カレーは一晩ねかせるとなぜおいしい?

作った日に出来たてを食べるのも美味しいですが、次の日の朝になって食べるカレーは不思議とコクや旨みが増していませんか?よく「カレーは寝て待て」という言葉を聞きます。一晩置くと味に変化が起こるのはどうしてなのでしょう。

カレーの中にはグルタミン酸と呼ばれる旨み成分が含まれています。作りたてのカレーと一晩置いたカレーに含まれるグルタミン酸の量を調べたところ、後者はグルタミン酸の量が1.5倍以上も増加していたそうです。これがカレーに深いコクや独特の甘みをもたらしてくれる原因なのです。

また熱を加えると肉や野菜に含まれる糖分、アミノ酸、たんぱく質などからも甘み・旨み成分が溶け出します。これらが時間をかけてゆっくりカレーに浸透し、ちょうど一晩経った頃に全体に行き渡り馴染んでくるということです。特に玉ねぎは旨み成分がぎっしり詰まっていますし、ジャガイモは味をまろやかにしてくれる効果があります。

スパイスも時間を置くほどカレー全体に馴染んでいきますが、再加熱することで風味や香りが徐々に弱くなってしまいます。初めに作った時のようにもっと風味を引き立てたいのなら、再びスパイスをブレンドして加えてみるといいでしょう。

カレーって何語?

カレーという言葉は既に日本でもすっかり浸透してしまっているので、今改めて何語かと問われると困ってしまうのではないでしょうか。漠然と英語かというのは想像がつきますが、それではその語源はどこになるのでしょう。
英語で書くとカレーは「CURRY」となりますが、これはヒンズー語の「おいしいもの」をあらわす「TURCARRI」から来ているといわれています。それが日本に来て「カリー」から「カレー」に変化していったということです。
他にはタミール語の「ご飯にかけるたれ」の意味である「カリ」から「カリー」という言葉ができたという説、釈迦が作ったスパイスを使った料理の「クーリー」から「カリー」となったという説(クーリーはヒンズー語でおいしいという意味)、インド北都の料理名「カディ」が由来となった説など多様な説があります。
これらの説以外にも多様な説が様々に言い伝えられているのは、さすが14の公用語をもつ多民族国家のインドならではというところですね。

ライス

普段家でカレーを作るとき、白いごはんにそのままかけて食べるのが一般的だと思います。
ひと工夫加えるとしたらまず目が向くのはルウです。スパイスを自分で調合したり、隠し味としてコーヒーやチョコレートを入れてみたりするのではないでしょうか。
でもごはんにもこだわると、もっとカレーが美味しく食べられるようになるし、見栄えも本格的になります。白米以外でカレーライスを作るときにターメリックライス、サフランライス、ココナッツライスの3つです。


ターメリックライス
ターメリックは鮮やかな黄色と少し辛みの効いた風味が特徴のスパイス。日本での名称はウコンです。炊飯器に米とターメリック、そして塩を少々入れて炊き上げます。主張の強い味がするわけではなく、ほのかに辛味が効いたライスがカレーに良く合います。

サフランライス
サフランはパエリヤやブイヤベースに欠かせない香辛料で、特に魚介類との相性が抜群です。ぬるま湯にひたして色と香りを出し、これに固形スープやローリエの葉を一緒にいれて米を炊きます。少し固めに炊き上げるのがポイントです。

ココナッツライス
ココナッツミルクに塩、ローリエの葉などを加えて鍋に入れ、強火で似炊きます。サラダ油やバターを加えるとさらにこっくりとした味わいが出ます。タイ風カレーをはじめ東南アジア料理には定番のライスです。

さらにワンポイント。3つのライスのどれにもバターを加えると、風味や甘みがアップして美味しくなります。

カレー粉の中身

家庭で売られているカレー粉も様々なスパイスを混ぜ合わせたものから出来ています。工場で機械的に生産されるカレー粉でも、約30種類以上のスパイスを混ぜ込んでいるようです。メーカーによりそのブレンドの方法には秘密があるでしょうが、例えばどのようなスパイスを調合しているのでしょうか。
一般的にはまず辛さの元となるブラックペッパーやガーリックなどのスパイスと、香りを付けるカルダモンやクミン、フェンネル、クローブ、ナツメグなどのスパイスが味の中心となります。そこに色付けのターメリックやパプリカなどが入り私たちの知っているカレー粉が出来上がるのです。


もしも自分でスパイスを調合してカレー粉を生成しようとするのなら、まずは様々なスパイスを取り揃えることが必要です。コツは基本の味を決めておきそこに他のスパイスを徐々にいれてバランスを見ていくのがよいでしょう。味や個性の強いスパイスは先にベースにすると風味が全て消えてしまいますので、後から少量ずつ加えます。
スパイスの保存や挽くタイミングにも気を付けましょう。スパイスは光や熱、湿気が大敵です。容器に蓋をしたうえで冷蔵庫などの冷暗所に保存しましょう。

自らスパイスを調合することで一際愛着のわく一皿ができあがるはずです。オリジナルのスパイスであなただけの家庭の味を作ってみましょう。

カレーの具

家庭で作るカレーの具といえば、にんじん・玉ねぎ・じゃがいも。あとは鶏肉や豚肉、牛肉などの食肉かシーフードカレーの場合は海老などが入るのが一般的ですね。いまやカレーの具といえばこれらの材料が直ぐに思い浮かびますが、日本では最初からこれらの具を使ってカレーを作っていたのでしょうか?
調べてみると明治時代には鶏肉のほかに鯛や牡蠣、海老などを入れていたという記述が残っています。中には赤蛙(!)を入れたというレシピも残っているので、今のカレーと比べると随分変わった取り合わせの具だったようです。

現在無くてはならない玉ねぎやじゃがいもは、当時の日本ではまだ普及していなかったためまだカレーの具として登場しません。明治中ごろになってようやく普及がはじまりやがて定番のカレーの具となってゆくのです。玉ねぎは日清戦争や日露戦争の時に軍需食料として出回るようになりますが、それまでは試験場などで栽培されているのみでした。また、じゃがいもも東北地方などでは既に普及しましたが全国的には明治18年の米の大凶作を受けてその代用食として家庭に広まっていったようです。
玉ねぎなどの具もそうですが、カレーライス自体も大きな戦争のたびに軍需食としてどんどん日本へ普及してゆきます。意外なことですがカレーの歴史は戦争の歴史というか、密接に関わっているのは確かなようですね。

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