タイム
タイムはシソ科の多年草で、原産地は地中海沿岸。主な産地はフランス、スペイン、ポルトガル、ギリシアなど、亜熱帯から温帯にかけて生育しています。
かすかな苦味と清々しい香りのする、心地よさの感じられるハーブです。
ヨーロッパでは昔から「タイムの香りがする」といわれることは最高の褒めことばだったそう。それはタイムが小さくても気品のある香りを漂わせていることから、勇気の象徴、気品や優雅さを表すハーブとして人々に信じられていたからです。そのため当時は戦争に行く兵士がタイムの小枝を身につけたり、女性がタイムの柄の刺繍をほどこしたものを兵士にプレゼントしていたといわれています。
ひとくちにタイムといっても、その品種は多種多様、用途も料理から観賞用まで様々です。
料理に使用されるものでポピュラーなのは、さわやかな芳香が強く、フランスやイギリスで有名なガーデンタイム、また主にスパイスとして使用されるものには、すがすがしい中にほろ苦さと甘味が感じられるコモンタイムなどが挙げられます。
他にもレモンタイム、コンチネンタルワイルドタイム、クリーピングタイムなど、約30種にものぼる種類のタイムがあります。
タイムにはフェノールやチモールといった殺菌・防腐作用のある成分が含まれており、ソーセージやハムなどの加工に適しています。また肉や魚と相性がよく、肉料理や魚料理の他、ホイルの包み焼きやシチュー、トマト煮やマリネなどにもピッタリ。
長時間煮込んでも香りが残るため、だしをとる時に使うブーケガルニやブイヨンの材料には欠かせません。また食用はもちろん、入浴剤やポプリなど香料や観賞用としても人気があり、幅広く愛されているスパイスなのです。
パセリ
パセリはセリ科の二年草で、別名をオランダゼリといい、あざやかな緑色とさわやかな苦みのある香りが特徴のハーブです。原産地は地中海沿岸ですが、環境に適応しやすい性質であるため今では世界各地で栽培されています。
パセリには大きく分けて4つの種類があります。まず1つ目、葉が縮れた日本でおなじみのパセリがパナマウント種のモスカールドパセリ(カーリーパセリとも呼ばれる)です。葉の部分を料理に添えて、彩りを演出するのによく使われます。2つ目はイタリアンパセリ(フレンチパセリとも呼ばれます)。これは葉がまっすぐで平たく、その分食感もモスカールドパセリと異なります。この他に大きな葉柄の部分を食べるナポリタンパセリ、ニンジンのように根の部分を食べるハンブルグパセリがあります。
パセリは栄養価が高く、ビタミン、ミネラルや鉄分が豊富に含まれます。特にビタミンAはにんじんと同等の量で、ビタミンCはレモンの2倍!またパセリ特有の苦味成分であるアピオールには臭みを消す効果があるので、肉や魚の臭み消しや口臭予防にも利用されます。
料理に使われる場合は、やはりキレイな緑色を活かしてサラダやパスタ、ソテーなど様々な料理の飾りに使うことが多いでしょう。もちろん見た目を彩るだけでなく、塩と相性がいいため塩味の料理にもよく利用されます。
特にヨーロッパではパセリのみじん切りを塩・こしょうと同じ感覚で日常的に使用しているそうです。また、パセリは味や香りに干渉せず素材や他のスパイスの良さを引き立てる効果があるため、料理の最後にみじん切りにしてふりかけたりしても使われます。
スパイス展示館
東京板橋区にスパイス神社・スパイス展示館というものがあります。
正式名称を鬼神社といい、青森県の弘前市に本祠を置く鬼を祀った神社です。なぜ鬼を祀った神社がスパイス神社と呼ばれるのでしょう?実はそのつながりはにんにくにあるのです。この地域では昔、村人が稲作の用水について悩んでいた時に鬼がやってきて、一晩で灌漑用の水路を作り人々を救ったという伝説が伝えられています。そんな鬼の好物がにんにくだと言われており、スパイス神社と呼ばれる由来となっています。
にんにくはガーリックパウダーとしてカレーのスパイスに使用されています。そこでガーリックパウダーを世間一般に広めたエスビー食品がこの縁を機に神社を分祠したというわけです。
またエスビー食品創業者の山崎峯次郎と社主であった山崎春栄は、カレーとスパイスの普及や研究に尽力し、会社の発展を支えてくれた人々や社会に成果を還元したい、という思いを抱いていました。この遺志を受け継ぎ、スパイスのさらなる普及を目的に、板橋工場ゆかりの地にスパイス展示館が設立されたのです。
さて、気になる展示館の中はどうなっているでしょうか。
1階には青森県から分祠された鬼神社が置かれ、創業者である山崎峯次郎と社主であった山崎春栄の銅像、会社年表や当時のパネル写真など、会社の歴史を振り返る資料が展示されています。そして2階に上ると世界中のスパイスがパネルと一緒に飾られている他、スパイスをパウダー状にするための製粉機やカレー粉の作り方の説明が語られた資料を見ることができ、スパイスとカレーに関する歴史や知識を得られる空間となっています。
神社ではお参りやおみくじも出来るそうですから、カレー好きを極めたい方、もっと美味しいカレーが作れるようになりたいなど、何かカレーにまつわる強い想いを抱いている方は、東京見物がてら足を運んでみてはいかがですか?
- 2010/08/30 15:43
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ローズマリー
ローズマリーの香りには個性的な清涼感があり、どこか抹茶の香りにもが近い所があります。主にイタリアなどヨーロッパで日常的に広く使われ、殺菌効果や消臭効果があるため肉や魚料理で臭み消しとしてよく利用されます。素材にローズマリーをまぶすと、鮮度が保たれ腐れにくくなるため、老化防止に効く若返りのハーブの名称でも親しまれています。またポリフェノールを多く含み、活性酸素の除去や抗酸化力に優れていることでも有名。様々な効能を持っているのです。
薬理的な使用方法だけでなく、もちろん香り付けとしても優秀です。
特にお勧めなのは鶏肉やラム、子羊のローストやグリル料理です。ラムなどの癖のある肉はいいのですが、鶏肉や魚など淡白な素材は、程よくすっきりとした風味になるよう控えめに使用するといいでしょう。
バジル
トマトと相性がよく、イタリア料理によく使用されることで有名なバジル。みずみずしくさわやかな香りと色鮮やかな緑色が特徴で、ハーブやデコレーションとして様々な料理に利用されます。
原産地は熱帯アジアやインドで、シソ科メボウキ属の一年草です。日本ではバジリコとも呼ばれ、和名ではメボウキという名がつけられています。
どんな環境にも適応できることから、現在はなんと世界中で40種類ものバジルが栽培されているそうです。
火を通さず生の葉をそのまま使用する場合は、指で適度な大きさにちぎって料理にまぶしたり、細かく刻んでマリネやパスタにあえたりします。また、イタリアで有名なジェノヴェーゼ・ソースでも使用されています。
また、火を通す場合はトマトの煮込み料理に加えたり、ペースト状にして下味として牛肉に塗ったりします。こうすると肉からにじみ出す脂肪分とよく溶け合い、旨みがアップするのだといいます。
店先に並ぶ際には、乾燥させた葉やパウダー状にしたものも販売されており、様々な用途で活躍しています。
カレーにさっぱりとした風味を加えたい時には、クローブ・カルダモン・クミンなどのスパイスと組み合わせると相性がよいでしょう。スパイスとしての馴染みはあまりないかもしれませんが、タイのグリーンカレーなどにはよく利用されているようです。
トルコのカレー
トルコ料理はフランス料理(イタリアと合わせて西洋料理)、中華料理に並ぶもうひとつの世界3大料理といわれています。トマト・玉ねぎなどの野菜をふんだんに使うのが特徴で、煮込み料理が多いようです。また、トルコ料理といえばベースにヨーグルトを使用することが有名、どんな家庭料理にも入っているといえるぐらい一般的に使われています。さわやかでさっぱりした酸味がトルコ料理のテイストです。
さて、トルコのカレーですが、やはり野菜とヨーグルトが基本になります。スパイスは控えめにし、食材の旨みやコクを引き出して仕上げるのがポイントです。たまねぎやにんじんはしんなりするまで炒めたり、すりおろしたりして、丁寧に下ごしらえします。野菜以外には、豆やラム肉などがトルコカレーと相性がよく、好んで使われます。
ちなみにカレーと一緒に飲む飲み物として、紅茶や珈琲にミルクを加えた乳飲料がよく出されます。トルコ人は元々紅茶が好きで、カレーのような辛みの強い食べ物を食べる際、辛さをやわらげるための工夫として飲み出したのだといわれています。
トルコ風のカレーをいただくと、なんだか心も体もほっと落ち着きそうですね。
仙台七夕
仙台のお祭りと言えばやはり仙台七夕でしょうか。
仙台七夕の始まりは、伊達政宗の時代までさかのぼると言う説があります。仙台藩婦女の文化向上が主目的だったとの事ですが、実はハッキリしていません。ともかく七夕の風習は江戸時代からあったと言われます。
現在のような大きな七夕飾りを作るようになったのは、大正から昭和にかけての不景気の時代だったと言います。不景気で閑散としてしまった商店街に人を呼ぼうとして作ったの始まり。当時は珍しい大きな七夕飾りの見物に多くの人が訪れ、商店街が大いに賑わい、景気回復に一役買ったと言われています。
その後、高度成長期には東北3大祭りに数えられ、全国に知られるようになりました。そうして、県外の旅行客が多数訪れる祭りへと変化していき、現在では前夜祭を含めた人出が250万人を超えるまでなっています。
ペッパー
日本ではコショウ(胡椒)としてお馴染みのペッパーは、下味をつけたり味を調えたり、どんな料理でも大活躍する調味料。最も身近なスパイスのひとつではないでしょうか。もちろん、カレーを作る時にも使われることがあります。
ペッパーはコショウ目コショウ科のつる科の植物。ブドウのように房状になった果実部分をスパイスとして使用します。原産地はインドで、主にアジアの熱帯地方で育成されています。
ペッパーの種類にはブラックペッパー、ホワイトペッパーのほかピンクペッパー、グリーンペッパーなるものもありますが、カレーによく使われるのはブラックペッパーとホワイトペッパー。この2つは同じ果実を加工して作られるのですが、どの時期に収穫するか、収穫後の後処理をどうするかによって異なる色や風味に仕上がるのです。
ブラックペッパーは、実が青く未熟な状態で収穫し、山積みにして発酵させ、天日干しにして色が黒くなるまで乾燥させます。皮の部分に香り成分がふくまれていて、風味も強いのが特徴です。牛肉など肉料理との相性がいいですね。
またホワイトペッパーは果実が黄緑色になり、完熟してまばらに赤みを帯びてきた頃に摘み取ります。袋に入れた果実を数日間水に浸し、やわらかくなった皮をむいて天日干しにします。こちらはブラックペッパーよりもマイルドで上品な香りがするため、魚料理によく合います。
カレーのスパイスに使う時は、ピリッと強い刺激が欲しい場合はブラックペッパー、反対に味をまろやかに調えたい場合などはホワイトペッパーを、それぞれ使い分けてみてください。
カレーとクラーク博士
「少年よ、大志をいだけ」の名言で有名なクラーク博士ですが、実はライスカレーと関わりの深い人物としても有名です。
クラーク博士は札幌農学校の教師で、生徒に飲酒を禁止させたり毎日賛美歌を歌わせたりと、“道徳教育に熱心なジェントルマン”といった存在でした。
はるばる外国からやってきたクラーク博士は、日本の子供たちが貧相な体つきをしていることが気にかかりました。その原因が日本人は米ばかり食べていることにあると思った博士は、タンパク質のある食事を摂らせようとメニューを洋食にシフトさせることにしたのです。
そこで出されたのが「主食はパンを推奨する、そしてライスカレー以外の米飯は全面禁止する」という規則。
なぜライスカレーはいいの?と疑問に思うのではないでしょうか。カレーならほかの具材からタンパク質を摂取することができますし、日本人が主食として好む米を全く食べられないのもかわいそうだという理由からそうなったといいます。また、当時は米が高価だったため、毎日の食事でご飯を炊くだけの米を買えなかったことも関係しているようです。
クラーク博士とカレーに関する文献には様々なものが残っていますが、古いものでは『恵迪寮史(けいてきりょうし)』が有名です。これには札幌農学校ではパンを推奨し、カレー以外の米飯が禁じられていたという一連の話が記されています。また『新北海道通信使』という文献には、何と一日おきにカレーが出されていたという記録が残っています。現在の私たちより頻繁に食べていたことになるのですから驚きですね。
ちなみにライスカレーと呼ばれるようになったいわれには、「ご飯」よりも「ライス」の方がハイカラな響きだから、という説や、クラーク博士が名づけ親ではないか、とする説があります。しかし、博士が日本に来訪する前に記された公文書には、ライスカレーという意味の「タイスカレイ」という言葉が使われており、真相ははっきりしていません。
何はともあれ、クラーク博士が少年たちをカレーで育てたことは事実です。
少年が大志を抱くには、原動力としてカレーのような栄養のたっぷり入った食事が必要なのかもしれませんね。
シーフードカレー
イカやエビ、タコなどの魚介類を使ったシーフードカレーは、たっぷり入った海の幸とヘルシーさが人気の秘訣です。
カレーに相性がいいといわれている具材といえばエビ、アサリ、タコ、イカ、貝、ホタテなど。これら魚介類にはタウリンという旨み成分が含まれているため、肉や野菜のカレーでは出せない独特の味わいをカレーにもたらしてくれます。
また、タウリンは高血圧や動脈硬化の予防、血液中の中性脂肪を減らす作用などがあるといわれており、栄養面でも体を助ける効果をたくさん持っている嬉しい成分です。
さらに魚介類にはタンパク質やミネラルが豊富に含まれています。タンパク質は資質、炭水化物に並ぶ三大栄養素で、筋肉の元となり体をつくる上で欠かせない存在です。
そして体のバランスを整える働きを持つのがナトリウムやカルシウム、鉄や銅などのミネラルです。ミネラルは骨や歯の成分となったり、ホルモンや神経のバランスを整えたりしてくれます。
ローカロリーで体に優しい様々な効果が期待できる魚介類は、健康にいいものを食べたい人や「最近太り気味で・・・」という人にとても嬉しい食材なのです。
ちなみに、日本人は1年間に1人当たり約60 kgに相当する量の魚介類を食べているといわれています。これは世界で5番目に多い消費量です。日本は周囲を海に囲まれていますから、身近な食材として魚介類は昔から大切な食料源だったようです。
- 2010/03/09 13:51
- ○○カレー、カレー△△
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カツカレー
カツカレーといえば食堂メニューとして、また食欲旺盛な育ち盛りの子供たちにも人気のメニューです。ご飯の上にとんかつを乗せ、上にたっぷりとカレーソースをかけたものが基本のスタイル。キャベツの千切りが加えられることもあります。
カツカレーの発祥地は日本。その起源には諸説あるようですが、一体どのようにして誕生したのでしょうか。
カレーが日本に伝わったのは明治時代、とんかつが誕生したのは大正末期です。諸外国の食文化が徐々に日本に浸透してきた時代で、当時人々の間で話題になっていた食べ物はそばとすし、とんかつはその後に続いて世間に広まりました。とんかつは浅草・上野など下町の庶民料理として生まれたといわれています。
そんな外来のカレーと日本独自のとんかつを結びつけたのも東京・下町の人だったという説が有力。「河金」という東京のとんかつ屋で、店に来ていた客からの要望で丼にご飯を乗せ、カレーをかけたのが元祖だというものです。また東京の銀座にある「グリルスイス」という洋食店でプロ野球選手の一人が発案したものが広まったという説もあります。
ちなみに、とんかつ以外にもビーフやエビなどのフライ、コロッケなどを乗せたカレーライスがあります。またカレーパンやカレーうどんなど、日本発のカレーを使ったオリジナルメニューはやはりバリエーションが豊富ですね。
- 2010/01/06 15:27
- ○○カレー、カレー△△
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アニス
スパイスは様々な用途、効能がありますが、今回紹介するアニスもそんなスパイスのひとつです。
原産地は地中海東部の地域やエジプト。セリ科の一年草で、茎の部分はセロリと食感が似ているため、野菜として食用にもされています。スパイスに使用するのは鼻をつくような芳しい香りがする種子の部分。甘草に似た香りがするのが特徴です。
アニスをカレーに入れるとカレーのしつこさがなくなり、さっぱりとした甘みが加わります。しかし入れ過ぎると甘みが強くなってしまうので注意が必要。
このような香りの特性を活かし、アニスはケーキやドーナツの菓子作りには欠かせない存在となっています。また口の臭いを消す消化剤として使用されている他、古代エジプトでは王様の死体をミイラにするための防腐剤として使われていたというエピソードも残っているのですから驚きです。
元々アニスは古代ギリシア時代には薬草として人々に扱われていました。母乳の分泌を促進する、てんかんを予防する、くしゃみがとまるなど、アニスにまつわる効能には様々な説があったようです。それだけ刺激的で強い香りを持つ、インパクトのあるスパイスだったのですね。
ガーリック
ガーリックといえば日本でもおなじみの薬味、にんにくのことです。原産地は中央アジア、日本では青森県が主な生産地で、現在は国内シェアの約70%を占めています。
ガーリックは紀元前からエジプトやインド、ローマ、中国などで使用されていました。戦乱の絶えなかった時代、滋養強壮効果のあるガーリックはスタミナ源として将軍や兵士たちに重宝されたというエピソードが世界各地に残っているようです。
最近は生のにんにくのほかにもパウダー状のものがビン詰めで売られ、用途の幅もぐっと広くなっています。生のままであれば炒め物の時にみじん切りにして炒めたり、薄くスライスして肉や魚のソテーに添えたりします。パウダーならガーリックトースト、チャーハンやピラフなどのご飯ものにさっと振りかけて味や風味付けに利用できます。
口の中に広がる刺激的な香味が特徴のガーリックは、もちろんカレーの風味アップにも一役も二役も買っています。
鱗茎(りんけい)と呼ばれる球根部分を、生のまま乾燥させて粉状にし、ほかのスパイスと混ぜ合わせて使用するのです。
独特の香りの強さがガーリックの良さですが、臭気が強すぎるのが難点。臭いが気になる場合は、使用する量やタイミングを調整するとよいでしょう。また、食後に牛乳を飲むと臭いを消すのに効果的ですよ。
火を止めてからルーを入れるのはなぜ?
家庭でカレーを作るのに固形ルーを使用することはよくあると思います。
そこで、そろそろ材料が煮込まれ、「さあカレーのルーを入れよう!」という段階になった時、いったん火を止めてからルーを入れますよね。これはなぜでしょうか?
