カレーとクラーク博士

「少年よ、大志をいだけ」の名言で有名なクラーク博士ですが、実はライスカレーと関わりの深い人物としても有名です。


クラーク博士は札幌農学校の教師で、生徒に飲酒を禁止させたり毎日賛美歌を歌わせたりと、“道徳教育に熱心なジェントルマン”といった存在でした。
はるばる外国からやってきたクラーク博士は、日本の子供たちが貧相な体つきをしていることが気にかかりました。その原因が日本人は米ばかり食べていることにあると思った博士は、タンパク質のある食事を摂らせようとメニューを洋食にシフトさせることにしたのです。
そこで出されたのが「主食はパンを推奨する、そしてライスカレー以外の米飯は全面禁止する」という規則。


なぜライスカレーはいいの?と疑問に思うのではないでしょうか。カレーならほかの具材からタンパク質を摂取することができますし、日本人が主食として好む米を全く食べられないのもかわいそうだという理由からそうなったといいます。また、当時は米が高価だったため、毎日の食事でご飯を炊くだけの米を買えなかったことも関係しているようです。


クラーク博士とカレーに関する文献には様々なものが残っていますが、古いものでは『恵迪寮史(けいてきりょうし)』が有名です。これには札幌農学校ではパンを推奨し、カレー以外の米飯が禁じられていたという一連の話が記されています。また『新北海道通信使』という文献には、何と一日おきにカレーが出されていたという記録が残っています。現在の私たちより頻繁に食べていたことになるのですから驚きですね。


ちなみにライスカレーと呼ばれるようになったいわれには、「ご飯」よりも「ライス」の方がハイカラな響きだから、という説や、クラーク博士が名づけ親ではないか、とする説があります。しかし、博士が日本に来訪する前に記された公文書には、ライスカレーという意味の「タイスカレイ」という言葉が使われており、真相ははっきりしていません。


何はともあれ、クラーク博士が少年たちをカレーで育てたことは事実です。
少年が大志を抱くには、原動力としてカレーのような栄養のたっぷり入った食事が必要なのかもしれませんね。

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