ワサビ

アブラナ科ワサビ属に属するワサビは日本ならではの香辛料。漢字では山葵と書きます。独特のツンとした香りで世界的にも知名度が高く、特に日本食ブームを経て日本食が定着しつつある欧米では「wasabi」で通じるのだそうです。

ワサビは山間地の冷たい清流で自生、栽培されるほか、田んぼでも作られます。このように水の中で育てるものを水ワサビといい、主要産地は静岡県や長野県、岐阜県や東京都です。また畑で育てるワサビもあり、こちらは畑ワサビといいます。主に山口県や鳥取県、広島などで栽培されています。

使用するのは根の部分で、生のものをのの字を書くようにしてすり下ろすと、香りが高く辛みも強くなります。家庭では市販のチューブ入りの練りわさびが手軽で人気です。

寿司や刺身など生魚にしょう油と一緒に付けて食べるほか、蕎麦やお茶漬けなどの日本料理にも薬味として重宝されています。また欧米でも肉料理のソースにワサビを使用することがありますね。また畑ワサビは酒粕と合わせてわさび漬けにされ、ご飯の副菜としても親しまれているのです。

ワサビにはビタミンCが豊富に含まれるほか、辛みの元であるからし油は食中毒や抗ガン作用、血栓を予防する効果もあるといわれ最近注目を浴びています。魚の臭みを消したり、食欲増進効果も期待できます。またわさびには優れた殺菌・消臭・抗菌効果があるため、食用以外にも消毒液や抗カビ剤として用いられるという、日本を代表する優秀なスパイスなのです。

どんな食材にも合うカレーですが、そういえば魚のカレーはあまり見かけたことがありませんね。海の幸を使ったシーフードカレーもありますが、具材は魚というよりイカやえび、貝類がメインです。

ところがインドやバングラディシュなどの南アジア地方では、肉と同様に魚を使ったカレーが日常的に食されています。これらの国々は海に面しているため、豊富に採れる魚介類は人々にこよなく愛される身近な食料源。カレーの材料としても定番なのです。日本も海に囲まれた島国ですが、魚をカレーに入れるという発想は定着しなかったのだといいます。ちょっぴり残念ですね。

特に、教科書に「ベンガル人は米と魚でできている」と書かれるほど魚と米を愛するバングラディシュでは、魚カレーが国の看板料理であり、とてもポピュラーな存在になっています。またシンガポールではフィッシュ・ヘッド・カレーと呼ばれる、魚の頭を煮込んだカレーが名物です。なじみのない人が初めて見ると大変驚きますが、スパイシーな辛さと魚のダシがうまくマッチしたコクのある味わいで、食べる人をやみつきにさせる美味しさなのだそう。また日本でも、味が淡白な白身魚のカレーはレシピも多数出ていて人気があります。気になるのは魚特有の臭みですが、身を十分に洗う、油でからっと揚げ、臭み消しの効果があるスパイスを使う、などの方法で臭みを消すことができますので、ご安心ください。

サラダ

サラダは辛くて刺激の強いカレーと一緒に食べるにはぴったりの副菜です。
レタスやみず菜などの葉ものにトマトやブロッコリーを添えてさっぱりさせてもいいですし、キャベツや豆でコールスローサラダにしても口直しになります。またポテトサラダはボリュームがありますし、ほくほくした食感がカレーの辛さを和らげるためワンクッション置きたいときにピッタリです。

サラダの材料の組み合わせ方だけでも色々なバリエーションが考えられますが、ドレッシングを変えるとさらにテイストの変化を楽しむことができます。しょう油ベースの和風ドレッシング、ペッパーの風味がアクセントのイタリアンドレッシング、マヨネーズと酢の酸味が美味しいフレンチドレッシングをはじめ、クリーミーで風味豊かなゴマドレッシング、ゴマ油が効いた中華ドレッシングなどなど、ほかにも様々な種類のドレッシングがあります。市販のものを使ってもいいですし、調味料を揃えて自分で手作りしても楽しいですよ。

スパイスの香りの元

スパイスの多くはそれぞれ特徴的な芳香を持ち、香り付けや風味づけに利用されていますね。この香りの元は、スパイスが持っている揮発性の精油成分にあるのです。

精油は通常スパイスの中に数パーセントという少ない割合で含まれており、数種類の成分が一緒に組み合わされて香りが作られています。精油の含有量や成分の種類が多いほど、芳香も強く複雑になっていくのです。

また精油は英語でエッセンシャルオイルとも呼ばれており、こちらの呼び名はアロマテラピーとしてよく耳にすることがあるのではないでしょうか。スパイスは食用の香りづけに利用されるだけでなく、マッサージオイルとして身体に塗布したりお風呂に数滴落としてアロマバスに使用されたりもします。

