カシア

カシアはシナモンと近縁のスパイスで、クスノキ科の木の皮を乾燥させて作ります。中国では紀元前2000年以上も前の書物に記録が残されているほど古い歴史のあるスパイスで、聖書にも清めのスパイスとしてその名が登場しています。

原産地はアッサム地方とミャンマーの北部で、今は中国やベトナム、アメリカでも栽培されています。

シナモンよりも甘さと苦味があり、風味が強くなるのが特徴で、塩気のある料理にぴったりです。中華料理に欠かせない五香粉の材料に使われるほか、マトンなどの羊肉料理にも使用されています。また東ヨーロッパや中央ヨーロッパ地方ではフルーツの煮付けやチョコレートなどの甘い菓子類にも利用されているそうです。

サボリー

ミントのようなさわやかさと胡椒のようなピリッとした辛さが特徴のサボリーは、ヨーロッパ南部の料理によく使われるスパイスです。ヨーロッパ東部やイランを原産とするシソ科の一年草で、フランスやユーゴスラビア、アメリカなどで栽培されています。ウィンター種とサマー種があり、どちらかというとサマー種のほうが香りがいいという定評があります。

サボリーは古代ローマの時代から野菜やソースの香りをつけるために使用されてきました。その刺激をそそる香りと、神話に登場するサテュロスという半人半獣が好んだ媚薬だったという説から、ほれ薬としても用いられていたそうです。

セボリーを使った料理というと、豆料理は欠かせません。スープやサラダをはじめ、いんげんやえんどうなどの豆料理には外せないスパイスです。そのため「豆のハーブ」とも呼ばれているんですよ。またソーセージや肉の詰め物にも使用され、セボリーで作ったセボリービネガーでマヨネーズやドレッシングを作るとスパイシーな香りが引き立ち、美味しさがアップします。

気になる効能ですが、消化促進やぜんそくの発作の沈静作用、冷え性などに効くといわれています。冬にぜひ取り入れたいスパイスですね!

トマト

トマトはナス科ナス属の果実で、真っ赤でぽってりした見た目がトレードマークの緑黄色野菜です。ケチャップの原料サラダ、またイタリアではピザやパスタのソースに欠かせない、なくてはならない存在です。

トマトは熟す前の皮の色でピンク系トマト(桃太郎)と赤系トマトに分類されます。日本ではトマト特有の酸味や風味が薄いピンク系が一般的ですが、欧米のトマトは濃い赤やオレンジ色をした、酸味の強い赤系がほとんど。また大きさによって大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトに分類されます。

トマトの代表的な栄養素はリコピン。リコピンは強い抗酸化作用を持っており、がんを予防するといわれています。他にはビタミンCやカロチンといった栄養素が含まれています

カレーには色や酸味を加える意味で赤系のトマトが向いています。フレッシュな生のトマトもいいですが、旨みが凝縮された市販の水煮缶やトマトピューレを使うとまた一味違った味わいになります。またトマトは国や地域、栽培農家によって色も味もバラエティに富んでいるので、カレーに合うお気に入りの種類を探してみるのも楽しいですね。

クチナシ

クチナシは東アジア一帯の山野に広く分布するアカネ科クチナシ属の常緑樹です。
語源は果実が熟してもなかなか割れないことから、「口無し」という意味でとらえられていったことに由来するそうです。別名サンサシとも呼ばれています。
日本では主に本州から南にかけて自生し、外国では中国やフィリピンも主要な産地。強い芳香を放つ純白の花をつけ、赤黄色の果実を実らせます。

果実は漢方薬で山梔子と呼ばれ、消炎や利尿効果を期待することが出来ます。また捻挫をした時は粉状にして湿布にしたり、止血剤として活用します。

園芸用としても人気がありますが、料理には果実を乾燥させて、着色料として利用します。
栗きんとんやサツマイモ、和菓子を黄色く色づけたい時に、熱湯で煎じて色を抽出した液体に素材を漬けたり、生地に混ぜたりします。
なんだか秋になると重宝されそうなスパイスですね。

カレーに合うお米

カレーはナン、フォカッチャ、イギリスパンと一緒に食べても美味しいですが、やはり日本人にとってカレーにご飯という組み合わせが最もポピュラーなのではないでしょうか。

以前カレーに合うライスとしてサフランライスやターメリックライスをご紹介しましたが、実は品種や銘柄によって、お米自体にカレーとの相性の良し悪しがあるのだといいます。