カレーの固形ルーは何種類かのスパイスの組み合わせと、鶏がらなど旨みを出す調味料、塩、砂糖に油、そして小麦粉で作られています。小麦粉には70%ほどデンプンが含まれているのですが、デンプンは熱によって固まり、ダマになってしまうという作用を持っています。これを糊化といいます。
鍋が高温のままルーを割り入れると、ルーの表面だけが熱によって一気に糊化し中身を閉じ込めてしまうため、口当たりのざらっとしたカレーが出来上がってしまうのです。
これを防ぐために、いったん火を止めて鍋の温度を下げてルーを入れ、ルーが表面からゆっくり溶け出せるようにするというわけです。
ちなみに、小麦粉の糊化は60度から始まり、80度前後でとろみがついた状態になります。火を止めてからいったん鍋を濡れ布巾の上に置いてあら熱を取ると、ちょうど80度~85度前後になりますので、この方法を試してみると滑らかな口当たりのカレーを作るのに役立ちますね。
焼きカレー
普段、食べなれたカレーライスも、ひと工夫加えるだけでまったく違った味わい方ができます。例えば、焼きカレー。
焼きカレーの始まりには諸説ありますが、福岡県北九州市を発祥とする説が有力です。1955年頃の門司港繁華街、栄町銀天街にあった喫茶店。当時、余ったカレーをオーブンで焼いてみたところ、とても美味しくできたので、のちにお店のメニューとして出したのが始まりだそうです。現在、門司港周辺には20軒以上の焼きカレーを出すお店があり、それぞれに個性を生かした焼きカレーを出しています。そんな焼きカレーは、門司発祥のご当地メニューとして、観光客の間でも人気を博しています。
焼きカレーの作り方はさまざまですが、ひとつ簡単なものを紹介します。まず、耐熱皿にバターかマーガリンを塗り、ご飯を入れます。そこにカレーとチーズをのせ、お好みで生卵を割り入れてオーブンで焼けば出来上がり!パセリをふりかけたり、ブロッコリーをのせてみたりするのもいいでしょう。とても香ばしく、おいしいので、前の日のカレーが余ったときなどに、ぜひお試しください。
チャパティ
チャパティはインドやパキスタンで主食として食べられているパンのひとつです。特に北インドでは家庭料理として手軽に作られています。アーターと呼ばれる全粒粉に水と塩を加えて練り、クレープ生地のように薄く丸い形にして焼き上げたものです。
作り方を簡単に説明しましょう。まずアーターに塩をひとつまみ加えて混ぜます。次に水を少量ずつ加え、粘り気が出るまで手でこねます。硬さの目安は油粘土をイメージするといいでしょう。全体がまんべんなく同じ硬さになったら、ぬれた雑巾をかけて約30分寝かせます。通常、パンを焼く時は生地を発酵させますが、チャパティではその必要はありません。ここまでが生地作り。
ではいよいよ焼き始めましょう。
生地をピンポン球くらい手にとって手の平でまるめ、棒で薄く丸くのばします。
そしてタワーと呼ばれる鉄板、ない場合はフライパンを代用し、弱火にかけて生地を乗せます。
表面が乾いて少し膨らんできたところでいったん生地を持ち上げ、鉄板・もしくはフライパンを火から下ろし、生地を直火に乗せます。生地がクレーターのようにぼこぼこ膨れてきたら反対に裏返し、軽く焦げ目がつくまで焼いて完成です。
さて、この地方の主食といえばナンを思い浮かべることが多いと思いますが、実は一般家庭ではあまり食べられてはいません。ナンは大きな釜で大量の火力を要して作るのですが、そのような設備が整っている家庭は少ないのです。また、ナンは卵を使用して作られているため、動物性食品を摂取しないインドのベジタリアンは食さないといいます。
チャパティの方がごく一般的に食べられている、なじみの主食なのだそうです。
- 2009/11/05 13:09
- 家庭でできるカレー料理
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カレールウ
自宅で手軽にカレーを作ろうと思えば、カレールウは不可欠です。野菜や肉を入れ、煮込んだところにカレールウを放り込めば、簡単においしいカレーが出来上がります。
実は、このカレールウは日本生まれなのです。1914年(大正3年)、東京・日本橋の岡本商店が、元祖カレールウともいえる「ロンドン土産即席カレー」を発売しました。これは、現在の固形状のカレールウとは違い粉末状だったようです。しかし、粉末をお湯で溶き、肉や野菜を煮込んだ鍋に入れるだけで完成するところは、現在のカレールウと変わりありません。
そんなカレールウですが、その原型は、明治時代から存在したと言ったら、驚かれるでしょうか。1906年(明治39年)に、東京神田の一貫堂から発売された「カレーライスのタネ」。カレー粉や極上の生肉を混合乾燥し、固形状にしたもので、お湯をかけて溶かして食べるというものだったそうです。カレールウと言うより、レトルトカレーの元祖と言ってもいいかもしれません。はたして、味はどうだったのでしょうか?とても気になります。きっと当時の人たちはその斬新な発想に驚いたことでしょうね。
タンドリーチキン
タンドリーチキンはスパイスの利いた漬け汁にとり肉を浸し、タンドールと呼ばれる壷窯で焼いたグリル料理です。インドのパンジャーブ地方に伝わる定番メニューのひとつで、レストランなどで単品としてはもちろん、カレーのサイドメニューとしても人気があります。
作り方を簡単に紹介します。まずは下準備。味付けはコリアンダー・クミン・ターメリックなどのスパイスとヨーグルトを混ぜた漬け汁に、塩、コショウで行います。使用する種類はこれ以外にも様々で、応用を利かせたレシピも豊富です。家庭で作るならカレー粉をスパイスの代用としても構いません。漬け汁ににんにくや玉ねぎ、しょうがをすりおろして混ぜても風味が増してより美味しくなります。
そしてこれらに肉を漬け込んだ後、高温で熱したタンドールの中に吊して焼き上げます。
タンドールは高温の炭火をうまく循環させる仕組みになっており、余分な油はしたたり落ちてしまいます。そのため本来の肉の旨みが凝縮され、ジューシーに焼き上げることができるのです。家庭では、タンドールの代わりとしてオーブンを使うとよいでしょう。
鮮やかなオレンジ色の照りと香ばしい香りが食欲のツボを刺激します。暑くなるこれからの季節、ビールを飲みながらタンドリーチキンをほおばるなんて最高ですね。
ネパールのカレー
今回はネパールのカレーをご紹介します。
ネパールのカレーはシンプルであっさりした味わいが特徴。ネパールは標高の高い場所に位置しているため(標高約1000mから3000m)、刺激の強いスパイスやこってりした油分は体に負担をかけてしまうという理由からです。
ネパールでは毎日食卓にカレーが出ます。ごはんと一緒に食べる、日本でいうみそ汁と同じような感覚の料理ですね。じゃがいもやにんじんは入っていませんが、口当たりが素朴で優しく、日本人の舌にもなじみやすいようです。
最もポピュラーなものは野菜や豆をスープ状にしたジャネコ・ダルと呼ばれるカレー。ひよこ豆やレンズ豆を使い、色も黄色、緑、赤など種類の異なるものが利用されるので見た目にもカラフルです。味付けは山菜を乾燥させて作ったジンブというスパイスと、コショウ・しょうが・にんにくを使ってシンプルに仕上げます。ネパール人にとっては「おふくろの味」的な存在として親しまれているそうです。
肉を使ったカレーではとり肉を使う場合が多いようです。コリアンダー・クローブなど幾つかのスパイスにガラムマサラを組み合わせ、玉ねぎ・トマトなどの具材を加えて煮込みます。ちなみに味付けがあっさりしていますので、どんな食材やスパイスを試しても味がまとまるという良さがあります。ネパールは多民族国家ですから、それぞれのテイストを取り入れたカレーがまだまだたくさんあるのでしょうね。是非全部試してみたい・・そんな気持ちになってしまいますね。
フェンネル
フェンネルは地中海地方が原産のセリ科のハーブ。現在はヨーロッパをはじめ、インドやアメリカで栽培・販売されています。日本でも栽培されており、和名ではウイキョウ(茴香)と呼ばれています。
かなり歴史の古い作物のひとつで、古代ローマやエジプトに栽培の記録が残っているそうです。見た目は稲のもみにも似ていて、種からは甘い香りがし、口に含むと若干苦味を感じます。
フェンネルはスパイスや香辛料として、カレーをはじめとする多くの料理に利用されています。料理によって使用部位が異なり、葉は特に魚料理に使用されることで有名です。「魚のハーブ」なんて呼ばれるほどですから、使用される頻度の高さがうかがえますね。
フェンネルが魚を料理する時に好まれるのは、臭みや脂っぽさを消す効果を持っているから。魚や他の材料と一緒に鍋に入れ、煮こむ・焼くなどして調理します。腹痛や脚気、歯の痛みを和らげる効能や消化を促進させる力もあるため、イギリスではダイエットティーとしてフェンネルの種が入ったお茶を飲んでいるそうです。
その他の料理ですと、中国では五香粉の原料、ヨーロッパではピクルスの風味付け等に使用されます。また種を細かく砕いてクッキー・ビスケットやアップルパイに入れ、香り付けに利用するのも相性抜群でおすすめですよ。
カレーとアーユルヴェーダ
最近TVや雑誌で、アーユルヴェーダということばを耳にしませんか?
アーユルヴェーダとは、サンスクリット語で生命・生気という意味のアーユスと、知識という意味のヴェーダを合わせて作ったことば。インドで古くから受け継がれてきた思想で、約五千年もの歴史があります。アーユルヴェーダは人々が健康で賢い生活を送れるよう、医学や生活の知恵、生命科学、哲学の概念を含んだ学問として発展してきたのです。
実はカレーのスパイスにもアーユルヴェーダの概念が含まれています。その概念とは、人間は運動・変化・安定性の3種類の生命エネルギーによってからだの生理的機能が統率されるというもの。この3つのエネルギーのバランスが取れている時こそ健康な状態だというのです。
そしてそのバランスを保つには食生活がとても重要だと考えられています。
スパイスは体を健康にする効き目のあるハーブや薬草をそのまま使ったり、種子を乾燥させて砕いたりしてパウダー状にしたもの。香り付けや色づけといった料理を美味しくする効果だけでなく、消化促進・疲労回復など体の調子を調整する働きもあります。スパイスは体のバランスを整えるという、アーユルヴェーダの食文化の基礎を支える存在だといえるのです。
それにしても、インドでカレーは思想や文化と密接に関わっているのですね。まだまだ探求の余地がありそうで、カレー好きとしてはとても楽しみです。
カレーは日本人の定番食
皆さんおわかりのように、日本人はカレー好きの国民です。
街に出れば、インドや東南アジアなどの本格的なカレーが味わえますし、カレーうどんやカレーパンといった、カレーを利用した食べ物も定番の人気食ですよね。
そこで沸いてくる疑問が、「日本人は一体どのくらいの頻度でカレーを食べているんだろう?」ということです。
農林水産省の純カレー・即席カレーの統計と、日本缶詰協会のレトルトカレー・缶詰カレーのデータを使って調査した結果、日本人は1年に約62回カレーを食べているそうです! 家庭での手作りカレー、外食するカレー、レトルトカレーなどの全てを含んだ数字ですが、ゆうに週に1度はカレーを食べていることになるのだから驚きです。
ある調査によると、家庭でカレーを作って食べる頻度は、月に2.5回程というデータも出ています。カレーは基本の料理方法が簡単ですので、お年寄りや子どもでも気軽に作ることができます。また、反対に味を追求したい人にとってはスパイスの種類や材料、調味料などいくらでも工夫できるため、自分なりのアレンジが楽しめる、魅力的な料理だといえるでしょう。こんなこともカレーを食べる頻度を上げる要因になっているのかもしれませんね。
手で食べるカレー ~国が違えば食べ方も違う~
インドではカレーを手で食べるのが一般的です。
正式なマナーというものは特に存在しませんが、手で食べる時に注意することや、正しいとされる食べ方があるのだそうです。
一番重要なのが、「右手」を使うこと。これは絶対のルールです!
インドでは、「左手」は不浄の手とされています。そのため食事や握手の時は、「右手」を使用することになっているのです。
どのように手を使って食べるのかというと、まずは食事の前は手を洗います。これは日本でも同じですね。日本では石鹸を泡立てて両手を洗いますが、インドでは右手だけ水で洗うのが正式な方法のようです。
そしてスプーンの代わりに手を使ってごはんにカレーをかけ、よく混ぜます。ここから手でカレーとご飯をすくって食べるのですが、方法が2種類あります。
指を使ってご飯を一口大にまとめて口に運ぶ方法と、日本でいうなら寿司を握るように、手のひらでご飯をまるめて口に運ぶ方法です。
どちらが正しいというわけはないので、食べやすい方法でいただきましょう。
ちなみにインドのカレーはサラサラしていますが、日本のカレーはトロッとしています。これは食べ方が異なるからだという説があります。インドはさらっとしたカレーのほうが手でかき混ぜやすいですし、反対に日本はスプーンを使って食べるので、液体よりも多少とろみのついた状態のほうがすくいやすいのでしょう。
文化の違いによる、カレーの違い。カレーっておもしろいですね。
カレーリーフ ~カレーの木?~
「カレーの木がある」。
そう聞いたら皆さんはどんな木を想像するでしょうか?
カレーは料理名であって、野菜や果物ではありませんから、そもそもイメージがわきづらいかと思います。しかし、確かにカレーの名のつく植物が存在するのです。
カレーの木には2種類あります。ひとつはカレーリーフという名前で呼ばれています。
葉っぱからスパイシーな香りがするため、インドやスリランカでは、カレーや魚・ココナッツを使った料理の香辛料として使用されています。西南アジア原産のミカン科に属する植物で、南インドやスリランカ、ヒマラヤ山麓などでは特に珍しくもなく、普通に自生しているそう。家庭で栽培することも多いといいます。
もうひとつはカレープラントと呼ばれる木で、南インドを中心に観賞用やハーブとして使われています。夏が終わると、カレー粉のような鮮やかな黄色の花をつける、キク科の多年生植物です。
主にハーブとして葉の部分が使われますが、香り立ちがいいので料理に用いる場合はごく少量でOK。また花は乾燥させてスープやピクルスの香り付けに使います。
色が奇麗に残るため、ドライフラワーやポプリの材料にも使われるそうです。
カレー好きの知り合いにプレゼントすると、意外性もあって喜んでもらえるかもしれませんね!
カレーとらっきょうと豚肉
カレーに合う付け合わせのひとつとして挙げられるのが、「らっきょう」です。「らっきょう」は塩漬けや甘酢漬けの状態で店頭に売られており、カリッとした食感と鼻にツンとくるすっぱさ、そして独特の香りがカレーへの食欲をそそられます。
らっきょうは中国原産のユリ科の多年草。元々は薬用植物として平安時代に日本に伝わりました。今では漬物としてカレーやご飯のお供として食卓に並びますが、江戸時代からは野菜として栽培されていたそうです。
「畑の薬」と称されるほど、さまざまな効能を持つらっきょうですが、特に注目したいのはアリシン(硫化アリル)と呼ばれる成分。アリシンはビタミンB1の吸収をよくする働きを持っているため、ビタミンB1を含む食材と一緒に食べると、効果的に栄養を摂取できます。そして、カレーの肉でよく使われる豚肉には、ビタミンB1がたっぷり! ビタミンB1は疲労回復や夏バテに効くため、夏の暑い時期に好んで食べられるカレーにはやはり相性がいいといえますね。
らっきょうはこれからの初夏~夏場が旬。自分で酢漬けにするなら、ツヤっぽくかたさがあり、芽が青くないものを選びましょう。買ったらその日のうちに手早く水洗いし、酢漬けにしてしまうのが長くおいしく保存できるポイントです。
カレーとヨーグルトは相性抜群!
カレーとヨーグルト。
2つの名前を聞いたときに、あまりピンとこないかもしれませんが、意外と縁のある組み合わせなんですよ。
例えば、ヨーグルトには肉を柔らかくする作用があることをご存知でしょうか?
ヨーグルトには乳酸菌が含まれているのですが、この乳酸菌は肉の筋繊維をほぐして、細胞やコラーゲンの水分を膨張させる働きを持っています。ですから、ヨーグルトを混ぜると、肉が水分をたっぷり含んだ状態になり、ジューシーでやわらかい肉質に変化します。ですからカレーや肉料理では調理する前に、ヨーグルトを混ぜて一手間かけることが多いのです。ちなみに、豚肉、鶏肉、牛肉、種類問わずどんな肉でも変わらない効果が期待できます。また鮭(サケ)や鰤(ブリ)などの魚も同じように柔らかくすることができるので、ヨーグルトでさまざまなカレーの素材を美味しく味わうことができますよ。
また、カレーに直接ヨーグルトを加え、ヨーグルト風味に仕立てたカレーもありますね。
少し酸味の効いたヨーグルトはカレーに溶け込むと風味のアクセントになりますし、スパイスの辛さを和らげて全体をまろやかにしてくれます。また栄養面でもカルシウムや乳酸菌が腸を整え、骨を丈夫にしてくれるという嬉しい効果も。
単純に食後のデザートとしていただいでも美味しいですね。さっぱりして口直しにぴったりです。
カレーのおいしい保存方法
一度に大量のカレーを作りすぎてしまった場合に、余ったカレーはどのように保存していますか?
長持ちさせることを考えると一番いい方法はやはり冷凍保存だと思います。
冷凍保存の良さは数週間から数カ月といった長期間でも保存が可能なこと。使いたいときはレンジで解凍したり、冷蔵庫に移して自然解凍させておいたりすれば、すぐに食べられる手軽さも魅力ですね。
しかし一度冷凍保存すると、作りたての頃の絶妙なスパイスの効き方や、微妙な味わいが損なわれてしまいます。作ったままの味や風味をそのまま保つことは、さまざまな方法を試してもなかなか難しいようです。
これにはいくつかの原因が考えられます。
例えばカレーを容器に入れる時、外の空気に触れるような条件で保存すると油が劣化してしまう恐れがあります。これは冷凍ヤケと呼ばれる現象です。
また、冷凍することによって、スパイスの成分のうち、「辛み成分」だけが残り、カレーにとって命ともいえる「香り成分」が失われてしまいます。この風味が薄れることで、作りたてのカレーと比べると物足りなさを感じてしまうのです。
また家庭用の冷蔵庫は中に入れたものが完全に凍結するまで時間がかかります。するとカレーに含まれる水分が氷の結晶になる過程で、でんぷん質が破壊されて食感がなくなってしまうことがあるようです。
こういった冷凍保存による味の劣化を少しでも防止するには、カレーを容器に入れるとき、できるだけ空気に触れないように工夫し、温め直すときには再度スパイスを加えて香りづけを行うといいでしょう。
ホワイトカレー
以前北海道発祥のカレーとしてスープカレーをご紹介したことがありましたが、実は他にも北海道が発祥地のカレーが存在するのです。ご存知でしたか?
