な説が様々に言い伝えられているのは、さすが14の公用語をもつ多民族国家のインドならではというところですね。

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