カレーとメディア
評判のいいカレー屋に行ってみたい、美味しいカレーの作り方が知りたい、そんな時に役立つのがテレビや本、インターネットなどのメディア。
テレビではカレーの特集が組まれたり、美味しいカレー屋をめぐる旅番組が放送されたりることもよくあります。
また雑誌では口コミで美味しいと噂されるカレー屋のランキングが掲載されていたり、料理の本でカレーを取り扱っているものが数え切れないほどあります。
最近ではオリジナルのカレーレシピをインターネットで公開して、カレーを作る際の参考にする人も多くいるのではないでしょうか。
これらはどの料理に関してもいえることなのですが、カレーは特にメディアに登場する頻度、発行される書籍の数が多いように思うのです。やはりカレーは国民的に人気の高い料理である、ということを物語っているのではないか、そんな気がするのでした。
キャラウェー
セリ科の二年草で、原産地は西アジアや北・中央ヨーロッパです。現在の主な産地はオランダ、ドイツ、イギリス、イランやインドなどとなっていますが、そのほとんどは特にオランダで生産されているようです。
別名ヒメウイキョウと呼ばれ、見た目がクミンに似ているのでフランスでは牧場のクミンと呼ばれているそうです。歴史の古いスパイスは色々ありますが、キャラウェーにも様々なエピソードが残されています。紀元前1世紀のローマではアピシウスという美食家として有名な人物が著書の中でキャラウェーを使った調理方法を紹介していたり、エジプトの医学書「エーベルスパピウス」では薬効としての記録が書かれていました。
調理に利用するのは種子の部分。やわらかな甘みとほのかな酸味、そして苦味がキャラウェーの特徴です。
パンやケーキ、クッキーなどの甘い食べ物のほか、ソーセージやキャベツ料理、りんごと相性がいいためアップルパイや焼きりんごによく使われます。またキャラウェイといえばキャラウェイチーズが有名で、ハーブならではの風味の豊かさが人気の秘訣のようです。
薬用としては消化の促進や不良予防を助ける効果があり、かぜ薬や胃腸薬にも原料として
使われます。抗菌作用も期待できるため、油っこい料理の後などに摂取すると効果的です。
セロリ
セロリは暗緑色の葉が特徴のセリ科の植物です。しかし品種によって淡色、黄色などもあるため、淡色野菜として分類されています。南ヨーロッパを原産とし、現在はヨーロッパ、中近東、北アメリカやインド北部で広く栽培されています。
古代ローマ時代には独特の苦味のため食用には使用されず、香料や整腸剤としての働きに貢献していました。17世紀に入るとイタリアで苦味の改良が行われ、食用として使用できるようになりました。現在私たちが通常入手しているのは、この改良後のセロリです。
セロリの香りには、ほのかに苦味のある、独特の強さがあります。茎や葉であれば生食として食べられるため、野菜スティックやサラダに用いられるほか、スープやシチュー、肉料理の付けあわせなどにも使われます。
またセロリの種はセロリシードと呼ばれ、ピクルスやトマトケチャップ、ドレッシングの材料として活躍するスパイスとなっています。効能としては気管支炎、肝臓病や発熱に効果があるといわれています。またよく眠れない時はお茶にして飲むと心が落ち着き、ぐっすり眠るのを助けてくれるそう。苦しい思いから救ってくれる、セロリの香りのイメージ通りの頼もしいスパイスなのです。
甘口+辛口=中辛?
カレーのルーは辛さの度合いを甘口、辛口、中辛と分けて販売されています。
自宅でカレーを作ろうという時、本当は中辛にしたいけれどルーがない、辛口のルーと甘口のルーならあるから混ぜて使おう、こんな方法を試したことがある人は少なくないはず。ところでこのように辛口と甘口のルーを混ぜた場合、中辛製品を使って作ったカレーと同じ味になるのでしょうか。
実は、近い風味にはなるけれど、全く同じ味にはならないのだそう。これはメーカーがルーを作る際、辛味を出すスパイスを単純に機械的な配分で混ぜ合わせているのではなく、スパイスの種類や量、その他の調味料を微妙に変えて辛さに強弱をつけているからなのです。このような細かいこだわりがあって絶妙な風味の美味しいルーが作られているのですね。ちょっと感心してしまいました。
もちろん、辛さの異なるルーを組み合わせてカレーを作っても十分辛さの調整はできますので、自宅で使える簡単な技として利用してみるといいでしょう。
リカリス
リカリスは日本では甘草と呼ばれています。砂糖の100倍以上の甘みのあるグリチルリチンという成分を含んでおり、その名の通り醤油の味付けや佃煮・漬物を作る際に甘味料として使用されてきました。
マメ科の多年草で種類がたくさんあります。アジアをはじめヨーロッパにも広く分布しており、歴史も古くエジプトやギリシャでは古代から薬用として親しまれていたそう。他の植物との調和に優れ、解毒作用もあるということで、漢方薬の中でももっともよく処方に試用される材料のひとつなのです。なんと中国最古の医薬書にはあらゆる薬の中心である「国老」として記されています。すごいですね!
日本へ伝わったのは奈良時代、かの有名な正倉院にも保存されていたようです。
カレーに使用する時はその独特の甘みとわずかな香りを活かし、香りづけのスパイスとして使用されます。またしょう油の味付けや佃煮、漬物や塩辛を作る際も重宝される存在となっています。