それがクリームソースをベースにして作られるホワイトカレー。通常カレーと言えばターメリックやウコンの色である黄色がトレードマークですが、ホワイトカレーはその名の通り真っ白な色をしています。他の色の香辛料を使用しているため、一見クリームシチューと見分けがつかなくなるような白いカレーが出来上がるのです。
クリームシチューと区別するため、あるいはソースの白を引き立たせるために、ご飯は黄色いサフランライスを炊いて色にアクセントをつけることが多いようです。
ホワイトカレーがメディアに取りあげられるようになったのにはきっかけがあります。
ホワイトカレーの考案者が札幌ドームでカレーを販売した際、白い色が白星、つまりゲームに勝利するという縁起物になるという事でじわじわ人気を呼び、一気にブレイクすることになりました。
肝心の味ですが、見た目程甘くはなく食べると予想以上にスパイシー。それでいてクリームソースが辛さを和らげ味をマイルドに仕立ててくれます。
作り方は普通のカレーを作る場合とほぼ同じですが、仕上げに牛乳をいれるのがポイント。材料には野菜や生クリームなど地元の素材をふんだんに使用しており、ご当地カレーとして定着しつつある注目メニューです。
- 2009/05/18 09:23
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ドライカレー
通常の液体状のカレーとドライカレーの美味しさは、違ったおいしさがあるものです。
ドライカレーにはミートソースタイプのものと、ピラフタイプのものがあります。
ミートソースタイプのドライカレーはひき肉と細かく刻んだ野菜を炒め、カレールウやカレー粉を入れて煮詰めて作ります。ひき肉は豚・牛・鶏などを好みのひき肉を使用し、野菜は玉ねぎ・パプリカ・にんじん・なすなどをみじん切りにしたものを投入。食材のバランスが取れていれば、さまざまな野菜を入れてもおいしく仕上がります。
ちなみに日本のミートソース風ドライカレーの歴史は明治時代までさかのぼります。明治末期から大正初期に三島丸という日本郵船の客船がヨーロッパ航路を運航していました。その船に乗っていた日本人コックがカレーを日本風にアレンジし、ドライ・カリーという名で食堂のメニューに出したのが始まりだと言われています。
もうひとつがピラフタイプのドライカレー。カレーチャーハン・カレーピラフとも呼ばれています。ライス自体にカレー粉で味つけをするので、上にカレーをかけるわけではありません。米粒の黄色がカラフルで見た目にもおいしい所がまた魅力です。
ドライカレーのルーツはパキスタン、インドなど中東アジア地方です。この地方ではもともと日常でカレー料理がよく出されるのですが、ドライカレーは休日や祭日に食べる、とっておきの料理なのだそうですよ。
- 2009/05/18 09:15
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タットリタン
タットリタンは韓国の代表的な家庭料理で、別名韓国風カレーと呼ばれています。
鶏肉とにんじん、じゃがいも、玉ねぎなどの野菜を使った煮込み料理で、ピリ辛風味が食欲をそそる人気メニュー。甘みと辛さが楽しめる味付けは一度食べたら癖になり、大人子ども問わず人気があります。
タットリタンはヤンニョムと呼ばれるコチュジャン・テンジャン・唐辛子や醤油をベースとした調味料で味を付けます。唐辛子を連想させる赤い色はいかにも辛そうに見えますが、そこに惹かれる人も多いそうです。
地元韓国ではおかずとして食べるのはもちろん、お酒を飲みに行った先でつまみに注文することもよくあるそうです。数人で鍋を囲んで、目の前で煮える料理をつついて食べるのは美味しそうな光景ですね。残りのスープでチャーハンを作ったりうどんを煮込んで食べたり、最後まで色々な食べ方を楽しめるのも魅力です。
日本ではキムチ入りのピラフに、カレーフレークを少量加えたタットリタンを添えて食べられています。知る人ぞ知る隠れた人気料理です。
- 2009/04/30 10:27
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カレーとチャイ
チャイはカレーによく合う飲み物としてよく一緒に食卓に出されます。ヒンディー語やロシア語、トルコ語で茶という意味を持ち、インドでは煮出して作ったミルクティーを指します。元々中国で誕生したチャ(茶)が訛り、チベットからインドへ伝わった時にチャイという名前になったと言われています。
では家庭でできる基本的の作り方をご紹介しましょう。
(1) まず鍋ややかんで水を火にかけ、紅茶の葉を入れて煮出します。
(2) 沸騰したらスパイスと牛乳、砂糖を加え、再沸騰したら火を止めて1分程蒸らします。
スパイスにはカルダモンやマサラをよく使います。砂糖は好みの量で結構ですが、インドではチャイをお菓子のような感覚で飲むため、何杯も砂糖を入れかなり甘くして作るそうです。
日本やヨーロッパでいうお茶は手軽なものというイメージが強いですが、チベット地方やシルクロードの遊牧民にとっては、チャイは日々の栄養補給源としてとても大切な飲み物だったそうです。体を温め、生き延びていく栄養を確保するために、スパイスやハーブ、酒など様々なものを混ぜ込んで独自の味が生み出されてきたのですね。
辛さの単位
カレーの魅力はその辛さにあるのではないしょうか。どなたにも好みの辛さがあると思いますが、その定義は人によってばらばらなのではないでしょうか。
しかし、実は辛さには単位があるのです。
名前はスコヴィル値と呼ばれ、唐辛子に含まれるカプサイシンの割合を示します。テキサス農業大学の化学者であるウィルバー・スコヴィル氏の名前をとって名づけられました。
数値を抽出するには、まず唐辛子をオイルに一晩漬け込んで辛味成分を抽出します。次に
砂糖水で抽出物を辛みがなくなるまで薄めていき、その時の倍率で値を割り出すのです。
同じ種類の食べ物であっても、育った場所の気候や土壌、系によってスコヴィル値には開きがあります。特にハバネロは辛さの幅が広く、その差は10倍~それ以上の場合もあるそうです。
それでは代表的な食べ物やソースのスコヴィル値を挙げてみましょう。
オールスパイス:100 – 500
カレーや各種ソースの香辛料として使われています。
タバスコソース:2500-5000
ピザやパスタにかけるお馴染みのあのソース。こうして見ると辛さはまだまだ序の口に思われます。
ハラペーニョ:2,500 - 8,000
メキシコが産地の青唐辛子です。
ハバネロ:100,000 - 350,000
肉料理や魚介類の料理に辛みづけとして使われます。
レッドサビナハバネロ:577,000
日本でブームとなった暴君ハバネロに使用されている唐辛子です。
ちなみに世界で一番辛いのはザ・ソースと呼ばれるソース。スコヴィル値は7,100,000
で、タバスコの2840倍の辛さだといわれています。想像がつきませんね。
タイカレー
カレーは国によって色も味も千差万別、その国独自のカレーが存在しています。
今回はエスニック料理として人気のタイカレーについてご紹介しましょう。
タイカレーの特徴はやはりココナッツミルクが入っていること。唐辛子を基本としたスパイスにココナッツならではのまろやかさが加わり、こくと深みのある味わいに仕上がります。
唐辛子の種類には赤、緑、黄があり、どのスパイスを使うかによってレッドカレー、グリーンカレー、イエローカレーに大別されます。
赤・青唐辛子のプリッチーファと、これより小さい青唐辛子であるプリッキーヌがポピュラー。プリッキーヌはタイで最も辛い唐辛子だといわれており、ほんの少量でも思わず顔が真っ赤になるほど刺激が強いそうです。
具材は鶏肉や海老、ナスなどを使用。特にグリーンカレーはバジルなどハーブもベースに使われるので、爽やかな辛さと酸味が夏に人気の秘訣なのではないでしょうか。
タイでカレーは日本でいうと味噌汁のように、毎日の食卓に出される身近な料理なのだそう。そのため汁物という意味の「ゲーン」と呼ばれているのです。
またタイではカレーの屋台が存在します。様々な種類や色のカレーが大きな鍋で並び、たくさんの人々がテイクアウトで家に持ち帰り、ご飯にかけて食べるそうです。今日は何を食べようか、といって家族でカレーを選ぶのも楽しそうですね。
- 2009/04/22 13:29
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カレーとナン
日本ではカレーライスという言葉が浸透しているくらいですから、カレーといえばライスにかけて食べるのが主流です。しかしカレーと一緒に食べる炭水化物系の主食はライスだけではありません。インドのナンはカレーとセットでイメージが沸くような、ポピュラーな主食です。炊きたてのご飯にカレーをかけて食べる美味しさに多少飽きてしまったら、他の組み合わせに変えてみてはいかがでしょうか。
ナンはインドをはじめ、中央アジア・中近東で食べられているパンです。
最近はカレー専門店やパン屋でもよくみかけるようになりました。学校の給食や冷凍食品でも出回るようになり、日本人の生活にもだいぶ溶け込んできているようです。
また自宅で気軽に作れるよう、カレーの料理本やナンもレシピが載っているのをよく見ます。
ナンは人の顔程ある大きさの楕円形で平べったく、もちもちした食感が特徴です。生地は精製した小麦粉を使用。
作り方は、まず小麦などに含まれる野生酵母菌を自然発酵させた自然種で生地を発酵させます。そして生地を平らにのばし、毎日ナンを食べるような国やカレーの専門店ではタンドゥールと呼ばれる土釜の内壁に貼り付けて焼き上げます。
家庭で作る場合はフライパンで焼きます。多少焦げてしまったような焼き色がまた手作りの良さを感じさせてくれます。
カレーと食べるときは、ナンとカレーを別々に食べてもよし、ナンにカレーをつけて食べるのもよし、自分が一番美味しいと思う食べ方を研究してみるのもいいですね。
コリアンダー
久しぶりにカレーのスパイスをご紹介しましょう。
今回はコリアンダーです。コリアンダーは高さ80cmほどのセリ科の一年草で、原産地は地中海地方。日本ではコエンドロ、中国パセリなどとも呼ばれるそうです。
コリアンダーには随分昔から歴史があります。サンスクリットの書物や紀元前の医学書にはコリアンダーの効能や料理方法が記されていましたし、ツタンカーメン王の墳墓からも発見されています。古くから人々に利用されていたことが分かりますね。
その後はローマからヨーロッパ全土に広まり、アメリカには初めて持ち込まれたスパイスのひとつとして伝わりました。
スパイスとして使用するのは主に果実の部分で、葉は薬味として利用されています。主に東南アジアから東アジアで利用されています。果実をすりつぶすとレモンなどの柑橘系と、薬草や木のような苦味のある香りが混じったような独特の風味が出ます。香り成分はモノテルペン類のセルミンC10H16、デカナール。これは他にオールスパイスやドクダミにも含まれています。
カレーのスパイスとして利用する場合はやはり芳香づけが目的。独特の甘い風味がカレーをマイルドさを加えます。その他にも肉や卵、豆料理によく使用され、インド料理やタイ料理まで幅広く利用され親しまれています。
日本一カレーが好きな都道府県
日本で最もカレー好きな都道府県はどこでしょう?そんなことも分かってしまうのです。世の中には様々な調査があるもので、なんとカレールウの消費量を都道府県別に調査したものを見てしまいました。
平成16年度の総務省家計調査の都道府県県庁所在地の家計調査によると、カレールウの消費量、購入金額ともが1位だったのが鳥取市でした。さらに調べてみると、同市のカレールー消費量は03~05年の3年間の平均値では1位、04~06年の平均消費量でも1位と、平均して高い消費量を誇っているのです。
意外でしたか?理由は分かりませんが、どうやら鳥取県の方たちは他の都道府県の方よりもカレーがお好きなようです。
もちろん、あくまでも県庁所在地のみに限定した調査ですから参考程度にしかなりません。ただし、このような結果を受けて、鳥取ではカレー好きな県として観光アピールをしているそうです。
仙台市も負けてはいられません!皆様に美味しいカレーを食べていただく為に、我々も一層やる気が出てきました!
カレーの器
カレーの専門店やレストランのカレーは、取手がついたランプの形のようなポットに入って出てくることがあります。そして、これだけでカレーがぐっと高級に見えたり本格的に見えたりするから不思議です。
この器はカレーポット、グレービーポット、ソースポットなどの名称で呼ばれています。
グレービーとはローストビーフやミートローフに良く使われるソースのことです。
日本ではカレー用のポットというイメージが定着しているようですが、元々はイギリスで誕生し、グレービーソースをはじめ、その他様々なソースを入れるためのものとして使用されていました。
またソースをすくってかける、アクを取るような場合に使用するのがソースレードルです。
一般的なのは耐久性に優れたステンレス製ですが、軽くて持ちやすいアルミ製、木製のものもあります。木製のソースレードルはブナやオリーブの木などが材料に使われています。カレーを盛る時に木の香りがするなんて素敵ですよね。
形もおたま状のもの、鳥のクチバシのような形をしたものなど様々で、用途によって使い分けることが出来ます。
カレーをもう少し本格的に味わいたい気分になったら、こんな風に食器にこだわってみてはいかがでしょう。家庭で作ったいつものカレーも、家族や友達に「今日はなんだかおいしいね」と言ってもらえるかもしれません!
カレーと給食
給食の中で一番好きだったメニューは?と聞かれ、カレーと答える人は多いのではないでしょうか?
給食のカレーは家や店で食べるカレーとはまた違った味わいがします。その理由は大きな鍋で一度に大量を作るから。約150~200人分もの材料や調味料を一度に煮込むため、旨みがよく出るのだそうです。味も具材に染み込みやすく、全体にまろやかで優しい風味が広がるというわけです。
学校給食が始まったのは太平洋戦争後。その頃は米不足のため給食にご飯を出せず、パンが主食でした。現在カレーはごはんにかけて食べるもの、という認識が定着していますから、ご飯がないとカレーは食べられないのでは?なんて思った方もいるでしょう。ところがカレーとシチューはやはり子ども達の間で圧倒的に人気が高く、パンとカレーの組み合わせで美味しく食べていたということです。
カレールウはまだ登場していなかったので、水で溶いた小麦粉とカレー粉をベースに作られました。人参、じゃがいも、たまねぎ、こま切れ肉などの美味しくて栄養のある具がたっぷり入っているというのも、成長期の子ども達に喜ばれる要因の一つだったのではないでしょうか。
ちなみに1982年1月22日は『カレー給食の日』です。全国の小・中学校の給食で文部省の後援による全国統一メニューが実施され、カレーライスが初メニューに選ばれました。しかし給食の管理化、管理教育といった問題が出てきたため賛否両論が対立し、実際にカレー給食の日を実施したのは全国の学校の約6割だったといいます。
カレーと給食にはこんな珍しい歴史があったのですね。
空の上でカレー
日本からインドへの航空路線は、いずれもエア・インディアの運行になります。そしてこの飛行機の機内食としてカレーがメニューに加えられているのです。
チキン、シュリンプ、マトンのほかベジタリアン用のカレーも用意され、このカレーをライスやチャパティなどで味わいます。いずれも本格派の味で評判は上々。作っているのは日本のコックなのですが、レシピはボンベイの本社にて作られています。詳細にスパイスの調合などが指示され、3ヶ月ごとに見直されるというこだわりが味にも反映された逸品です。
他にはタイ国際航空やビーマン・バングラデシュ航空などでカレーがメニューとして出されているようです。タイ国際航空も本格派の味を追求しているようで、機内で十分にタイ料理を満喫した気分になるとか。
対して、日本ではどうでしょうか。日本航空では機内食としてカレーをメニューに加えています。これはカレーが大好きな日本人へのはからいで、これもなかなか好評なよう。海外便ではニューヨーク線、パリ線、フランクフルト線などでカレーが選択できますがエコノミークラスではカレーライスは食べられません。
空の上で食べるカレーは、地上で食べるカレーと違ってそれだけで特別に思えますね。
カレーパン
以前、カレーうどんの記事を書きましたが、カレー○○という食べ物は本当に色々あるものです。
その中でもカレーパンは個人的には一押しのものなのです。お話させて下さい。
ロシアのピロシキにも似ていますが、やはりカレーパンだと思います。まあ、それは個人的な好みにもよりますが。カレー自体は特にライスに合わせるだけではないというのは周知のことで、今や珍しくもなんともないのですが、日本でカレーパンが出来たのは“カレーライス”が普及した後のことなのです。ですから、「何故パンに・・・」という考えがあってもおかしくないはず。ここら辺が日本の食文化の凄いところなのでしょうか。そう、パンとカレーを合体させてしまった人がいるんですね、おなじみのカレーパンは日本で発明されたものなのです。
昭和2年の日本で考案されました。(日本に生まれて本当に良かったと思います)当時は「洋食パン」として登録されたとのことです。その“元祖カレーパン”、そもそもカレーパンには水分が多く、焼くのが難しいので油で揚げるようになったそうなのです。それでもやはり揚げ方が悪いと、油の中でパンがパンクしてしまうという問題もあったそうですから、様々な試行錯誤があったことでしょう。
今やコンビ二やスーパーでも簡単に手に入りますし、カレーパンを置いていないパン屋は珍しい気もします。時代は変わったものです。油で揚げているので“パン”ではなく“ドーナツ”という名称が正しいという意見もあるようですが、私は美味しいのならどちらでもいいと思ってしまうのです。
余談ですが、日本以外にカレーパンのようなものがないわけではありません。インドにはサモサという料理がありますし、なによりインドでは「ナン」をカレーと一緒に食べるのですからね。これほどまでに“何”にでも合う料理は他にないでしょう。
- 2009/03/24 11:34
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日本人とカレーとの出会い
カレーにまつわる話は本当にたくさんあります。ブログのネタには困らないのですが、選別に少々悩みます。日本人とカレーの出会いに関しても諸説あるのですが、代表的なものを紹介します。
1863年、日本にカレーが上陸する前にカレーを初めて目撃した日本の少年がいます。日本からフランスへの遣欧使節の一人、16歳の三宅秀は船でたまたま乗り合わせたインド人が「芋のようなドロドロした不気味なもの」を食べていると文献に書き残しています。彼自身が口にしたという記述はありませんが、“カレーとの出会い”には違いありません。ただしこれは、あくまでも文献での確認が出来るというだけのことで、それ以前に三宅少年の他にもカレーを目にした日本人はいるかもしれないのです。もちろん、見るだけではなく食べた可能性も。
その8年後、初めてカレーを食べた日本人は、のちに日本初の理学博士になる山川健次郎だと言われています。彼は16歳の頃、国費留学生としてアメリカへ渡る船の中でひどい船酔いになり、ご飯が入っているという理由で仕方なく食べたのがカレーでした。その時のカレーを「変な匂いの料理だ」と彼は言っています。
日本人にとってカレーとの出会いはあまり印象がよくなかったようですね。
今となってはとても想像しにくいことです。
もっとも、「美味しそうだ!」という出会いもあったかもしれないのですよ。カレーの歴史を紐解くのもかなり難しいものなのです。
インド~イギリス~日本
江戸時代末期、ペリー来航と共に日本の長かった鎖国が解かれ、様々な国の人や文化が日本へ入ってくるようになりました。イギリスもそのうちの一国でしたが、カレーを日本に持ち込んだのはインドではなく、このイギリスだったのです。
イギリスは大航海時代、インドをも植民地にして大量の香辛料を手に入れると同時に、混合スパイス料理としてカレーを知ります。その後、日本の開国に合わせて入国したイギリス人は貿易港に居留地をつくり、インドで手に入れたスパイスを基に作った欧風のカレーを一部の日本人に紹介しました。このように日本には発祥の地インドからイギリスを経て辿り着いたため、カレーを西洋料理というようになります。
1877年頃になると、明治維新と同時に起こった文明開化が食文化にも影響して西洋料理店が次々と誕生し、ハイカラな食べ物の一つとしてカレーもメニューに載るようになりました。はじめは華族や上流階級の人しか食べられない珍しい高級料理でしたが、大正時代になると、庶民向けの西洋料理店も流行りだし、カレーの知名度は徐々に高まっていきます。
しかし、まだまだ一般的な料理ではありませんでした。日露戦争をきっかけに軍事食として取り入れられ、戦後には元兵隊を通じ一般家庭に広がっていきます。当時はカレーを味噌汁に入れたり醤油を混ぜたりと日本風にアレンジして食べたそうです。日本は外国の様々な部分を吸収し、独自の食文化を築き上げながら日本のカレーも進化させました。第二次世界大戦後、カレーは学校給食に取り入れられ、今や日本の代表的な家庭料理として根付いています。
カレー健康法
カレーの隠されたパワーを皆さんはご存知ですか?カレーは美味しいだけでなく、体に良い食べ物なのです。
カレーの本場インドでは、食事で摂取するもの自体が病気の治療や予防してくれるという「医食同源」の考え方が一般的で、これはインドのどの地域でも共通です。カレーにふんだんに使われるスパイスは、調味料としてはもちろんのこと、古代から薬としても用いられてきました。つまり、何種類ものスパイスを使って作られるカレーは薬の宝庫といえます。
では、カレーを食べるとどのような効果が得られるのでしょうか?
まず、カレーの辛さには脳の血流を良くしてくれる効果があるため、脳の活性化や眠気覚ましに効きます。また、新陳代謝を良くして体温も上げてくれるので冷え性を解消してくれると同時に肥満予防効果もあるようです。しかも、カレーに入れられる黄色の成分・ウコンは万能薬です。最近の実験では、アルツハイマー病を防ぐ効果もあると明らかになりました。実際に米国人に比べインド人は発症率が4分の1だとか。しかも、辛いものを食べるとアドレナリンが分泌され、筋力も一時的に上がるという説もあります。
このように、カレーは人間にいくつものパワーを与えてくれます。暑さでエネルギーを消費してしまう夏にはぴったりの食べ物です。それだけではありません。新陳代謝が活発になると汗をかきやすくなりますが、その汗が体内の熱を奪ってくれるのです。暑い国であるインドで辛いカレーができたのも、体の仕組みをうまく活かした人間の知恵があったからなのですね。
日本でもカレー消費のピークは7・8月の真夏です。赤道付近の国には辛い料理が多いことからも、暑さをしのぐために辛さを求めるのは世界共通のようです。人間の本能的な行動なのでしょう。
カレーと軍隊
「腹が減っては戦はできぬ」ということわざ通り、エネルギーを激しく消耗する軍隊の兵隊達と食事は切り離せないものでした。
明治時代の海軍では脚気(かっけ)が流行り、それにかかって死ぬ者もいました。これは食事に原因があると考えられ、英国海軍に習って洋食を取り入れることになります。その一つにカレーが選ばれ、軍隊の食事に採用されました。また、軍隊にはいつ戦乱が起こってもいいように「食事は作り方が簡単で栄養があって一度に何十人分も大量に作れるものであること」という内容の規則があったほどでした。この三拍子そろった条件にまさしくカレーはうってつけだったのです。そして一説では、地方出身の兵隊たちが軍隊から除隊したり休暇で帰ったりした時に、各家庭で兵隊時代に食べたカレーを再現したため全国各地にカレーが普及したと言われています。
現在、実際の海上自衛隊でもカレーは伝統のメニューとして艦艇や部署ごとに独自の秘伝レシピでそれぞれ作られています。隠し味にワイン、小豆やコーヒー、中にはコカコーラ・ブルーベリージャムを入れる等、それぞれの艦艇や部署ごとに特色があるそうです。味はかなり高レベルで一般の西洋料理店よりもおいしいため、海軍自衛隊カレーの味に惚れ込んで入隊する人まで実際いるとかいないとか。
また、日本人におなじみのご飯の上にかけて食べる「カレーライス」の原点が海軍カレーです。ちなみに横須賀海軍カレーは、カレーだけでは不足しがちなカルシウム・葉酸を牛乳とサラダをつけて3点セットで出すのが定番のメニューだとか。
よく耳にする話ですが、今でも日本の海上自衛隊は航海中に曜日がわからなくならないよう、毎週金曜日にはカレーを食べるそうです。カレーを作る日はわからなくならないのですかね・・・。
カレーは一晩ねかせるとなぜおいしい?