カレーに合うお米の条件のひとつに、カレーに絡みやすくなるため体積が小さく表面積の大きい、細長い粒がいいといわれています。またねっとりしすぎずパサパサした食感もカレーに向きです。そのような意味ではタイ米が有名ですが、パサつきが強すぎて苦手な人もいるかもしれません。

この二つの条件を満たすため、サリークイーンや華麗米といったカレー専用の米も開発されました。サリークイーンはインドの米と日本米を掛け合わせたもので、適度なパサパサ感と日本人好みの甘さが感じられます。華麗米は東南アジアのインディカ米と日本米を掛け合わせて作られており、表面は粘り気が少なく中はもちもちした弾力性があるという、まさにカレーライスのためのお米となっているのです。

カレー専用のお米で炊いたご飯にカレーをたっぷりかけたら、一体どこまで食べられるのでしょう。一度試してみたいものです。

きのこ

近年では、カレーにもよく入れられる食材、きのこ。
きのこは子実体という胞子を作る生殖器官を形成する菌類の総称で、昔から豊かな森の中で自給自足の生活を営んできた日本人にとっては大切な食文化です。

縄文時代の遺跡からはきのこ形土製品というきのこの形をした遺物が見つかっています。日本書紀や万葉集などの書物にもきのこを天皇に献上したり、貴族の間できのこ狩りが行われたりしたという記述が残っており、一般家庭できのこが身近に食されるようになったのは江戸時代からで、安定して栽培されるようになったのは大正時代に入ってからだといいます。

きのこは栄養たっぷりのヘルシー食材として、女性や諸外国の人々からも注目されています。食物繊維やミネラル、ビタミンD2、ビタミンBなどが豊富で、特に乾シイタケは食物繊維の含有量が全体の約40%にもなるのです。またきのこは日光に当たるとビタミンD2に変化するエルゴステロールという成分を含んでいるため、数時間日の光に当てるとその量は何十倍にも膨れ上がります。驚きですね。そして野菜と比べてタンパク質が多いことも特徴です。

シイタケやシメジ、なめこやエノキタケ、マッシュルームなどきのこには様々な種類がありますが、カレーでよく使用されるのはシメジやエリンギ、舞茸、そしてマッシュルームなど。きのこ特有の旨みを出すのはグアニル酸という成分で、それぞれのきのこのシャキシャキした食感もまた楽しみのひとつとなっています。

具の下ごしらえ

カレーを美味しく作るには下ごしらえが大切。風味や旨みを出すほか、素材そのものの味を一層引き出すことができるようになります。

たとえば、肉は余分な脂身を切り落とすと臭みが抜けますし、カロリーを抑えることができます。またクローブやナツメグ、オールスパイスを直接肉や魚にふりかけたり練り込んでおくと、臭み消し効果が得られます。ローレルやタイム、オレガノやセージは素材と一緒に煮込んで使うと効果的です。また、下味をつけたい場合はすり下ろしたニンニクや塩・胡椒を素材にまぶしておくとしっかりと味がつくようになります。

野菜は食感を残したいか、それともとろとろ溶かしたいかによって処理の仕方を工夫するといいでしょう。前者の場合、ジャガイモは煮崩れしないメークインを使用したり、一口大に切ったじゃがいもの角をとるとどろどろになりません。またにんじんやナス、ピーマンなどをあらかじめ茹でておいたり、油でさっと揚げて調理の後半に加えると、あっさり仕上げたり香ばしさを演出することができます。

ほかにも素材やカレーの種類、その日の気分によって下ごしらえを工夫すると、楽しさもカレーの仕上がりもぐっと増すので、色々な方法を試してみるといいかもしれません。

スターアニス

スターアニスは星型の八角形をしており、アニスやウイキョウに似たよい香りがするため、全く異なる種類の植物ですがこのように名づけられました。大茴香(ダイウイキョウ)、または八角茴香(ハッカクウイキョウ)とも呼ばれ、中国を代表するスパイスとして中華料理には欠かせません。中国原産のモクレン科の植物で、現在の主な産地は中国とベトナムです。

赤褐色の花をつけ、スパイスになるのは果実の部分。特に五香粉という中国のミックススパイスの主原料であることは有名です。ほかには豚の角煮や鴨のロースト、レバーの臭みけしにも使用されており、こってりした料理だけでなく、杏仁豆腐などのさっぱりしたデザートにもよく合います。

またスターアニスに含まれるシキミ酸は、インフルエンザの治療薬であるタミフルの原料のひとつ。アジアでは咳止めや風邪薬にも使われていますし、健胃や鎮痛などにも効果があり、主に消化器系の薬としてとても優秀なスパイスだといえるでしょう。

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