料理にしてもアロマテラピーにしても、スパイスの精油には1日の疲れを吹き飛ばしてくれる力があるということですね。

ナッツ

種実類と呼ばれる硬い皮に覆われた果実や種子のうち、木の実をナッツと呼びます。一般的には乾燥させて殻や種皮を除いたものが食用として使用されています。

アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類は、カレーに香ばしい香りをプラスしてくれます。また油脂分が多いため、こってり感をプラスしたいときなんかもいいですね。

インドではカシューナッツを水と一緒にミキサーにかけ、なめらかなペースト状にしてカレーに加えるそうです。こうするとマイルドでコクのあるリッチな味に仕上がるのだそう。生クリームやヨーグルトなどの乳製品を混ぜる場合もあります。

アーモンドは細かく砕いてもいいですしスライスタイプのものもあります。煎ることでさらに香ばしさが増すので、風味をアップさせたい時に使うといいでしょう。欧風カレーとの相性がしっくりしてお勧めです。

ナッツ類はたんぱく質が豊富で抗酸化力が高く、動脈硬化や心臓疾患を防ぐ働きを持っています。しかし栄養価が高い食材ですが同時にカロリーも高く、アレルギーがある人もいるため、調理に使う場合は使用する量を調整したり、誰が食べるかを把握しておくよう注意しましょう。

ジュニパーベリー

ヨーロッパ北部を原産とするヒノキ科の常緑針葉樹の実をジュニパーベリーといいます。直径7mm前後の暗紫色の丸い実で、乾燥させてスパイスにします。甘さと苦味のある香りを持ち、ジンの香りづけには欠かせないスパイスなのです。

ジュニパーベリーはドイツやフランスのキャベツの漬物であるザワークラウト、牛や鹿などの肉料理によく使用されます。またドレッシングやバーベキュースパイスなどのミックススパイス、フルーツの砂糖漬けにも味のアクセントとして使われています。

主な効能に消化促進や利尿作用があるため、むくみや水太りの解消に効果的であることが有名。そのほか、肝臓や腎臓、リウマチにも効き目があるといわれています。

スパイス貿易

ヨーロッパやアジア、アラビア地方では何千年も昔から薬用、防腐、料理用としてスパイスが使われていました。当時は大変高価なものとして扱われ、貴族が少量ずつ大切に保管しながら使っていたそうです。様々な効能を持ち人々の生活を潤してくれるスパイスは、商売の中心として各国で取引されるようになっていきました。

紀元前1世紀にはローマ人がスパイスを求めてエジプトからインドへと航海をはじめ、中国ではシルクロードが陸路として用いられるようになり、それから数世紀の間東西交流がさかんに行われるようになりました。その後いったん交流が衰えたものの、11世紀になると十字軍が東西の交流を再開させ、十字軍の食料供給地であったイタリアのベニスとジェノバがその時代の貿易を独占するようになりました。14世紀にはこの両国がスパイスなどの貿易の主導権をめぐって争い、勝利したベニスがその後約100年の間東洋との貿易を独占するようになります。

15世紀の大航海時代になるとコロンブスがアメリカ大陸を発見し、新しいスパイスをヨーロッパに持ち帰りました。またポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマはインド西岸にたどり着き、インドの国王と取引きの約束を交わしたことで、ポルトガルとインド間でスパイス貿易がさかんに行われるようになりました。この頃から自由競争による値がつけられるようになり、スパイスをめぐって覇権争いが繰り広げられるようになっていったのです。その後主導権はポルトガルからオランダ、オランダからイギリスへと移り変わり、18世紀になってようやく事態が収拾しました。

今でこそ私たちも身近に購入できるスパイスですが、かつては一国の隆を左右するほどの価値を持つ存在だったのです。なんだか信じられない話ですが、多くの人々がスパイスをかけて一生懸命生きたのだと思うと、ちょっぴりじんときてしまいますね。

ほうれん草

ほうれん草はペルシア地方を原産とし、日本では北海道や埼玉、千葉などが主要産地となっています。アクが少なく甘みのある東洋種はおひたしなどさっぱりした料理、肉厚でアクが強い西洋種はバターなどで炒めると美味しく食べられます。また最近は東洋種と西洋種の一台雑種品種として交雑種が開発され、広く親しまれています。

ビタミンAやビタミンCが豊富な緑黄色野菜で、ビタミンB1 ビタミンB2、葉酸なども多く含まれています。ちなみにアクにはカルシウムと結びつくと腎臓で結成を作るシュウ酸が含まれますが、たっぷりのお湯で茹でると溶け出してしまいます。

ほうれん草は鮮やかな緑色がカレーに映えるため、彩りのよさが人気を呼んでいます。またカレーにはスパイスが使われており、ほうれん草特有の味をうまく包み込みながらほのかに風味を残してくれるため、ほうれん草が苦手な方でもカレーなら大丈夫!という話を耳にします。自宅で料理する場合は、生のものをそのまま加えるのではなく、ミキサーにかけてペースト状にしたり炒める・茹でるなどひと手間加えると、アクが抜けたり、味をマイルドに仕上げることができるので、試してみてくださいね。

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