作った日に出来たてを食べるのも美味しいですが、次の日の朝になって食べるカレーは不思議とコクや旨みが増していませんか?よく「カレーは寝て待て」という言葉を聞きます。一晩置くと味に変化が起こるのはどうしてなのでしょう。
カレーの中にはグルタミン酸と呼ばれる旨み成分が含まれています。作りたてのカレーと一晩置いたカレーに含まれるグルタミン酸の量を調べたところ、後者はグルタミン酸の量が1.5倍以上も増加していたそうです。これがカレーに深いコクや独特の甘みをもたらしてくれる原因なのです。
また熱を加えると肉や野菜に含まれる糖分、アミノ酸、たんぱく質などからも甘み・旨み成分が溶け出します。これらが時間をかけてゆっくりカレーに浸透し、ちょうど一晩経った頃に全体に行き渡り馴染んでくるということです。特に玉ねぎは旨み成分がぎっしり詰まっていますし、ジャガイモは味をまろやかにしてくれる効果があります。
スパイスも時間を置くほどカレー全体に馴染んでいきますが、再加熱することで風味や香りが徐々に弱くなってしまいます。初めに作った時のようにもっと風味を引き立てたいのなら、再びスパイスをブレンドして加えてみるといいでしょう。
カレーの隠し味
チキンなどの肉や魚介類のエキス、そしてスパイスなど、本格的なカレーを作る時はベースからそれなりのものを揃えます。
そこまでではないが家庭で作るカレーにちょっとした隠し味を入れたい!そんな場合によく使われる身近な調味料を挙げてみました。
醤油、だし・・さっぱりした和風味に近づきます。
ソース・・こっくりした濃厚さが加わります。
ケチャップ・・トマトの酸味が加わりさっぱりします。
インスタントコーヒー・・少し苦味が出て大人の味になると、人気のある隠し味です。
チョコレート・・甘さとコクが出てまろやかになります。
はちみつ・・味がマイルドになります。
ワイン・・酸味とコクが加わります。
ヨーグルト・・肉をつけ込むと柔らかくなります。
あめ色玉ねぎ・・玉ねぎをフライパンであめ色なるまで炒めたものです。甘くマイルドな味になります。
他にもすりおろしたりんご、チーズ、にんにく、ジャムなどカレーとは結びつかないような意外なものが隠し味として使われているようです。
いくつかの隠し味を少しずつ入れるとカレー全体が馴染み、全体的にバランスの取れた味になります。マイルドなカレーが好きだ、逆に少し苦味やコクがあるほうがいいなど、好みがはっきりしている人は特定の隠し味を多めに入れ、自分だけの味を追及してみてはどうでしょう。
こんなにバラエティーに富んだ調味料や嗜好品を隠し味として使える料理は他にありません。それだけカレーは独特の風味や味を持っているのですね。
- 2009/03/02 13:50
- 家庭でできるカレー料理
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カレーって何語?
カレーという言葉は既に日本でもすっかり浸透してしまっているので、今改めて何語かと問われると困ってしまうのではないでしょうか。漠然と英語かというのは想像がつきますが、それではその語源はどこになるのでしょう。
英語で書くとカレーは「CURRY」となりますが、これはヒンズー語の「おいしいもの」をあらわす「TURCARRI」から来ているといわれています。それが日本に来て「カリー」から「カレー」に変化していったということです。
他にはタミール語の「ご飯にかけるたれ」の意味である「カリ」から「カリー」という言葉ができたという説、釈迦が作ったスパイスを使った料理の「クーリー」から「カリー」となったという説(クーリーはヒンズー語でおいしいという意味)、インド北都の料理名「カディ」が由来となった説など多様な説があります。
これらの説以外にも多様な説が様々に言い伝えられているのは、さすが14の公用語をもつ多民族国家のインドならではというところですね。
カレーうどん
カレーを応用したメニューのひとつにカレーうどんがあります。カレーうどんはうどん屋をはじめ、学校の給食や食堂の定番メニューとして広く人気があり、カレーうどんの専門店も多く存在しています。
カレーうどんのカレーはごはんにかけて食べるカレーとは違います。カレー粉にだし汁やうどんのつゆを加え、好みで醤油やみりんなどを加えて和風テイストに仕上げているのです。具材は玉ねぎ、長ねぎ、豚肉、関西では牛肉が一般的で、とろみをつけるために片栗粉を入れます。その他ににんじん、玉ねぎなどの野菜、油揚げ、斬新なものではチーズなど、バリエーションに富んだ具材が使われているようです。
はじめてカレーうどんが登場したのは明治時代。1904年、早稲田の「三朝庵」からカレーうどんの元祖が初めて世に送り出されました。当時は奇妙な西洋料理として訝しげられていましたが、カレーが国民に浸透していくのに合わせて広く受け入れられるようになったそうです。
またうどんではなく、蕎麦にカレーをかけたものはカレー南蛮と呼ばれます。南蛮とは唐辛子を指すのではなく、大阪の難波を意味しています。この場所で採れた長ネギが材料として使用されたため、難波→なんば→南蛮と転じていったということです。
- 2009/02/20 11:05
- ○○カレー、カレー△△
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レトルトカレーの誕生
インスタント世代とは良く言いますが、このときにその言葉の普及に一役買ったのではと思われるのがレトルトカレーの誕生です。いまやレトルトカレーは自然に生活に根付き、手軽に食事を取る際に活躍するメニューとなっています。
そんなレトルトカレーの誕生は昭和44年。大塚食品工業から画期的な新製品として「ボンカレー」が発売されました。ボンカレーという名前はフランス語のBON(おいしい)と英語のCURRY(カレー)を組み合わせた商品名です。熱湯で3分間温め、ご飯にかけるだけで食べられるというその手軽さが大好評。ついにボンカレーは自動販売機でも販売されるほどのヒット商品になりました。
レトルトカレーは大塚食品ではなく大塚化学株式会社によって開発されました。海外で既に開発が進められていたレトルト食品に注目し、カレーを新しい容器に入れての販売を思いついたのです。しかし、レトルト食品を開発しようとしてまず悩まされたのが袋の問題。これは本家アメリカの宇宙食の開発においても随分難儀した点で、その為に商品化が遅れていたといいます。
初代ボンカレーは透明の袋に入っており、保存期間も60日までと保存食品としては短い期間しか保存がききませんでした。しかもフィルムの中の空気抜きがうまくいかずにカレーが酸化してしまうという問題点などもあった為、あまり売り上げとしては芳しくないスタートを切ることになります。
その後試行錯誤を重ね、アルミ箔をプラスチック材でサンドイッチにした遮光性に優れた3層パウチを完成させました。光を遮断し空気も通さないアルミをプラスチック材でサンドすることで強度の面も保存の面も優れたパッケージを作ることができたのです。このパッケージは特許も取得し、カレー業界のみならず包装業界にも影響を与えました。
何も調理が要らずにすぐにカレーが食べられるという便利さ、缶詰よりも軽くかさばらずなべも汚さないという手軽さが日本のライフスタイルに合致したことで、爆発的なヒット商品として広まっていくことになったのです。
スープカレー
北海道・札幌の新しい名物として大人気を呼んでいるスープカレー。スープカレーが世に知れ渡ったのは最近ですが、スープカレーの原型がはじめて登場したのは1970年代。インドカレー、スリランカカレーという名前で様々な店でスープカレーが出されていました。スープカレーという名前が出てきたのは1990年代になってからのようです。
スープカレーと普段食べているカレーとの一番の違いは固形のルウを使わないこと。小麦粉やバターが使われていないのでとろみがなく、さらっとした液体状です。
やはり注目すべきはスパイスの効いたこだわりのスープ。豚や鶏がらでしっかり旨みを抽出し、これをベースにトマトで風味を整えるのがポピュラーな作り方。鰹節など日本のダシを使って和風テイストにしてみたり、スパイスの種類や強さに特徴を持たせるなどのオリジナルの味を追求している店もあるようです。
肉はチキンレッグがまるまる1本入っているのが一般的ですが、ポークやラム肉、ベーコンを使う場合もあります。具材にはおおぶりの人参やじゃがいも、ピーマン、しめじ、オクラ、ブロッコリー、卵などの他、ほたてやえびなどの魚介類などを入れ、様々な具の調和が楽しめるメニューです。
スープカレーは店舗によってスープも具もスパイスも様々なので、札幌名物のラーメンと同様にバリエーションが豊富かつ楽しい料理だといえますね。
- 2009/02/05 11:54
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シナモン
八つ橋にまぶしてあるニッキの通称で有名なシナモン。甘くそしてぴりっと辛みの効いた独特の風味が特徴です。シナモンといえばドーナツ、りんごやフルーツの焼き菓子などがお馴染みです。しかしこれもれっきとしたスパイスの一つでインド料理にも欠かせません。
原産地はエジプトから中国・ベトナム地方ですが、現在は日本を含め熱帯地方ならどこでも生息しています。厳密にいうとシナモンと呼ばれるのはスリランカ産だけで、近種のシナニッケイをから作られるものをカシア、日本産のものはニッキ(肉桂)と分類しています。その歴史は古く、紀元前4000年頃にはエジプトのミイラ作りに防腐剤として使用されていたということです。また、旧約聖書や古代ギリシャの詩、中国の薬学書、日本では正倉院の書物の中でシナモンについての記述があります。実際に樹木が輸入されて、香辛料に使われ始めたのは江戸時代からですが、最古のスパイスとして長い歴史を持っているのです。
シナモンはクスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたもの。まるめてスティック状にしたものと、パウダーにしたものが売られています。カレーで使用する場合は香りづけが目的。固形の場合は油で炒め、パウダー状のものは他のスパイスと調合して使います。入れすぎると苦味が強く出すぎてしまうので、配合量の目安は他のスパイスに対して9~13:1の割合。大体この範囲内で微調整してみてください。
ライス
普段家でカレーを作るとき、白いごはんにそのままかけて食べるのが一般的だと思います。
ひと工夫加えるとしたらまず目が向くのはルウです。スパイスを自分で調合したり、隠し味としてコーヒーやチョコレートを入れてみたりするのではないでしょうか。
でもごはんにもこだわると、もっとカレーが美味しく食べられるようになるし、見栄えも本格的になります。白米以外でカレーライスを作るときにターメリックライス、サフランライス、ココナッツライスの3つです。
ターメリックライス
ターメリックは鮮やかな黄色と少し辛みの効いた風味が特徴のスパイス。日本での名称はウコンです。炊飯器に米とターメリック、そして塩を少々入れて炊き上げます。主張の強い味がするわけではなく、ほのかに辛味が効いたライスがカレーに良く合います。
サフランライス
サフランはパエリヤやブイヤベースに欠かせない香辛料で、特に魚介類との相性が抜群です。ぬるま湯にひたして色と香りを出し、これに固形スープやローリエの葉を一緒にいれて米を炊きます。少し固めに炊き上げるのがポイントです。
ココナッツライス
ココナッツミルクに塩、ローリエの葉などを加えて鍋に入れ、強火で似炊きます。サラダ油やバターを加えるとさらにこっくりとした味わいが出ます。タイ風カレーをはじめ東南アジア料理には定番のライスです。
さらにワンポイント。3つのライスのどれにもバターを加えると、風味や甘みがアップして美味しくなります。
クローブ
クローブは甘く刺激的な香りが特徴で、風味づけにもってこいです。大航海時代にヨーロッパのスパイス貿易の中心として人気を博したといわれています。日本では釘のような形をしていることから丁子を呼ばれ、ビンツケ油やにおい袋に入れて使われていました。現代でもとんかつソースやウスターソースの調味料として使われていて、日本人にとてもなじみ深いスパイスなのです。またクローブは殺菌・消炎の効力に優れているため、胃薬の原料としても使われています。
原産地はインドネシアのモルッカ諸島。玉ねぎや豚肉に刺してポトフやシチュー、ローストポークの調理に使うのが一般的です。消臭力に優れているため、肉料理全般に臭い消しとして効果を発揮するのです。ほかには焼き菓子や紅茶に入れると風味や甘さが引き立ち、美味しさを引き立てます。ただし入れすぎると刺激が強くなりすぎますので少量をさっと使いましょう。
カレー料理で香辛料として利用する場合は、ホールかパウダーで調合します。
パウダーで使用するなら他のスパイスとそのまま調合しますが、ホールのまま使うなら、油で炒めて香りづけをするとよいでしょう。甘いのに刺激があり食欲をそそる風味が加わります。そのまま煮込む場合は煮とかし、形が残るようなら料理が完成してから拾い上げるように。この時お茶の葉を入れるような小袋に入れると取り出しやすいようです。
インドのカレー
カレーといえばやはりインドという国を思い浮かべますが、それではインドのカレーとはどのようなものなのでしょうか。インドのカレーは日本のカレーと全く違います。そして、宗教や地域などによってカレーの種類は大きく違ってくるのです。
インドは多民族国家で様々な宗教が共存しています。たとえばインド人の8割を占めるヒンズー教徒は牛肉を食べられませんし、イスラム教徒は豚肉を食べません。また、ジャイナ教徒は魚や肉、卵などをは食べてはならないとされています。一般的に肉に関しての禁忌が強いため、インドでは豆やナッツがたんぱく源として重宝されているようです。もちろんカレーの材料としてもよく使われています。
そしてインドには独特な身分制度があり食べるものにも影響しています。それはカースト制度と呼ばれ、高い階層になると禁忌とされる食物が増えてくるのです。厳密にはカーストによる差別は1950年に憲法で禁止されましたが、地方などでは慣習として根強く残っています。
また、インドは広大な国土を持っているため、北部と南部では気候がだいぶ違います。そして降水量も違うために栽培される穀物も南北で差があるようです。米を作っている地域と小麦を作っている地域ではカレーの汁気や辛さに大きな差があります。
このように一口にインドカレーといっても宗教や階層制度、気候などが複雑に影響しあって多種多様な味を作り出しているのです。
- 2009/01/22 10:14
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ジンジャー
日本では「生姜」と呼ばれているジンジャーほど様々な料理でなくてはならないとされているスパイスはないでしょう。ひとくちにジンジャーといっても生のもの、スライスして干したもの、おろしたもの、刻んでパウダー状にしたものなど料理によって様々な形態を使い分けて使用します。カレースパイスとして利用する際にはジンジャーを干したものを粉末状にします。調理の利便性だけではなく干したものは生のものより辛味が強いからです。
ジンジャーは高温多湿の地域に生育する植物です。中国、インド、アラビアなどでは古代から調味料として重宝されてきました。紀元前からは西洋に伝わり、日本でも「古事記」にジンジャーに関する記述があるほどの長い歴史を持っています。語源はサンスクリット語で生姜の形を鹿の枝状の角に見立てて命名されたとか。
魚や肉の生臭さを消したり肉を柔らかくするという効用があり、爽やかな風味を持っています。また飲料水やケーキ、ビスケットなどの香り付けとしても有名で、人型のジンジャービスケットや飲料のジンジャーエールなど嗜好品として親しまれています。
ジンジャーはカレースパイスの中でも爽やかな辛さで味にアクセントを与えてくれますが、酢漬けなどの薬味として付け合せられることもあります。カレーの内と外から風味を与えカレーの味に広がりを持たせているのです。
カレー粉の中身
家庭で売られているカレー粉も様々なスパイスを混ぜ合わせたものから出来ています。工場で機械的に生産されるカレー粉でも、約30種類以上のスパイスを混ぜ込んでいるようです。メーカーによりそのブレンドの方法には秘密があるでしょうが、例えばどのようなスパイスを調合しているのでしょうか。
一般的にはまず辛さの元となるブラックペッパーやガーリックなどのスパイスと、香りを付けるカルダモンやクミン、フェンネル、クローブ、ナツメグなどのスパイスが味の中心となります。そこに色付けのターメリックやパプリカなどが入り私たちの知っているカレー粉が出来上がるのです。
もしも自分でスパイスを調合してカレー粉を生成しようとするのなら、まずは様々なスパイスを取り揃えることが必要です。コツは基本の味を決めておきそこに他のスパイスを徐々にいれてバランスを見ていくのがよいでしょう。味や個性の強いスパイスは先にベースにすると風味が全て消えてしまいますので、後から少量ずつ加えます。
スパイスの保存や挽くタイミングにも気を付けましょう。スパイスは光や熱、湿気が大敵です。容器に蓋をしたうえで冷蔵庫などの冷暗所に保存しましょう。
自らスパイスを調合することで一際愛着のわく一皿ができあがるはずです。オリジナルのスパイスであなただけの家庭の味を作ってみましょう。
カレーの具
家庭で作るカレーの具といえば、にんじん・玉ねぎ・じゃがいも。あとは鶏肉や豚肉、牛肉などの食肉かシーフードカレーの場合は海老などが入るのが一般的ですね。いまやカレーの具といえばこれらの材料が直ぐに思い浮かびますが、日本では最初からこれらの具を使ってカレーを作っていたのでしょうか?
調べてみると明治時代には鶏肉のほかに鯛や牡蠣、海老などを入れていたという記述が残っています。中には赤蛙(!)を入れたというレシピも残っているので、今のカレーと比べると随分変わった取り合わせの具だったようです。
現在無くてはならない玉ねぎやじゃがいもは、当時の日本ではまだ普及していなかったためまだカレーの具として登場しません。明治中ごろになってようやく普及がはじまりやがて定番のカレーの具となってゆくのです。玉ねぎは日清戦争や日露戦争の時に軍需食料として出回るようになりますが、それまでは試験場などで栽培されているのみでした。また、じゃがいもも東北地方などでは既に普及しましたが全国的には明治18年の米の大凶作を受けてその代用食として家庭に広まっていったようです。
玉ねぎなどの具もそうですが、カレーライス自体も大きな戦争のたびに軍需食としてどんどん日本へ普及してゆきます。意外なことですがカレーの歴史は戦争の歴史というか、密接に関わっているのは確かなようですね。
カレーが付いた衣服の洗濯法
カレーを食べていて困るのがカレーが衣服に付着するとき。おいしく食べていたらついうっかり…という経験が1度はあるのではないでしょうか。
このときあわてて石鹸で洗うとたちまち赤く変色してしまいます。しかしこの赤色は石鹸のアルカリ性が反応してしまって出る色ですので、心配は要りません。カレーの汚れは水洗いをし、石鹸で洗った後外で日光をふんだんに当てて干すのが良いでしょう。カレーのシミの原因はターメリックによるものですが、この黄色成分は日光などの紫外線に弱く当たると無色化する性質があります。そのため、何度も洗濯をしてその度に外に干してゆくとどんどん薄く落ちてゆくのです。
色物などは日光で色あせすることもありますので、日陰干しを何度かしてみます。また、直ぐに落としたい場合はベンジンを浸したタオルでたたき拭きをし、お湯に漂白剤を入れて浸してみるとよいでしょう。
ナツメグ
四大スパイスと呼ばれるスパイスの存在をご存知ですか?胡椒・シナモン・クローブ・そしてナツメグです。ナツメグといえばハンバーグを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし実はカレーのスパイスにも使われているのです。
ナツメグの産地はモルッカ諸島や東インド諸島で、ニクズク科の常緑樹の果実から作られます。実は杏のような黄色い形状をしていて、熟れると果実に裂け目が入り種皮が現れるのです。その仮種皮を取り除き、殻を割って出てくる黒褐色の種子がナツメグです。この際に取り除かれる仮種皮のことをメースといい、メースもスパイスの一種として使われています。
ナツメグはふわっと広がる甘みと苦味が独特のスパイスです。主に香り付けに使いますが、そのヒミツはa‐ピネンとカンフェンという木の実ならではの芳香成分。どうりであんなに香ばしい香りがするはずです。
ナツメグを使用する際は通常はパウダーにして材料に振り掛けます。挽き肉によく合うので、挽き肉カレーを作るときにオススメです。コツは調理する前にスパイスを少々振り、よくなじませること。調理したときに風味が引き立ちます。多すぎると逆に刺激が強くなるので適量を感覚で覚えましょう。オールスパイスやシナモン、チーズなどとも相性がいいようです。カレーやハンバーグ以外にもロールキャベツ、ソースのスパイスとしても優秀。
ピリッと引き立つ風味が魅力のナツメグですが、実は煮込むことによって甘みを増す性質があります。そのためトマトを使った煮込み料理やクッキーなどの菓子にも利用されているのです。
肉料理にもお菓子にも使えるオールマイティーなスパイス、他にも色々な料理に試したら意外な発見が期待出来そうですね。家庭に一本あれば家族からの評判が上がること請け合いです。
カレーと肉
ちょっと料理が出来る輩がカレーを作ると、高い肉を使ってカレーを作りたがります。しかし、カレーを作るにあたって高い肉を使う必要はありません。高いヒレ肉でも硬いすじ肉でも下ごしらえをしっかりし、弱火で長時間煮込むことにより肉の差異はほとんどなくなります。肉の良し悪しよりも調理法や手間の掛け方、下ごしらえの有無が味を左右するのです。
カレーに入れる肉は質や種類を問わないが、ソーセージ・ハムなどは一般的に適さないとされています。本格カレーを作ってみるとわかるのですが、長時間煮込む過程でつなぎであるでんぷん質が溶けて形がなくなってしまうからです。また、加工肉自体に味がついている物が多いため、カレーの風味を損ねてしまいます。スパイスの調合が命のカレーにとっては、味が変わる原因となってしまうため決して煮込み過ぎないように!他にはシーフードカレーのえびやいかの魚介類も注意しましょう。煮込むことで硬く小さくなってしまいます。
また、地域によって入れる肉の種類も傾向があるようで関西では牛肉派が多いよう。また東京や東日本では豚肉派が強いというデータもあります。
- 2008/12/26 22:05
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クミン
カレーのスパイスを調合するとき欠かせない主要スパイスのひとつがクミンです。これはエジプト原産のセリ科の一年草で、種子はクミンシードと呼ばれます。私たちが通常クミンと呼ぶのはクミンシードの方で、ほろ苦さと、なんともいえない独特の香りがカレーの風味をキリッと引き立たせてくれます。
クミンはそのままホールで炒めてもいいし、砕いて粉末状にして使う方法もあります。
ホールのまま使う場合は熱した油でクミンをさっと炒めます。しばらくチリチリと炒めたら、焦げないうちに取り出します。こうすることで油に香りが移り、次に材料を炒めたときも香りをつけてくれるのです。
粉末状にして使うときは空炒りしたクミンをすりつぶし、そのままカレーに入れるか他のスパイスと混ぜてオリジナルのスパイスを調合します。ターメリック・コリアンダー・シナモン・ナツメグ・グローブなど、数種類から十数種類のスパイスを好みの配分で混ぜ合わせます。スパイスは色づけ・香り付け・味付けなどそれぞれ効能があるします。
どのくらいの割合で配合するかは野菜か肉かといったカレーの種類やその日の気分によって変えられます。ただこれがなかなか難しい!理想の味を一度で表現するには、経験とカンがものをいいます。スパイスの世界は奥が深いのです。
カレーと福神漬
カレーといえば福神漬がセットとなって出てくるのが定番化しています。それではこの福神漬はいつどのように登場したのでしょうか。これには諸説ありますが日本郵船の一等食堂で始まったという説が有力のようです。当時はカレーの薬味にチェツネを出していたのですが、そのチャツネが切れてしまった際に替わりに福神漬を出したら大好評。以来カレーには福神漬が添えられるようになったという話です。また、ドライカレー風のひき肉カレーにだけ福神漬が添えられていて、以来通常のカレーにも普及していったという説も。
他には帝国ホテルが発祥だという説もあります。福神漬を考案した酒悦の社長は帝国ホテルのレストランの常連でした。そこで帝国ホテルの社長に福神漬とはなラッキョウを薬味として紹介したということです。当時の福神漬はナマタメ、ダイコン、カブラ、ウド、シソ、シイタケを醤油とみりんで甘辛く仕上げたものだったそうで、今だに福神漬というとこの当時のものがベースになっています。
今のところ結局どこが発祥だったのかは曖昧なままですが、カレーのパートナーとして広く浸透している福神漬。福神漬がないカレーは何か物足りない…とまで思わせるほど、カレーに福神漬は私たちの生活に浸透しています。
カレー粉偽造事件
昭和6年、C&Bのカレー粉が偽造されるという事件が起こりました。C&Bのカレー粉をベースにしてそれに唐辛子や陳皮を混ぜてコストの安いカレー粉を製造、それを更にC&Bの空き缶に詰めて売り出したのです。当時は使用されていたカレー粉はほとんどが輸入品、しかも一流店であれば必ずC&Bと相場が決まっていました。この偽造犯らはそこに目をつけ、本家C&Bの半値近くの安い値段をつけて売りさばいたのです。
そんな事がいつまでも続くわけがなく、イギリス大使館から抗議が起こり刑事事件となってしまいました。60名近くのものが新聞紙上に掲載されトップニュース扱いで大々的に報じられたのです。更に、事件の余波で全国の問屋や小売店に在庫していたC&Bカレー粉が真偽の調査のために出荷ストップする事態へと発展してしまったのです。
これだけの大事件となってしまったカレー粉偽造事件。しかし、国産のカレー粉がこの事件をきっかけにして注目されるようになりました。日本でつくるカレー粉も味の面でひけを取らないと認められ始めたためでしょうか。カレー店などでも国産カレー粉の使用頻度が高まり、国産の生産量が増していきます。皮肉なこととなりましたが、この偽造事件は国内カレー粉の普及に一役買ったという結果になったということでしょうか…。
サフランライス
カレーにとても合うサフランライスも、家庭で作ることが出来ます。
【材料】
・白米 250g
・サフラン 小さじ1
・クローブ 6個
・カルダモン 6つ
・シナモンスティック 適量
・塩 少々
1.米をざるに入れ、よく研ぎます。
2.ボウルに米と水700ccをいれ30分おきます。
3.小さめのボウルにサフランをいれお湯を加えて5分間付けておきます。
4.なべに油を熱し、クローブ、カルダモン、シナモンを入れ1分間いためます。
5.水を切った米をいれ、3分程度いためます。
6.米のつけ汁とサフランのつけ汁を米に加え、塩を振ります。
7.人にたちさせてから火を弱め15分ほど煮ます。
- 2008/12/16 09:16
- 家庭でできるカレー料理
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タイカレー
本場はインドのものと思われているカレーですが、わが国日本を含め各国でカレーが国民食として食べられています。たとえば、スリランカやパキスタン。それと東南アジア、タイなどでもカレーが頻繁に食べられています。ココナツミルクが入ったタイカレーはもう世界的に有名ですね。いまやインドとタイはカレーの2大王国となっています。
私たちは「タイカレー」などと呼んでいますが、タイでは「ケーン」と呼ばれます。タイでカレーを頼むとインドのイメージの日本のカレーのようなものが出てくるそうです。
- 2008/12/09 14:14
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カレーコロッケ
カレーがあまった次の日などに作るとおいしいコロッケです。チーズとカレーの相性が抜群のご飯がすすむおかずです。
【材料】
ごはん…200g
カレー…100g(2分の1食分)
溶けるチーズ…適量
パルメザンチーズ…大さじ4
水…100g
卵…1個
薄力粉…90g
パン粉…100g
ソース…適量
塩コショウ…適量
(1)ごはんとカレーを良く混ぜ合わせ、塩コショウで味を調えます。
(2)(1)を3~4等分して中に溶けるチーズを入れ、形を丸く作ります。
(3)水と卵と薄力粉とパルメザンチーズを混ぜ合わせ、チーズ味の衣を作ります。(2)を衣にくぐらせ、パン粉を多めに付けます。
(4)フライパンにサラダ油を熱し、(3)をいれます。弱火できつね色になるまでじっくり揚げて焼き色がついたら取り出します。
(5)皿に盛り付け、ソースを好みで付けて食べましょう。
- 2008/12/09 14:12
- 家庭でできるカレー料理
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カレー粉はイギリス生まれ?
カレーの本場はインドなのに?と思われることでしょう。確かに起源はインドになるのですが、カレー粉という概念を作ったのはイギリス人なのです。当時イギリスの植民地であったインドからイギリスにカレー料理が徐々に伝わっていったのですが、インドではその料理ごとにスパイスを複雑に取り混ぜて使っていました。スパイスを使い慣れていないイギリス人はその調合の難しさに困り、最初から調合されたスパイスを作ることになったのです。これがカレー粉。
インドでは日本人が思うよりもっと広い意味でカレーという料理があります。まったく辛くないカレーもあるとか。イギリス発のカレーの味にすっかり慣れてしまった私たちにはちょっと意外に感じるかもしれませんね。
ターメリック(ウコン)
カレーと沢庵の黄色は同じものから出来ている。
というと少し意外な感じがします。言われて見ると同じ系統の黄色ですが、味のイメージがあまりに開いているのであまりピンと来ないというのが正直なところではないでしょうか。
その鮮やかな黄金色はターメリックというスパイスで作られます。ターメリックは日本ではウコンという言い方の方がポピュラーかもしれません。このターメリックの活躍でカレーの色はあの輝く黄金色になり、沢庵は鮮やかな黄色になるのです。白いカレーや緑のカレーもありますが、やはりカレーはあの色でないと何だか違う料理を食べている感覚がします。目でも料理を楽しんでいるとはよく言いますが、あの色の汁物をみると自動的にカレー味を連想してしまうほど頭の中に色と味の結びつきが先入観として植えつけられているのではないでしょうか。
そして、それだけではありません。この黄色にはもう1つ重要な効果があります。ウコンの中の更に黄色の成分をクルクミンと言うのですが、このクルクミンが二日酔い防止やがん抑制、美肌効果などに働くのです。二日酔いにウコンが効くというのは、つまりこのクルクミンが作用して肝臓の働きを助けているわけです。
カレーの黄色は体にも美味しい色だということなのですね。
タマリンド
タマリンドはアフリカの熱帯地方を原産とするマメ科の植物です。古くからインドで使用されていたため、インディアンデートという呼び名もつけられています。
食用に使用するのはさやの内側についている紫がかった茶色の果実の部分。通常はこれをいくつかくっつけてブロックにしたり、ペースト状にして販売されています。インドではカレーやチャツネ、サンバルと呼ばれる豆と野菜のシチューなどに酸味料として使用され、柔らかくフルーツのような酸味があるのが特徴です。またヨーロッパではピクルスやウスターソース、タイではトムヤムクンのスープに欠くことのできない存在。品種によって甘みが強く酸味が弱いものもあり、こちらは生のまま食べたり、ドライフルーツや砂糖漬けにすると美味しくいただけます。また西インド諸島では清涼飲料水にも加工されているそうです。
タマリンドには腸の働きを整える作用があるため、便秘の改善や、インドでは赤痢など腸の病気にも薬として処方されています。
チャイブ
チャイブはユリ科ネギ属の根菜で、あさつきに似たネギの仲間です。北ヨーロッパを原産とし、中国でも古くから食用に用いられてきました。現在はアメリカやドイツが主要な産地となっています。
チャイブは鮮やかな緑色と、ねぎ特有の辛みをもっとマイルドにしたような刺激が特徴です。葉を刻んでポテトサラダやスープにふりかけたり、卵料理などに広く使用されています。またチーズや鶏肉、魚を使った洋風の料理とも好相性。もちろん和風料理にも薬味として利用されており、カレーうどんにふりかけると風味がアップします。
チャイブはカロテンを多く含むため緑黄食野菜に分類されています。またネギの香りの元である硫化アリルという成分には、ビタミンB1と結びついて糖質をエネルギーにする働きがあるため、食用を増進させたいとき料理に使用するといいでしょう。
ターリー
ターリーはインドの定食です。また、食事を入れるお皿そのもののことも指します。お盆のような大きな皿にいくつか仕切りがあり、料理を分けて盛れるようになっているのが特徴。ナンやチャパティ、米などの主食に、カレー、タンドリーチキンなどのサイドメニュー、そしてスープ、デザートがつき、ワンプレートで一度にいろいろな種類のインド料理が食べられるとして、本場インドでは旅行者に人気のあるメニューなのです。食堂はもちろんですが、インド国内では列車の中、バスの中など至るところでターリーと出会うことができます。
ちなみにインドはベジタリアンが多く、そのためターリーも肉を使わない野菜中心のヘルシーメニューが中心です。しかし場所によって、チキンやマトンなどの肉が入っていることもあるといいます。味は地域によってそれぞれカラーがありますが、北インドと南インドでは特に違いが顕著なそうです。ちなみに南インドではターリーのことをミールスと呼んでいます。
ナンプラー
タイや東南アジアの料理に欠かせないのがナンプラーです。これは塩気を加えた魚類を発酵・熟成させて作る魚醤と呼ばれる調味料のひとつ。魚醤にはほかにもベトナムのニョクマム、インドネシアではトラシ、日本では秋田のしょっつるなどが有名です。
ナンプラーは独特の強い臭気がありますが、魚から抽出された濃厚な旨みが料理に塩気を与え、ぐっと美味しさをアップさせてくれます。この旨み成分の元はタンパク質が分解されてできたアミノ酸と魚肉に含まれている核酸。ほかにもミネラルやビタミンも豊富に含まれているのです。
東南アジアではほとんどの料理のベースにナンプラーが使われ、食堂や屋台には常備されているほど。トムヤムクン、野菜や肉の炒め物に加えて味付けに使用されるほか、タイ風カレーにも隠し味として愛用されています。
納豆カレー
カレーには様々なバリエーションがありますし、納豆もテレビや本で幅広いレシピが紹介されていますが、この二つの組み合わせを初めて聞いたときは驚きました。
そうです、納豆カレーというものは本当に存在するんです。しかもなかなか定評があるんですよ。
納豆カレー誕生のきっかけは、1970代に出来たあるカレーライス専門店。この店の主人がたまたま冷蔵庫に入っていた納豆をカレーに入れてみたところ、思いのほか美味しかったため店のメニューとして出すようになったのだそうです。今ではカレーチェーン店でも定番メニューのひとつに納豆カレーが加えられていますね。
納豆カレーのポイントはカレーと納豆のバランスだといいます。カレーと納豆の分量、使用する納豆の粒の大きさなど、細かい部分にこだわってこそ、両方の良さが引き出され美味しいカレーになるのかもしれません。なにはともあれ、一度は試してみてほしいカレーのひとつです。
- 2008/11/04 13:27
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ガジュツ
ガジュツはショウガ科ウコン属の多年草で、英語ではゼドアリーと呼ばれています。また和名では、根や茎、包葉が紫色であるため紫ウコン、初夏に花をつけることから夏ウコンとも呼ばれています。
原産地はインドを中心とする熱帯アジア。東アジアや中国、インドネシアやバングラディシュなどにも広く分布しています。日本では屋久島や種子島、沖縄などが良質のガジュツの生産地として有名です。
ガジュツはシネオールやカンファー、セスキテルペン、クルクメノシンなど、あまり耳にしたことのないような成分を100種類以上含んでおり、日本薬局方に生薬として収録され用いられています。しょうがとよく似た用途として使用されるのが一般的で、風邪や鎮痛、消化不良や吐き気などの症状にあてがわれることが多いです。また最近は、シネオールやアズレンなどガジュツに含まれる成分が脂肪やコレステロールを分解・排泄してくれ、ダイエットに効果的だと女性からも注目を浴びています。
スパイスの形態
スパイスには色々な形態があり、大別すると生のスパイスと乾燥させたスパイスに分けることができます。素材や料理、目的に合わせて使い分けることがスパイス名人への近道です!
・フレッシュ
→洋風のいわゆるハーブと呼ばれるものと、日本で薬味として使われるものがあります。
ハーブはサラダやパスタなど、薬味は魚の刺身や鍋物・佃煮などに利用されます。
・パウダー
→乾燥させたスパイスを細かく砕いて粉末状にしたものです。手軽で使いやすく、肉や魚料理の下味付けやソテー、スープなどどんな料理にも使いやすいのが魅力。調理の仕上げにささっと振りかけたり、食事中に直接使用しても風味をアップさせることができます。
・あらびき
→ホールを使いやすい形の粒状にしたもののことです。機械やミルで挽いたり刻んだりすると香りや風味が増すため、パウダーよりもっとスパイスを効かせたい場合に利用します。肉料理のソテーやロースト、マリネなどに適しています。
・ホール
→スパイスを原型のまま乾燥させたものなので、風味を強く出したい時、香りを本格的につけたい場合に使います。加熱時間が長い煮込み料理などでは、布でできた子袋にスパイスを入れて煮出し、後から取り出して使います。
・ミックススパイス
→カレー粉やガラムマサラ、七味唐辛子など、複数のスパイスを混ぜ合わせたものです。
あらかじめ最適な量をブレンドしてあるので、スパイス初心者の方でも使いやすいところが魅力です。
・シーズニングスパイス
→食塩や砂糖、その他調味料にスパイスをブレンドしたもの。ミックススパイスと同様、味付けに自信がないときや本格的な味や風味を出したい時に使うのがお勧めです。
セサミ
セサミとは日本で言うゴマのこと。日本でも毎日の食卓によく登場し、大変馴染み深いスパイスのひとつですよね。
セサミは東インドやエジプトを原産とするゴマ科の一年草で、現在は中国、エジプト、ブラジルを始め世界各地で栽培されています。セサミは7000年前のくさび形文字にも名前が記されているほど古くから親しまれており、当時は主に油を採ることを目的としていました。現在では食用油のほか、食用として和洋中問わず様々なジャンルの料理に使用されています。
セサミには黒ゴマ、茶ゴマ、白ゴマの3種類があり、色が濃いほど風味が強く、反対に薄くなるほどマイルドな風味がする特徴があります。
特に手をくわえずそのまま調理に使ってもいいですが、煎ることで香りが引き立つため、香ばしさを出したい場合は調理の際フライパンで軽く火を通しましょう。またゴマ油、すりゴマや練りゴマにして利用すればさらに料理の幅が広がります。中国ではゴマ油が風味付けに欠かせない存在ですし、日本人にもゴマ油を使ったドレッシングは大人気です。またパンやケーキ、クッキーや煎餅などの生地に練り込んだり、トッピングに使用したり、菓子類との相性もグー。
またセサミは不老長寿の秘薬と呼ばれるほど栄養価が高いスパイスで、カルシウムやビタミンB1、鉄分、食物繊維がたっぷりふくまれています。またセサミン、セサミノールなどのゴマグナリン物質には活性酸素を撃退する抗酸化作用があり、コレステロールの除去や動脈硬化の予防、ダイエットや美肌効果にも期待できる優れもの。テレビや雑誌でもたびたび特集が組まれるほどの人気ぶりに注目です。
ポマンダー
ポマンダーはオレンジやレモンなどの柑橘系、りんごなどの果物にスパイスをまぶして作る香りを楽しむための丸い玉です。
手作りのポマンダーには幸運を呼ぶという意味が込められているため、欧米ではクリスマスや新年を迎えるとポマンダーをプレゼントとして交換し合う習慣があります。
作り方は簡単。まず好みの丸い果物に十字にテープを巻きます。次に竹串などで果物の表面に穴を開けていきます。この穴の中にクローブを差し込むのですが、この時奥までしっかり指しこんで果汁を吸収させるのがポイントです。
ここまでの作業が終わったらテープをはがし、ポマンダー用に作っておいたスパイスをまぶし、風通しのいいところに吊るして乾燥させて出来上がりです。
プレゼントにするときはリボンをかけるとかわいらしいですし、そのままツリーや部屋の飾りとして使っても楽しいですよ。
パセリ
パセリはセリ科の二年草で、別名をオランダゼリといいます。あざやかな緑色とさわやかな苦みのある香りが特徴のハーブです。原産地は地中海沿岸ですが、環境に適応しやすい性質であるため今では世界各地で栽培されています。
パセリには大きく分けて4つの種類があります。まず1つ目、葉が縮れた日本でおなじみのパセリがパナマウント種のモスカールドパセリ(カーリーパセリとも呼ばれる)です。葉の部分を料理に添えて、彩りを演出するのによく使われますね。2つ目はイタリアンパセリ(フレンチパセリとも呼ばれる)。これは葉がまっすぐで平たく、その分食感もモスカールドパセリと異なります。この他に大きな葉柄の部分を食べるナポリタンパセリ、ニンジンのように根の部分を食べるハンブルグパセリがあります。
パセリは栄養価が高く、ビタミン、ミネラルや鉄分が豊富に含まれていのです。特にビタミンAはにんじんと同等の量で、ビタミンCはレモンの2倍!またパセリ特有の苦味成分であるアピオールには臭みを消す効果があるので、肉や魚の臭み消しや口臭予防によく利用されています。
料理に使われる場合は、やはりキレイな緑色を活かしてサラダやパスタ、ソテーなど様々な料理の飾りに使うことが多いでしょう。もちろん見た目を彩るだけでなく、塩と相性がいいため塩味の料理にもよく利用されます。特にヨーロッパではパセリのみじん切りを塩・こしょうと同じ感覚で日常的に使用しているといいます。また、パセリは味や香りに干渉せず素材や他のスパイスの良さを引き立てる効果があり、料理の最後にみじん切りにしてふりかけたり、ブーケガルニという煮込み料理には欠かせない、頼もしいスパイスなのです。
バニラ
アリスクリームなどでお馴染みのバニラは、ラン科バラ属のつる性植物です。メキシコ、中央アメリカを原産とし、マダガスカルやメキシコなど熱帯地域で広く栽培されています。
収穫や加工に手間がかかるため、現在市場に出ているものはほとんどが人工のもの。天然のバニラには大変高価な値が付けられます。
バニラは摘み取っただけでは香りがしないため、収穫した種子を発酵・乾燥させることでその温かみのある特有の甘い芳香を引き出します。店頭ではバニラエッセンスやバニラオイル、バニラビーンズとして加工され販売されています。
料理には香料として使用されます。アイスクリームをはじめ、ケーキやカスタードクリーム、プリンなどの甘い菓子類が代表的。バニラはチョコレートやココア、コーヒー、ワインといった飲料にも含まれることが多く、わたし達は知らず知らずのうちにバニラの香りを楽しんでいることになりますね。そのくらい広く日常に溶け込んでいる、身近な存在だといえるでしょう。
サラダ
サラダは辛くて刺激の強いカレーと一緒に食べるにはぴったりの副菜です。
レタスやみず菜などの葉ものにトマトやブロッコリーを添えてさっぱりさせてもいいですし、キャベツや豆でコールスローサラダにしても口直しになります。またポテトサラダはボリュームがありますし、ほくほくした食感がカレーの辛さを和らげるためワンクッション置きたいときにピッタリです。
サラダの材料の組み合わせ方だけでも色々なバリエーションが考えられますが、ドレッシングを変えるとさらにテイストの変化を楽しむことができます。しょう油ベースの和風ドレッシング、ペッパーの風味がアクセントのイタリアンドレッシング、マヨネーズと酢の酸味が美味しいフレンチドレッシングをはじめ、クリーミーで風味豊かなゴマドレッシング、ゴマ油が効いた中華ドレッシングなどなど、ほかにも様々な種類のドレッシングがあります。市販のものを使ってもいいですし、調味料を揃えて自分で手作りしても楽しいですよ。
ベトナムのカレー
ベトナムカレーはサツマイモやココナッツミルクが入った、甘くてまろやかな味が特徴です。とろみはなく、スープのようにさらっとしています。辛さは控えめですが、日本と同様ライスにかけたりパンと一緒に食べるのが一般的です。
作り方は、まず肉や野菜にカレー粉をまぶし味をなじませておきます。しばらく置いたらこれを鍋かフライパンにあけ、ガーリックやレモングラス、シナモンなどのスパイスと一緒に炒め、ココナッツミルクを入れて煮込みます。日本では最後にカレールウを入れて煮込みますから、手順の違いがおもしろいですね。
またベトナムの市場では様々なカレー粉やカレーペストが売られており、自分たちでオリジナルのスパイスを調合している家庭も多くあるそうです。残念ながら日本でベトナムのカレー粉を入手するのは難しいので、自宅で作ってみたいときは、チリパウダーやターメリック、コリアンダー、シナモン、クローブなどベトナムのカレー粉に使用されているスパイスを参考にしてみるといいでしょう。
セージ
セージはシソ科サルビア属の多年草で、地中海沿岸を原産地とします。500種類以上もの変種がありますが、一般に店頭で売られているのはコモンセージという品種です。
現在の主な産地はギリシャ、イタリア、トルコ、ユーゴスラビアなど。ヤクヨウサルビアの別名を持つように、古代ローマ時代から万能薬として人々に重宝されてきました。「長生きしたい者は5月にセージを食べよ」「庭にセージを植えているものは不老不死」などということわざもあるほどです。
利用するのは葉の部分。乾燥させ、表面が白っぽくなったものは品質がいい証なのだそう。渋みとわずかな苦味が感じられ、主な効能に殺菌消毒作用があるため豚肉や鶏肉、鯖など魚の臭み消しにはもってこいです。
また消化促進や精神安定効果も期待でき、食後の胃もたれに効くともいわれています。
料理ではソーセージや挽き肉の詰め物を作る時に、乾燥させた葉の粉末や生の葉をそのまま細かく刻んで加えます。またタイムやローズマリーなど、ほかのハーブと一緒にオリーブオイルに混ぜて野菜やシーフード、オーブン料理の下味に使うとおいしいですよ。
またハーブティーや観賞用としても人気があります。
豆類
インドでは宗教上の理由から肉を食すことを禁じる風習がありました。そのためベジタリアンが多く、豆は貴重なたんぱく質のもととして重宝されていたのです。また豆には植物が育つための栄養が蓄えられているため、栄養の貯蔵庫としても人々の健康を支えていました。
世界中には色々な種類の豆があります。インドや北アフリカではレンズ豆、アメリカではいんげん豆、ヨーロッパ地方ではひよこ豆やソラマメなどがそれぞれ原産で、その地域で昔から人々に食されてきました。日本でも大豆が納豆や豆腐の原料として、また小豆は赤飯や和菓子の材料として人々に愛されています。
カレーによく使用されるのはひよこ豆やレンズ豆、いんげん豆など。乾燥した状態の豆を水で柔らかく戻し、炒めたり煮込んだりして調理されます。手間をかけたくない場合は水煮缶が便利です。
豆の植物性たんぱく質は動物性のものと比べ良質で、必須アミノ酸が豊富です。またビタミンB群、カリウム、サポニンという老化を防ぐ働きのある成分も含まれており、健康はもちろん美容にも大変効果の高い食材なのです。
豆カレーは豆のほくほくした食感やほのかな甘味が美味しいだけでなく、体を丈夫にキレイにしてくれる、一石二鳥の効果が期待できるカレーだといえるかもしれませんね。
オールスパイス
中央アメリカ、西インド諸島などの熱帯を原産とするフトモモ科で、また緑色の未熟な果実を天日で乾燥させたものがオールスパイスです。主な産地ではジャマイカが最も有名です。
名前の由来はクローブ・シナモン・ナツメグをミックスしたような香りがすることにあります。さわやかで心地いい芳香に加え、かすかな苦味とピリッとした刺激が感じられる味が特徴です。
オールスパイスをヨーロッパに持ち込んだのはコロンブスですが、紀元2世紀頃にはマヤ・インディオが王の遺体の周りにオールスパイスを防腐剤として敷き詰めて使用していたといいます。
主な効能に殺菌・抗菌、油の酸化防止のほか、消化促進など消化器系の症状を和らげる効果もあります。また精油として薬品の香りづけにも利用されます。
料理ではソーセージやハンバーグ、牛肉のローストなどと相性がよく、トマトの煮込み料理やスープなどに加えても効果的。もちろんほかのスパイスと混ぜ合わせカレー粉にすることもあります。また食品メーカーではケチャップやソースの香りづけに使われる、重要なスパイスとなっています。
タラゴン
タラゴンの原産地はシベリアや西アジア。現在の主要産地はフランス、オランダなどです。キク科のハーブでよもぎの仲間ですが、見た目は特に似ていません。
タラゴンには種類が2つあり、ひとつはフランス種、もうひとつはロシア種です。フランス種は甘く強い香りと、葉っぱ特有のかすかに苦味のある香りが特徴です。ロシア種は甘みのある芳香はありませんが、同様にピリッとした苦味が感じられます。
タラゴンはエストラゴンという別名でも呼ばれており、フランス料理によく使われています。特にエスカルゴ料理にはなくてはならない存在で、美食家達にとても愛されているのです。また鶏肉や卵料理、クリーム系のタルタルソースなどと相性がよく、ワインビネガーにタラゴンを漬け込んで作るタラゴンビネガーは、ドレッシングやピクルスに作りに使用されています。
エビ
刺身や天ぷらなどの日本食はもちろん、グラタンやピラフ、エビフライやシュウマイなど、エビは多くの国々で人々に好まれている食材です。火を通すと鮮やかな赤と白の姿が美しく、形もいいことから、結婚式やお祝い事の席で縁起ものとして利用されることもよくあります。
淡白で癖のない味は、もちろんカレーとの相性もぴったり。オリーブオイルやバターで軽く炒めてから煮込むと、エビの香ばしさが引き立ちます。殻をつけたまま炒めるとさらに旨みがよく出ますが、煮込む際は殻を外して入れましょう。
エビには様々な種類があり、一般によく使われるのは中型の車エビ。秋~冬にかけて旬の時期を迎えます。また伊勢えびやオマールエビを使うと、値段は高いですがリッチでコクのある味わいを楽しむことができます。
エビは良質な高タンパク質で低カロリー。わずかに含まれる脂肪は不飽和脂肪酸が多く、血液中のコレステロールを下げる効果も期待できます。またビタミンEやカルシウムも豊富で、成人病予防の効果があるタウリン、コレステロールを除去するチキンという成分も含まれており、体に優しいヘルシー食材として注目されているのです。
現在のスパイス貿易
かつては貴族や大商人しか手に入れることのできなかったスパイスも、19世紀頃から一般に人々にも入手できるようになりました。
現在スパイスを輸出している国で最大国といえば、やはりインドです。ペッパー、チリ、ターメリック、カルダモン、ジンジャー、クミンやその他カレーパウダーなど、カレーに使用されるスパイスを中心に取引きされています。続いて2位はインドネシア。ペッパー、ナツメグ、メース、クローブ、バニラ、カシアなどを輸出しています。そして3位以降にブラジル、マダガスカル、マレーシアが続きます。
スパイスの生産国の中には発展途上国も多く、スパイス貿易が国の重要な産業となっているところもあります。反対に日本ではスパイスのほとんどを輸入に頼っているのです。生産国との貿易のおかげで私たちはカレーやその他スパイスを使った料理を食べることができるのですから、感謝の気持ちを忘れずにいたいなぁ、なんて思う今日この頃なのでした。
タイム
タイムはシソ科の多年草で、原産地は地中海沿岸。主な産地はフランス、スペイン、ポルトガル、ギリシアなど、亜熱帯から温帯にかけて生育しています。
かすかな苦味と清々しい香りのする、心地よさの感じられるハーブです。
ヨーロッパでは昔から「タイムの香りがする」といわれることは最高の褒めことばだったそう。それはタイムが小さくても気品のある香りを漂わせていることから、勇気の象徴、気品や優雅さを表すハーブとして人々に信じられていたからです。そのため当時は戦争に行く兵士がタイムの小枝を身につけたり、女性がタイムの柄の刺繍をほどこしたものを兵士にプレゼントしていたといわれています。
ひとくちにタイムといっても、その品種は多種多様、用途も料理から観賞用まで様々です。
料理に使用されるものでポピュラーなのは、さわやかな芳香が強く、フランスやイギリスで有名なガーデンタイム、また主にスパイスとして使用されるものには、すがすがしい中にほろ苦さと甘味が感じられるコモンタイムなどが挙げられます。
他にもレモンタイム、コンチネンタルワイルドタイム、クリーピングタイムなど、約30種にものぼる種類のタイムがあります。
タイムにはフェノールやチモールといった殺菌・防腐作用のある成分が含まれており、ソーセージやハムなどの加工に適しています。また肉や魚と相性がよく、肉料理や魚料理の他、ホイルの包み焼きやシチュー、トマト煮やマリネなどにもピッタリ。
長時間煮込んでも香りが残るため、だしをとる時に使うブーケガルニやブイヨンの材料には欠かせません。また食用はもちろん、入浴剤やポプリなど香料や観賞用としても人気があり、幅広く愛されているスパイスなのです。
タイム
タイムはシソ科の多年草で、原産地は地中海沿岸。主な産地はフランス、スペイン、ポルトガル、ギリシアなど、亜熱帯から温帯にかけて生育しています。
かすかな苦味と清々しい香りのする、心地よさの感じられるハーブです。
ヨーロッパでは昔から「タイムの香りがする」といわれることは最高の褒めことばだったそう。それはタイムが小さくても気品のある香りを漂わせていることから、勇気の象徴、気品や優雅さを表すハーブとして人々に信じられていたからです。そのため当時は戦争に行く兵士がタイムの小枝を身につけたり、女性がタイムの柄の刺繍をほどこしたものを兵士にプレゼントしていたといわれています。
ひとくちにタイムといっても、その品種は多種多様、用途も料理から観賞用まで様々です。
料理に使用されるものでポピュラーなのは、さわやかな芳香が強く、フランスやイギリスで有名なガーデンタイム、また主にスパイスとして使用されるものには、すがすがしい中にほろ苦さと甘味が感じられるコモンタイムなどが挙げられます。
他にもレモンタイム、コンチネンタルワイルドタイム、クリーピングタイムなど、約30種にものぼる種類のタイムがあります。
タイムにはフェノールやチモールといった殺菌・防腐作用のある成分が含まれており、ソーセージやハムなどの加工に適しています。また肉や魚と相性がよく、肉料理や魚料理の他、ホイルの包み焼きやシチュー、トマト煮やマリネなどにもピッタリ。
長時間煮込んでも香りが残るため、だしをとる時に使うブーケガルニやブイヨンの材料には欠かせません。また食用はもちろん、入浴剤やポプリなど香料や観賞用としても人気があり、幅広く愛されているスパイスなのです。
五香粉
中国でも色々な料理にミックススパイスが使われています。それが中国の伝統ある香辛料、五香粉です。
八角(スターアニス)、花椒(サンショウ)、シナモンまたはカシア、クローブ、フェンネルなどの5つの香辛料を混ぜ合わせたものが一般的ですが、カルダモンやドライジンジャー、ナツメグ、胡椒、甘草のうちからスパイスを選ぶこともあります。ちなみに五香=数種という意味ですので、組み合わせの種類や数はこれだけではありません。
本格的な中国料理には、五香粉が隠し味として重宝されています。豚の角煮や鶏のローストといった肉料理のほか、マリネにも少量入れるだけで中華の味を作り出すことができるのです。材料の下味や肉の臭み消しとしても活躍します。
また五香粉と花椒塩と同量ずつブレンドして作る椒塩五香粉は、鶏のから揚げや天ぷらの衣に使用すると風味がアップしておススメですよ。
ココナッツ
ココナッツはマレーシア半島やポリネシアなど熱帯アジアを原産とするヤシ科の単子葉植物で、ココヤシの果実です。歴史が古く、1億年以上も前にはすでに存在していたといいます。
果実は繊維質の厚い殻に覆われ、中には大きな種子があります。種子の内部にはさらに胚乳があり、固形胚乳と液体胚乳に分かれています。この固形胚乳を水と一緒に煮込み、裏ごしして布で絞って得られる甘い液体がココナッツミルクです。タイやマレーシア料理の調味料として頻繁に登場し、ココナッツを使ったココナッツカレーは有名ですね。菓子やパンにトッピングするパウダー(ココナッツファイン)をカレーに振りかけて甘みを加えてもグー。またココナッツジュースやプリン、ココナッツ団子などのアジアンスイーツ
は女性に人気の高いデザートとなっています。
ちなみにコプラというココナッツの胚乳を削って乾燥させて作るココナッツオイルは、マッサージオイルや石鹸の原料として使用されます。また髪の毛に油分を与えるためヘアケアとしても活躍しています。
たまには南国の気分を味わえる甘い果実ココナッツとスパイシー香辛料の組み合わせで、いつもと違う味のカレーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
コルマ
コルマとはパキスタンやアフガニスタンで食べられているカレーのこと。ダリ語(ペルシャ語)でカレー、ウルドゥー語でリッチな、という意味を持っています。鶏肉を使ったチキンコルマが主流ですが、羊肉を使ったマトンコルマ、チーズや野菜を使ったコルマなどもあります。
コルマの特徴にはじっくり炒めてとろみを出した玉ねぎを入れること、そしてカシューナッツや生クリーム、ココナッツミルク、ヨーグルトなどの乳製品を加えること、など様々な見方があるようですが、これらに共通しているのは甘味のあるマイルドな仕上がり、ということでしょうか。辛味が少なく独特の味わいがするため、癖になってしまう人もいるそうです。
お店で食べる場合は、店員さんにお願いすれば辛さを足してもらえることもあります。また食べ方は日本やインドと同様で、ライスやナンと一緒に食べるのが一般的です。
アサフェティダ
日本ではちょっと聞いたことのない名前のスパイスだと思います。アサフェティダはインド北部を原産とするセリ科の植物で、イランやアフガニスタン、パキスタンなどにも分布しています。
スパイスとして使用するのは、根茎から採れる樹脂を乾燥させたもの。そのため語源はペルシャ語で「樹脂」という意味の「アザ」、ラテン語で「臭う」という意味の「フェティダ」
からきているのだといいます。
アサフェティダには硫黄のようなとても強い刺激臭があり、生のままでは悪臭に加えて苦味と辛さがあるため調理には使用されません。しかし、熱を加えるとニンニクや玉ねぎのようなほどよい香りが立ち上がるようになります。
ほんの少量を料理に加えるだけで美味しさが増すため、インドや中東の料理には欠かすことのできない存在です。主に野菜や豆の料理、ピクルスやソースの材料に使われます。また宗教の違いによりばらつきがありますが、肉を焼くときに利用されることもあるそうです。
薬理効果として、けいれん、気管支炎、腹部の張りなどに効き目があります。
ブーケガルニ
ブーケガルニとはフランス語で「香草の束」という意味を指す、ミックススパイスのひとつです。タイムやパセリ、セロリやローリエなど数種類の生のハーブを束ね、たこ糸で縛って作ります。乾燥させたスパイスを使用する場合は、袋詰めにします。
用途としてスープのストックや煮込み料理の風味付けには欠かせませんし、肉や魚などの臭み消しとしても一役買っています。もちろんカレーに入れてもグーです。
一般的には食用として利用されるブーケガルニですが、もともとハーブは香りの良さを活かしてポプリにしたり、フレッシュな場合は葉っぱの緑を楽しんだりもします。そのためブーケガルニもテーブルに飾ったり、プレゼントとして人に渡したりして楽しむこともあるようです。
ポーク
ポークとは豚肉のことをいいます。カレーにはポークカレーとしてよく登場しますね。豚肉は最も消費量の多い食肉で、牛肉の約3倍の消費量があるそうです。ちなみにイスラム教では豚は浮上なものとされているため、インドでは食を禁じられています。
豚肉は必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のタンパク質で、スタミナの元であるビタミンB1はなんと牛肉の10倍も含まれています。他にもビタミンAやビタミE、カリウムやリンなども摂取できる、栄養価の高い食肉です。
豚肉は7つの部位に分けられており、ヒレ、ロース、肩、肩ロース、バラ、もも、そともものとなっています。カレーに使用するなら、厚切りにしたばら肉がお勧めです。脂身と赤身が両方交じり合って層を作っているので、しばらく煮込んでも肉がぱさつくことがないからです。またシチューに使われる角切り肉は、歯ごたえのあるジューシーな肉の食感を楽しみたいときに向いています。
調理上の注意点をあげるなら、煮込むとアクが多く出るため、こまめに取り除くようにするといいでしょう。
カレーのインターネット宅配
ネットの普及に伴い、近年色々な商品を通販で購入することができるようになりました。配送時の気温や湿度、振動による崩れなどが気になる食品も、包装や保存剤・保冷剤をしっかりすることで安心して注文できるようになっています。
もちろんカレーも通販の主力商品のひとつとして、連日人気が殺到しているようです。レトルトからルー、スパイスセットまで様々な形態で販売されており、カレー専門店のシェフが作るカレーのレトルトパックや地域限定のバラエティ豊かなカレー、本場インドで調合されたカレースパイスなどなど、スーパーでは手に入らないような商品を購入できる点がなんといっても魅力です。
価格は商品によって様々で何千円するようなものもありますが、送料無料サービスや一定金額以上を購入することで割引できるサービスなどお得情報がある場合はしっかり利用しましょう。いつもお中元やお歳暮に贈るものが決まっていたり、プレゼントを迷っているとき、通販を利用して美味しいカレーを贈ってみるのもいいかもしれませんね。
ディル
ディルは細くて繊細な葉や茎が特徴のセリ科の植物です。地中海地方を原産とし、主にドイツやイギリスで生産されています。
語源をさかのぼると「穏やか、なだめる」という意味のノルウェー語「dilia」に由来しており、その名の通り幸運をもたらす植物と考えられており、女の呪いから実を守るお守りとして使用されていたというエピソードも残っています。
ディルの葉には爽やかな清涼感があり、種子には舌がピリッとするような辛みがあります。
料理にはピクルスやサラダ、スープに使用されるほか、魚との相性がいいため、マリネや焼き魚にも重宝されています。またパンやクッキーなどの焼き菓子の生地に混ぜ込んでも風味が効いて美味しさがアップするのでお勧めです。
ディルには神経を落ち着けたり消化を助ける鎮静作用があります。そのためお茶にして夜泣きをする赤ちゃんに飲ませたり、心身ともに弱っている入院患者にディルの入った飲み物を出すこともあるそうです。
ポメグラネート
ポメグラネードは日本でザクロと呼ばれる、亜熱帯地方を原産とするザクロ科の落葉樹です。オレンジがかった赤い実が美しく、鑑賞用として昔から人々に愛されてきました。
種類によって酸味が強いものや甘みの強いものがありますが、ほのかに甘酸っぱい外種皮はすりつぶしてチャツネやカレーに酸味料として使用されています。もちろん生食でもいけますし、ジュースの原料や、シュガーシロップにザクロの風味をつけたグレナデンシロップはカクテルに欠かせません。また、種子は中近東やイランでサラダの付け合せやデザートにも用いられています。
ザクロはクエン酸やカリウムなど、ミネラルやビタミンが豊富です。また女性特有のホルモンであるエストロゲンが種子の部分に含まれていて、美容や更年期障害に効果があるといわれています。ただし女性ホルモンにまつわる疾患を患う可能性のある方は、採りすぎると乳ガンや子宮ガン発症につながることもあるため注意しましょう。
ミント
ミントはシソ科ハッカ属の多年草で、名前の由来はギリシャ神話に出てくる妖精ミンテから来ています。原産地は地中海沿岸で、主な産地はアメリカやイギリス、フランスなどです。
ミントにはペパーミント、スペアミント、和種のクールミントの3種類があります。
ペパーミントはスカッとした清涼感があり、葉が丸いという特徴があります。またクールミントはペパーミントと同様メントールの含有量が多く、清涼感のある強い香りが特徴です。これらはチョコレートやフルーツパイ、キャンディなど甘い菓子類と相性がいいほか、歯磨き粉の原料として使用されていることも有名です。
スペアミントはペパーミントほど香りが強くなく、甘い香りがあります。羊や鴨など癖のある肉料理、またトマトやナスなど夏野菜を使った料理に最適です。
ミントは吐き気や消化不良の症状、気管支炎などに効き目があり、医薬品の材料として使用されています。またアロマオイルやハーブティーにして、不眠症や神経症の解消に役立てることもあります。
フライドガーリック
フライドガーリックとはみじん切りにしたにんにくを油で揚げた調味料のことです。(まるごと揚げる場合もあります。)もともと香りが高く香ばしさがウリのにんにくですが、油で揚げることでさらに豊かな風味を引き出すことができます。また味が濃厚になり、カリッとした食感が楽しめるようにもなるという、通常のにんにくがさらにパワーアップしたものだといえるでしょう。ちなみに薄くスライスしたものはにんにくチップと呼ばれていますが、味や風味はフライドガーリックと同様となっています。
カレーとフライドガーリックは相性が抜群!特にまろやかでコクのある欧風カレーにはぴったりのお勧めの付け合せです。
カレーのほかにはチャーハンや餃子などの中華料理、ガーリックトーストやサラダ、パスタなどによく合います。なんとなく味が薄い、何か物足りない・・そんな時料理に少量加えるだけでぐっと美味しさがアップする、優秀な調味料なのです。
レモングラス
原産地は熱帯アジアで、現在はアフリカ・南アメリカ・オーストラリアなどでも生産されています。イネ科、オガルカヤ属に属する多年生のハーブで、見た目はススキのように背が高く、ねぎにも似ています。シトラールという成分が含まれており、レモンのような香りや風味があるのが特徴です。生のまま使用してもいいですし、乾燥させてパウダー状になったものがビンに入って売られていたりします。
葉をそのまま利用する場合は、みじん切りにして肉料理にまぶしたり、魚と一緒にアルミに包んでホイル焼きにすると風味づけになります。スープやカレーなどに使用する時はパウダーを他のスパイスや調味料と合わせて入れます。また、レモングラスは主にタイ料理やエスニック料理に欠かせないスパイスです。タイの代表的な料理、トム・ヤム・クンには葉を薄くスライスし、スープを煮出すのに使用したりします。
さっぱりしているため、特に鶏肉や魚、シーフードとの相性がいいのです。
気になる効能ですが、解熱や体を温めて発汗を作用があるため、風邪や頭痛、ストレスを解消したい時などにおススメです。
カリフラワー
カリフラワーはアブラナ科アブラナ属の野菜で、ブロッコリーの仲間です。花野菜、花キャベツという和名でも呼ばれています。
見た目はブロッコリーに形が似ていますが、色はきれいな乳白色なのが特徴。地中海地方を原産とし、日本へは明治時代に伝えられ、初冬から春先にかけて旬の時期を迎えます。
食用にするのは未発達のつぼみである花蕾(からい)の部分。ほんのり甘味のある味で、茹でてマヨネーズをつけて食べる方法がポピュラーですね。このほかスープに入れたり、グラタン、炒め物、ピクルスにするのもお勧めです。カレーに使用する際は、じゃがいもやにんじんなどと同じようにひとつの具として直接カレーに加えてもいいですし、先に挙げた料理にカレー粉を加えてカレー風味にするレシピも人気があります。またしょう油を加えて煮込んで和風にしてみても美味しいですし、色々なアレンジが楽しめるところもカリフラワーの魅力だといえるでしょう。
栄養はビタミンCが豊富で、ブロッコリーと比べても茹でた場合のビタミンCの損失が少ないという特徴があります。食物繊維もたっぷり含まれているので、腸の中をキレイに掃除し便通をよくする効果も期待できます。
イタリア風カレー
イタリアといえばトマトを使った料理が有名ですね。実はカレーもトマトソースやトマトスープがベースになっているんです。
イタリアには元々スープ料理の文化があり、唐辛子などの香辛料を使った辛口の料理も昔から人々に親しまれてきました。特に有名なのは、私たちもパスタなどでおなじみのアラビアータ。これは唐辛子を利かせたトマトソースのことで、トマト、ナス、ズッキーニなどの野菜、魚介類といった食材を使って様々な料理が作られています。その激辛ぶりがまるで怒っているようだということから、イタリア語で「怒り」という意味のアラビアータという名前がつけられたのだそうです。
このアラビアータとカレー粉、そのほかのスパイスやハーブをブレンドしてトマトやベーコンなどの具材を煮込んだものがイタリア風のカレーです。また魚介類をトマトベースで煮込んだスープ、ズッパ・ディ・ペッシェに唐辛子やスパイスを加えて煮込んだカレー風の料理も、イタリア人の間では広く親しまれています。
ワサビ
アブラナ科ワサビ属に属するワサビは日本ならではの香辛料。漢字では山葵と書きます。独特のツンとした香りで世界的にも知名度が高く、特に日本食ブームを経て日本食が定着しつつある欧米では「wasabi」で通じるのだそうです。
ワサビは山間地の冷たい清流で自生、栽培されるほか、田んぼでも作られます。このように水の中で育てるものを水ワサビといい、主要産地は静岡県や長野県、岐阜県や東京都です。また畑で育てるワサビもあり、こちらは畑ワサビといいます。主に山口県や鳥取県、広島などで栽培されています。
使用するのは根の部分で、生のものをのの字を書くようにしてすり下ろすと、香りが高く辛みも強くなります。家庭では市販のチューブ入りの練りわさびが手軽で人気です。
寿司や刺身など生魚にしょう油と一緒に付けて食べるほか、蕎麦やお茶漬けなどの日本料理にも薬味として重宝されています。また欧米でも肉料理のソースにワサビを使用することがありますね。また畑ワサビは酒粕と合わせてわさび漬けにされ、ご飯の副菜としても親しまれているのです。
ワサビにはビタミンCが豊富に含まれるほか、辛みの元であるからし油は食中毒や抗ガン作用、血栓を予防する効果もあるといわれ最近注目を浴びています。魚の臭みを消したり、食欲増進効果も期待できます。またわさびには優れた殺菌・消臭・抗菌効果があるため、食用以外にも消毒液や抗カビ剤として用いられるという、日本を代表する優秀なスパイスなのです。
魚
どんな食材にも合うカレーですが、そういえば魚のカレーはあまり見かけたことがありませんね。海の幸を使ったシーフードカレーもありますが、具材は魚というよりイカやえび、貝類がメインです。
ところがインドやバングラディシュなどの南アジア地方では、肉と同様に魚を使ったカレーが日常的に食されています。これらの国々は海に面しているため、豊富に採れる魚介類は人々にこよなく愛される身近な食料源。カレーの材料としても定番なのです。日本も海に囲まれた島国ですが、魚をカレーに入れるという発想は定着しなかったのだといいます。ちょっぴり残念ですね。
特に、教科書に「ベンガル人は米と魚でできている」と書かれるほど魚と米を愛するバングラディシュでは、魚カレーが国の看板料理であり、とてもポピュラーな存在になっています。またシンガポールではフィッシュ・ヘッド・カレーと呼ばれる、魚の頭を煮込んだカレーが名物です。なじみのない人が初めて見ると大変驚きますが、スパイシーな辛さと魚のダシがうまくマッチしたコクのある味わいで、食べる人をやみつきにさせる美味しさなのだそう。また日本でも、味が淡白な白身魚のカレーはレシピも多数出ていて人気があります。気になるのは魚特有の臭みですが、身を十分に洗う、油でからっと揚げ、臭み消しの効果があるスパイスを使う、などの方法で臭みを消すことができますので、ご安心ください。
サラダ
サラダは辛くて刺激の強いカレーと一緒に食べるにはぴったりの副菜です。
レタスやみず菜などの葉ものにトマトやブロッコリーを添えてさっぱりさせてもいいですし、キャベツや豆でコールスローサラダにしても口直しになります。またポテトサラダはボリュームがありますし、ほくほくした食感がカレーの辛さを和らげるためワンクッション置きたいときにピッタリです。
サラダの材料の組み合わせ方だけでも色々なバリエーションが考えられますが、ドレッシングを変えるとさらにテイストの変化を楽しむことができます。しょう油ベースの和風ドレッシング、ペッパーの風味がアクセントのイタリアンドレッシング、マヨネーズと酢の酸味が美味しいフレンチドレッシングをはじめ、クリーミーで風味豊かなゴマドレッシング、ゴマ油が効いた中華ドレッシングなどなど、ほかにも様々な種類のドレッシングがあります。市販のものを使ってもいいですし、調味料を揃えて自分で手作りしても楽しいですよ。
スパイスの香りの元
スパイスの多くはそれぞれ特徴的な芳香を持ち、香り付けや風味づけに利用されていますね。この香りの元は、スパイスが持っている揮発性の精油成分にあるのです。
精油は通常スパイスの中に数パーセントという少ない割合で含まれており、数種類の成分が一緒に組み合わされて香りが作られています。精油の含有量や成分の種類が多いほど、芳香も強く複雑になっていくのです。
また精油は英語でエッセンシャルオイルとも呼ばれており、こちらの呼び名はアロマテラピーとしてよく耳にすることがあるのではないでしょうか。スパイスは食用の香りづけに利用されるだけでなく、マッサージオイルとして身体に塗布したりお風呂に数滴落としてアロマバスに使用されたりもします。
料理にしてもアロマテラピーにしても、スパイスの精油には1日の疲れを吹き飛ばしてくれる力があるということですね。
ナッツ
種実類と呼ばれる硬い皮に覆われた果実や種子のうち、木の実をナッツと呼びます。一般的には乾燥させて殻や種皮を除いたものが食用として使用されています。
アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類は、カレーに香ばしい香りをプラスしてくれます。また油脂分が多いため、こってり感をプラスしたいときなんかもいいですね。
インドではカシューナッツを水と一緒にミキサーにかけ、なめらかなペースト状にしてカレーに加えるそうです。こうするとマイルドでコクのあるリッチな味に仕上がるのだそう。生クリームやヨーグルトなどの乳製品を混ぜる場合もあります。
アーモンドは細かく砕いてもいいですしスライスタイプのものもあります。煎ることでさらに香ばしさが増すので、風味をアップさせたい時に使うといいでしょう。欧風カレーとの相性がしっくりしてお勧めです。
ナッツ類はたんぱく質が豊富で抗酸化力が高く、動脈硬化や心臓疾患を防ぐ働きを持っています。しかし栄養価が高い食材ですが同時にカロリーも高く、アレルギーがある人もいるため、調理に使う場合は使用する量を調整したり、誰が食べるかを把握しておくよう注意しましょう。
ジュニパーベリー
ヨーロッパ北部を原産とするヒノキ科の常緑針葉樹の実をジュニパーベリーといいます。直径7mm前後の暗紫色の丸い実で、乾燥させてスパイスにします。甘さと苦味のある香りを持ち、ジンの香りづけには欠かせないスパイスなのです。
ジュニパーベリーはドイツやフランスのキャベツの漬物であるザワークラウト、牛や鹿などの肉料理によく使用されます。またドレッシングやバーベキュースパイスなどのミックススパイス、フルーツの砂糖漬けにも味のアクセントとして使われています。
主な効能に消化促進や利尿作用があるため、むくみや水太りの解消に効果的であることが有名。そのほか、肝臓や腎臓、リウマチにも効き目があるといわれています。
スパイス貿易
ヨーロッパやアジア、アラビア地方では何千年も昔から薬用、防腐、料理用としてスパイスが使われていました。当時は大変高価なものとして扱われ、貴族が少量ずつ大切に保管しながら使っていたそうです。様々な効能を持ち人々の生活を潤してくれるスパイスは、商売の中心として各国で取引されるようになっていきました。
紀元前1世紀にはローマ人がスパイスを求めてエジプトからインドへと航海をはじめ、中国ではシルクロードが陸路として用いられるようになり、それから数世紀の間東西交流がさかんに行われるようになりました。その後いったん交流が衰えたものの、11世紀になると十字軍が東西の交流を再開させ、十字軍の食料供給地であったイタリアのベニスとジェノバがその時代の貿易を独占するようになりました。14世紀にはこの両国がスパイスなどの貿易の主導権をめぐって争い、勝利したベニスがその後約100年の間東洋との貿易を独占するようになります。
15世紀の大航海時代になるとコロンブスがアメリカ大陸を発見し、新しいスパイスをヨーロッパに持ち帰りました。またポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマはインド西岸にたどり着き、インドの国王と取引きの約束を交わしたことで、ポルトガルとインド間でスパイス貿易がさかんに行われるようになりました。この頃から自由競争による値がつけられるようになり、スパイスをめぐって覇権争いが繰り広げられるようになっていったのです。その後主導権はポルトガルからオランダ、オランダからイギリスへと移り変わり、18世紀になってようやく事態が収拾しました。
今でこそ私たちも身近に購入できるスパイスですが、かつては一国の隆を左右するほどの価値を持つ存在だったのです。なんだか信じられない話ですが、多くの人々がスパイスをかけて一生懸命生きたのだと思うと、ちょっぴりじんときてしまいますね。
ほうれん草
ほうれん草はペルシア地方を原産とし、日本では北海道や埼玉、千葉などが主要産地となっています。アクが少なく甘みのある東洋種はおひたしなどさっぱりした料理、肉厚でアクが強い西洋種はバターなどで炒めると美味しく食べられます。また最近は東洋種と西洋種の一台雑種品種として交雑種が開発され、広く親しまれています。
ビタミンAやビタミンCが豊富な緑黄色野菜で、ビタミンB1 ビタミンB2、葉酸なども多く含まれています。ちなみにアクにはカルシウムと結びつくと腎臓で結成を作るシュウ酸が含まれますが、たっぷりのお湯で茹でると溶け出してしまいます。
ほうれん草は鮮やかな緑色がカレーに映えるため、彩りのよさが人気を呼んでいます。またカレーにはスパイスが使われており、ほうれん草特有の味をうまく包み込みながらほのかに風味を残してくれるため、ほうれん草が苦手な方でもカレーなら大丈夫!という話を耳にします。自宅で料理する場合は、生のものをそのまま加えるのではなく、ミキサーにかけてペースト状にしたり炒める・茹でるなどひと手間加えると、アクが抜けたり、味をマイルドに仕上げることができるので、試してみてくださいね。
チャツネ
チャツネは野菜や果物にスパイスを加えて作る調味料で、カレーの薬味として使われます。
鍋にマンゴー、桃、リンゴなどの果実にスパイスと酢、砂糖を入れて煮込み、とろとろジャム状になったら完成です。ネパールではアチャールと呼ばれています。
しかしインドやアフガニスタンなどの地域では、ソース状のものよりも果実の原型を残し、漬物と同様に扱う場合が多いようです。日本では昔どこの家庭で味噌を手作りしていましたが、チャツネもその家庭ごとにオリジナルの味が存在します。唐辛子など刺激の強い香辛料を加えた辛味の強いタイプのものや、ヨーグルトやミントを混ぜすっきりマイルドに仕上げたものがあります。
カレーの薬味のほか保存食やドレッシングとして利用されます。
チキン
チキンは皆さんご存知の通りニワトリ肉のことです。鶏肉というと合鴨や七面鳥などの鳥類を指すこともありますが、一般的には多くの場合ニワトリの肉を指します。
チキンは味が淡白でクセがないため、から揚げやフライドチキンなど様々な料理に使用されています。もちろんたくさん種類のあるカレーの中でも、チキンカレーは人気の高い定番メニューです。
インドでは最もカレーに使う頻度の高い肉はチキンだといわれており、そのためニワトリは紀元前1700頃から飼育されていたといいます。インド地方ではブツ切りにした骨付き肉をそのままじっくり煮込んだカレーがポピュラー。一方ヨーロッパや日本では胸肉やもも肉など柔らかい部位を一口大に切って使用することが多いようです。
チキンの品種には大規模な鶏舎で合理的に生産されるブロイラーと、ブロイラーを飼料などで独自の工夫を加えて育てた銘柄鳥、伝統的な放し飼いで育てた地鶏(比内鶏・名古屋コーチンなど)があります。ブロイラーは脂肪が少なく低下カロリーな点が長所ですし、地鶏はその地方ならではの味や風味を持っているところが魅力。ひとくちに鶏肉といっても、品種を変えると異なった味のカレーを楽しめることができそうですね。
ニゲラ
二ゲラはきんぽうげ科の一年草で、南ヨーロッパや西アジアが原産。ニゲラという名前には「黒い」という意味があり、黒い種ができることからこのように名付けられました。日本ではクロタネソウとも呼ばれています。また八重状の花びらと繊細な葉が見る人にはかない印象を与えるため、英語では「ラブインアミスト(霧の中の恋人)」とも呼ばれているそうです。
ちなみスパイスとして使用するのは種の部分。17世紀のヨーロッパでは飲み物や甘味料
として利用されていました。現在はインドを中心に種をホールのまま煎り、野菜や豆料理の香り付けに使用したり、上からパンやケーキなどに振りかけて風味を加えるのに活躍しています。
また二ゲラは乳の分泌をよくし、授乳を促進する効能があるといわれています。見た目の印象も効能も、特に女性にぴったりのスパイスだといえるのではないでしょうか。
ピクルス
ヨーロッパで広く親しまれているピクルスも、カレーにぴったりの付け合せです。ピクルスは英語で「漬物」を指し、香料やハーブを使って野菜を酢・砂糖などに漬け込み、乳酸菌の力で発酵させて作ります。ピクルスにぴったりの食材はキュウリ、セロリ、パプリカ、カブ、人参など様々。野菜だけでなく果物も材料に使用され、家庭によっても味や風味が異なりバリエーションが豊富です。
アメリカではよくハンバーガーにキュウリのピクルスが使われていますが、日本でもピクルスというとこのイメージが強いと思います。キュウリのピクルスは水と酢に砂糖、ローリエやクローブ、胡椒などを加えビン詰めにして浸したり、スパイスを加えた砂糖液に漬け込んでしばらく置いたら完成です。
ピクルスの一番の特徴である酸味は酢を使っているからですが、酢は料理の油を分解する働きを持っています。西欧では脂っこい食事が多いため自然とそうなったのでしょう。
また酢に含まれる乳酸菌は強い殺菌力を持っているので長く保存することができるのです。
ピクルスは苦手だな・・と感じている人も、カレーと一緒に食べると意外な美味しさが発見できるかもしれませんよ。
りんご
「1日1個りんごを食べれば医者を遠ざける」ということわざがあるように、りんごはビタミンCやカリウム、食物繊維が豊富な栄養満天の果物です。
生産量は世界で年間約6千万トン。最も生産量が多い国は中国で、アメリカやフランスもかなりの量を栽培しています。日本有数のりんごの産地といえば青森県ですね。ついで長野、岩手でも栽培がさかんです。
品種も様々で、世界一の生産量を誇るふじ、黄緑色にそばかすのような斑点がついた王林、酸味が強く深い赤色が特徴の紅玉など、それぞれ異なった色や味が楽しめます。
すり下ろしたりんごは、カレーに加えて煮込むとさっぱりした酸味と甘さがまろやかな味になります。そのためこのように隠し味として活用されるほか、りんごに含まれるペクチンという成分は、カレーに加えたときとろみの元となるので、あらかじめカレールーの原料に使用されることもあります。りんごはカレーと相性抜群の果物だといえますね。
中でも酸味の強い紅玉、酸味と甘味のバランスがいいジョナゴールド、甘味と果汁がたっぷり詰まったつがるなどがカレーに向いているということです。
サワークリーム
サワークリームとは生クリームを乳酸発酵させたクリームのことをいいます。発酵バターの原料でもあり、さっぱりした酸味とコクが特徴です。
サワークリームはケーキにそのまま添えたり、チーズケーキの材料として使用されるほか、焼き菓子など様々なお菓子で大活躍しています。また菓子だけでなく料理にもよく使われており、ビーフストロガノフやボルシチなど、ロシアやメキシコ、東欧料理での使用頻度が高くなっています。またしょう油や味噌など和風調味料との相性もいいので、しょうが焼きや唐揚げ、おでんなどに使用されることもあるという、料理のバリエーションが効くクリームだといえるのです。
カレーに加えるとほどよい酸味と風味、そしてコクが生まれて美味しさがアップしますし、味がマイルドになるため、辛いカレーが苦手な方にはお勧めですよ。
ジャマイカのカレー
貿易がさかんで殖民地にされた経験もあるジャマイカには、多国籍の料理が数多く存在しています。その中にはもちろんカレーも含まれていました。
ジャマイカの人々はカレーをカレードチキンと呼んでいます。その名の通り、鶏肉を使ったカレーがジャマイカでは一般的なのです。インドから伝わった食文化がそのまま定着したらしく、見た目も味も私たちが知っているカレーそのもの。ただスパイスを自ら調合する習慣はあまりなく、あらかじめブレンドされた市販のスパイスを使用するのだといいます。
またカレーとは呼べませんが、スパイスを使ったチキン、ジャークチキンはジャマイカで最もポピュラーな料理です。屋台でよく見かけるバーベキュー料理のひとつで、ガーリック、オニオン、タイムなどのスパイスが使用されたスパイシーな味が人気となっています。
ライムリーフ
ライムリーフ(カフィルライム)は熱帯アジアを原産とするミカン科のスパイスです。タイ語ではバイマックルーといいます。葉は2枚ずつ隣り合わせにつながったようなユニークな形をしているのが特徴。果実はでこぼこした凹凸のある表面をしているため、日本では「コブミカン」の名称で呼ばれています。
料理に利用するのは皮や葉の部分で、葉からは柑橘系特有のレモンにも似たさわやかな香りがします。一方果実の皮はもっと強い芳香と苦味があり、すりおろして料理に添えると風味アップに役立つので試してみてくださいね。
エスニック料理、特にタイ料理で使用されることが多く、鶏肉や魚の料理、カレーのスパイスに用いられます。タイで代表的なトムヤムクンには、レモングラス・パクチーなどと一緒に煮出してスープに辛さと酸味をプラスします。
またタイ料理に限らず、ベトナムやインドネシアなどの東南アジアでもスパイスとして料理に用いられているそうです。
カレーとスプーン
インドでは手をそのまま使ってカレーとご飯をすくって食べますが、日本ではスプーンを使って食べるのが一般的です。普段はスプーンにこだわることはあまりないと思いますが、カレーを食べやすいスプーンの条件とうものがあるのでご紹介しましょう。
まず、スプーンの素材はステンレス製が軽くて持ちやすいという特徴があります。ステンレスは熱を通しやすいため、適度に温まったスプーンでカレーを口に入れるので違和感もありません。銀製のものは重くてやや持ちづらいですが、レストランでカレーを食べるときや高級感を演出したいときにはこちらのほうが活躍してくれるでしょう。
また最近では木製のスプーンも登場し、スプーンを口に入れたときの優しい感触や、インテリア食器として見た目にも嬉しいという特徴が人気です。
次に形です。カレーを食べるとき、つい口の周りにカレーがついてしまうことがありますよね。これを防止するために、先の部分がやや細くなったカレー専用タイプのスプーンが出ています。またお皿のふちにスプーンをひっかけておけるように、柄の先端がストッパーになっているものもあります。
このようにカレーの食べやすさを追求するならば、自然とスプーンの形状や材質にも相性のいいものが浮かび上がってくるのです。おもしろいですね。
ちなみに、刑務所ではつい最近までカレーは箸で食べられていましたが、受刑者からの要望や刑務所の運営改善の目的に合わせ、スプーンを食器として使用することが認められるようになったそうです。やはり食べやすさは欠かせない要素なのだなと、ふと感じたニュースでした。
ポーク
ポークとは豚肉のことをいいます。カレーにはポークカレーとしてよく登場しますね。豚肉は最も消費量の多い食肉で、牛肉の約3倍の消費量があるそうです。ちなみにイスラム教では豚は浮上なものとされているため、インドでは食を禁じられています。
豚肉は必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のタンパク質で、スタミナの元であるビタミンB1はなんと牛肉の10倍も含まれています。他にもビタミンAやビタミE、カリウムやリンなども摂取できる、栄養価の高い食肉です。
豚肉は7つの部位に分けられており、ヒレ、ロース、肩、肩ロース、バラ、もも、そともものとなっています。カレーに使用するなら、厚切りにしたばら肉がお勧めです。脂身と赤身が両方交じり合って層を作っているので、しばらく煮込んでも肉がぱさつくことがないからです。またシチューに使われる角切り肉は、歯ごたえのあるジューシーな肉の食感を楽しみたいときに向いています。
調理上の注意点をあげるなら、煮込むとアクが多く出るため、こまめに取り除くようにするといいでしょう。
チリパウダー
チリパウダーはアメリカ発祥のミックススパイス。チリペッパーというスパイスがありますが、このスパイスを単純にパウダーにしたものではありません。「チリ」はメキシコで「辛い」という意味で、チリペッパーを含む複数の辛みの強い香辛料を混合してあることからこのように呼ばれているのだそうです。
チリパウダーはチリペッパー(唐辛子)の粉末とオレガノを基本に、クミン、ディル、クローブなどを混合して作られます。名前や赤い見た目の通り、ピリッとした辛さが特徴的です。
主にメキシコ料理で人々に親しまれており、タコスやチリコンカーンには欠かせません。
またピラフやパスタ、チキンの味付けにもピッタリ。
作り方は材料をフライパン等で煎り、粉末にしてからそれぞれのスパイスを調合します。また市販で売られているものにはアメリカタイプと、これより辛味の強いメキシコタイプがあり、自宅でチリパウダーを使って料理する場合はブレンドや種類を工夫し、自分なりの味付けを楽しんでみてください。
サンバル
サンバルはインドネシアなど東南アジアで日常的に料理に用いられるチリソースの一種です。独特のペースト状で、唐辛子に塩、砂糖と加えて作るサンバルウラックや、唐辛子、ニンニク、玉ねぎ、その他のスパイスで作るサンバルジャックなど、甘みのあるものから辛いものまで色々な種類があります。サンバルを使った料理では、ナシゴレンやミーゴレンという東南アジアの焼きそばが代表的です。
また南インドでは野菜や豆のスープ、カレーをサンバルと呼び、ドラムスティックと呼ばれる野菜やナス、大根、オクラなど季節の野菜を組み合わせて材料にします。これはご飯との相性がよく、日本でいうお味噌汁のような存在となっています。
ごはんの美味しさは何で決まる?
カレーライスをはじめ毎日の食卓に欠かせない、日本人の主食ご飯。その美味しさのもとは何なのでしょうか。
ご飯には食味官能評価というものがあり、外観・香り・味・粘り・硬さの5つで美味しさを評価します。中でも私たちがご飯を食べたとき特に美味しさの基準としているのは、弾力や甘みだと考えられています。
米のデンプンはアミロースとアミロペクチンという2種類の成分からできており、弾力はこの2つの比率によって変わってきます。両者の比はうるち米で20:80、もち米では0:100です。これを見ても分かる通り、アミロースの含有量が少なく、アミロペクチンが多い米ほど粘り気があり、もちもちした食感になります。これが弾力です。
また、甘みの根源は炊飯の最中にデンプンが酵素に分解される過程で出てくる糖です。一般的に活性酵素の働きが強いほどデンプンをよく分解するので、甘みのあるご飯になるといわれています。
ちなみに炊き立てのご飯のあのふんわりしたいい香りは、炊飯中にアミノ酸と糖が反応して生成される、カルボニル化合物と呼ばれる成分によるものです。このカルボニル反応では100~1000種類もの成分が生まれ、これらがお互いに合わさって複雑な香りを作り出しているということです。
サフラン
サフランは地中海沿岸や西アジアを原産とするアヤメ科の多年草です。
現在は主にスペインやトルコ、インドで栽培されており、スパイスの中でも最も高価なことで知られています。日本ではなんと宮城県の塩釜市が有名な生産地なのです!ご存知でしたか?
色付けを目的とするスパイスで、使われる部位は花のめしべ。サフランの色素であるクロシンは水溶性ですから、水に溶かすことで鮮やかな黄色を抽出することが出来るのです。
ほろ苦い独特の香りがするため、旧約聖書では「芳香を放つ香辛料」として紹介されています。長時間陽に当てたり空気に触れたままだとすぐ香りが飛んでしまうため、密閉した容器に入れて冷暗所で保存しましょう。
カレーに関するものではご飯をサフランで着色したサフランライスがポピュラーですね。またヨーロッパではブイヤベースやパエリアの色づけになくてはならない存在です。相性のいい食材は米や魚介類のほかにアーモンド、トマト、柑橘類、スパイスではバジル、コリアンダー、シナモン、ローズマリーなどが挙げられます。
サフランの効能は鎮痛、鎮咳、利尿作用など。日本では整理痛や生理不順など、更年期障害など婦人病の特効薬としても処方されています。
カレーのルーとカレーのライス、両方にスパイスを取り入れて、彩どりと健康効果をアップさせましょう。
カレープラント
カレーは様々にブレンドしたスパイスやルウを使って作られます。しかし元々カレーそっくりの香りがするハーブがあるのです。その名をカレープラントといいます。
カレープラントは地中海沿岸を原産とするキク科の多年草の一種です。丸く小さな黄色い花と銀灰色の葉が可憐で、ドライフラワーや切り花などの鑑賞用として人気があります。
名前の由来はもちろん花や葉や茎からカレーの香りがすることにありますが、実はカレー粉の材料には使用されているわけではありません。葉を生のまま食べると胃腸が弱くなってしまうなど、残念ながら直接食用に使うには適さないのです。
その香りの威力を活かし、主にラム肉や魚など臭みのある食材を煮込む場合に消臭効果の意味を込めて利用されるのが一般的です。シチューや蒸した野菜料理などをほのかにカレー風味に仕立てたい時などにも使われます。大量に加えて煮込むと逆にハーブの香りがきつくなってしまったり苦味が出てしまうため、ハーブの1節を料理が完成する直前にさっと入れ、すばやく取り出すのがコツです。
またカレープラントの葉や茎は、火を通すと彩りのよい緑色になるため、料理に添えて鮮やかさをプラスするのに使うのもお勧めです。
サウジアラビアのカレー
サウジアラビアではルビエという、日本でいえばハヤシライスに似たエスニック料理があります。本来中東地域の食文化にとってスープ料理や煮込み料理はなじみの薄い存在であるため、現地ではルビエがカレーだと認識されているわけではありません。しかし見た目がカレーに似ていたり、スパイスを使用していることから、日本ではサウジアラビア風カレーと考えてもいいのでは、という見方もあるのです。
ルビエはひよこ豆やインゲン豆に黒胡椒、オリーブオイル、レモン汁、スパイスを加え、トマトをすりつぶして作ったソースでぐつぐつ煮込みます。カレーと比べると辛さよりも酸味が強く、口当たりがさっぱりしているのが特徴です。ライスのほか、ピタパン、肉や野菜をパイ生地で包んだ揚げ春巻きのようなものなどが付け合わせとなって一緒に出されます。春巻きと一緒に食べるカレーとは一体どんな感じなのでしょう。この辺りが日本にはない、サウジアラビアならではの食文化ですね。
ホタテ
ホタテは二枚貝の一種で、殻が開いた状態が船の帆が立っているように見える、ということで帆立と名づけられました。
ホタテはオホーツク海から東北地方にかけ、浅瀬の砂底に生息しています。自然に生息しているもののほか、養殖もさかんに行われています。旬の時期は冬ですが、冷凍製のものであれば一年を通して食べることができます。
真ん中の一番大きな身の部分を貝柱といい、貝柱の回りのヒダ状の部分をヒモといいます。生のまま刺身で食べても美味しいですし、バターと相性がいいのでバター醤油焼きにしたり、シチューや炊き込みご飯の具に使われたりします。
鮮度のいいホタテを見分けるポイントを挙げると、殻にさわると反応してすぐ閉じてしまうものは活きのいい証拠。殻が剥いてある状態なら、色がつややかで身が引き締まっているものが新鮮です。
ホタテをカレーに使う場合は、バターで焼いたホタテとその他の具材に生クリームを加えてホワイトカレーにしたり、海老などの魚介類と一緒にシーフードカレーの具として使用されることが多いようです。
タンパク質やビタミンが豊富で、カルシウムや鉄分などのミネラルも多く含むホタテは、栄養面でも優秀。糖尿病や動脈硬化を防止する働きのある魚介類特有のタウリンも豊富で、海の代表的なヘルシー食材のひとつだと言えるでしょう。
アチャール
アチャールはカレーの付け合せとしてよくトッピングされるインド風のピクルスです。日本ではご飯のお供に漬物がセットでついてくるように、インドでもアチャールが同じように食卓に欠かせない存在となっています。カレーでいうとらっきょや福神漬けと一緒ですね。
アチャールは野菜や果物を様々なスパイスや酢と一緒にマスタードオイルに漬け込んで作ります。もともとは農作物が不作だったとき、保存食として食べられていたのだそう。
使用される食材は、野菜ですと人参や大根、玉ねぎ、じゃがいも、たけのこ、キャベツ、れんこん、カリフラワーなど。果物だとマンゴー、ライム、レモンなど、ほかにはひよこ豆や梅など、バラエティーに富んだ素材が使われています。
アチャールは酸っぱさと辛さが不思議に交じり合った独特の味わいが特徴ですが、酸味が強いものや辛味が強いものなど色々あります。中でもマンゴーのチャツネは多くの人々から親しまれており、ヒンディー語では辛口にしたものをアームカアチャールと呼び、人気を呼んでいます。
メキシコのカレー
メキシコはハバネロやハラペーニョの原産地で、唐辛子をベースにした辛い料理がポピュラーです。タコスやブリトーなど日本でも親しみのある料理のほか、香辛料をふんだんに使った激辛料理もたくさん存在します。
しかし、実はメキシコにはカレー文化というものは根付いていません。そのため現地の人々がカレーと呼ぶような料理はないのですが、日本人から見てカレーに似た煮込み料理ならばバラエティ豊かに存在しているのです。
例えばサルサソースをベースにスパイスを加え、トマトや牛肉をことこと煮込んだものや、グリーンカレーのような料理があります。またモレソースという、なんとチョコレートを使ったソースを使った料理もあるのです。チョコレートといっても使用するのは甘味のないもので、ほかに数種類の唐辛子、トマト、たまねぎ、ナッツなどがソースの材料となります。これを鶏肉と一緒に煮込み、茶色くなった料理をライスの上にかけて完成。見た目はほとんどカレーと一緒です。
ちなみにメキシコでは、マンゴーやパパイヤなどのフルーツにもスパイスをふりかけて食べる習慣があります。スパイシーなメキシコ風カレーとデザートで、メキシコ気分を味わうのも楽しそうですね。
マスタード
マスタードは別名セイヨウカラシという、黄色く小さい花をつけるアブラナ科の一年草です。日本ではカラシと呼んでいます。ホワイト、ブラック、ブラウンの3つの種類があり、それぞれヨーロッパや北アメリカ/インド/南ヨーロッパを原産とします。
ホワイトマスタードはあまり辛みがなく、穏やか旨みがするのが特徴です。ピクルスを作るのにスパイスとして使います。
反対にブラックマスタードは刺激が強く、ツンと鼻につくような辛さがあります。一度に口に入れると辛くて涙が流れるほどの威力があり、TVでは罰ゲームで大量のマスタードを入れた食べ物を食べる・・なんて光景が見られることも。
ブラウンマスタードは日本では和がらしとして親しまれており、おでんなどの薬味やからし漬けとして日常よく使われていますね。また南インドでは香り付けとして民族料理に欠かせない存在で、油で炒めてから香ばしさを演出します。
スパイスに利用するのは種子の部分です。ホールのまま使ってもいいですし、さやが熟したら乾燥させ、種を取り出して粉末にしたもの、さらに粉末に水を加えて練り、ペースト状にしたものがチューブに入って店頭で売られています。和風・洋風を選ばず身近に使える所が魅力のスパイスです。
カレーペースト
レッドカレーペースはタイでレッドカレーを作るときに使われる、名前のとおり真っ赤な色をした、ものすごく辛い中にもコクのあるペーストです。タイ語でゲェーンペットと呼ばれていますが、これはスパイスを使った辛い煮込み料理という意味です。
使用するスパイスは唐辛子、ニンニク、レモングラス、クミン、カフェライム、ガランガルなど。カレーはもちろん、炒め物やローストチキンの下味なんかとしても優秀な働きをします。
またグリーンカレーペーストは、青唐辛子をベースとしたグリーンカレーには欠かせないペーストです。ニンニク、レモングラス、胡椒、カフェライムやクミン、ナツメグなどを砕き潰して作ります。グリーンカレーはココナッツミルクを入れてまろやかな甘味を加え、具材にはチキンが使われるのが一般的です。
自分で手作りする際は、ミキサーやクロックと呼ばれる石うすでを使ってスパイスを砕いたりすり潰したりします。またどちらのペーストも調合されたものが市販で売られているので、スパイスや器具を揃えるのが難しい場合は手軽に試してみてくださいね。
ザワークラウト
ザワークラウトはドイツやフランスで親しまれているキャベツの漬物で、この地域では庶民の味として家庭の食卓によく並びます。その昔タタールという遊牧民がオーストリアに作り方を伝えたのが始まりだといわれています。
作り方は、縦に切ったキャベツをキャラウェイシード、ディルシードなどのスパイスと塩と一緒に漬け込み、白ワインを加えることもよくあります。
ザワークラウトと相性がいい料理は、ソーセージなどの肉料理。ザワークラウトのスパイスに使用されるキャラウェイシードには消化促進の効果があるため、油っこい肉料理にはぴったりの付け合せなのです。このほかザワークラウトの上にソーセージや豚肉を乗せて蒸したシュークルートガルニもドイツの代表的な料理のひとつ。乳酸発酵による独特の酸味を活かし、ロールキャベツやスープ、サンドイッチやホットドックにも利用されています。
またキャベツはビタミンUやビタミンC、ビタミンKなどを豊富に含んでいるため、風邪の予防や食欲不振、胃腸の荒れにも効果的な栄養価のある付け合せなのです。
具材を炒める順番
カレーは煮込みに入る前に、具材を炒めることからスタートします。
ところで肉と野菜を炒める場合、皆さんは順番をどうしているでしょうか?まずは肉を炒め、そのまま同じフライパンや鍋を使って野菜を炒める、というのが一般的だと思います。これは肉にしっかり火を通すことと、肉から出る油や旨みが後から加えた野菜となじみ、味に深みが出るからです。
また、魚介類は火が通りやすいので、強火でさっといためて次の材料をいれるか、別のフライパンで炒めてあとから加えるなどすると食感や風味を保つことができます。
野菜を炒める順番も、火が通りにくいものから始めるのがよしとされています。
しかし、臭みの強いラムやマトン、消費期限ぎりぎりの古い肉などは野菜と別々に炒めるか、先に野菜を炒めて後から加えると臭みが気にならなくなります。香味が強いセロリやパセリなどの野菜も同様です。
順番を変えるだけで簡単にいつものカレーと一味違う仕上がりになるので、是非試してみてくださいね。
キャラウェー
セリ科の二年草で、原産地は西アジアや北・中央ヨーロッパです。現在の主な産地はオランダ、ドイツ、イギリス、イランやインドなどとなっていますが、そのほとんどは特にオランダで生産されているようです。
別名ヒメウイキョウと呼ばれ、見た目がクミンに似ているのでフランスでは牧場のクミンと呼ばれているそうです。歴史の古いスパイスは色々ありますが、キャラウェーにも様々なエピソードが残されています。紀元前1世紀のローマではアピシウスという美食家として有名な人物が著書の中でキャラウェーを使った調理方法を紹介していたり、エジプトの医学書「エーベルスパピウス」では薬効としての記録が書かれていました。
調理に利用するのは種子の部分。やわらかな甘みとほのかな酸味、そして苦味がキャラウェーの特徴です。
パンやケーキ、クッキーなどの甘い食べ物のほか、ソーセージやキャベツ料理、りんごと相性がいいためアップルパイや焼きりんごによく使われます。またキャラウェイといえばキャラウェイチーズが有名で、ハーブならではの風味の豊かさが人気の秘訣のようです。
薬用としては消化の促進や不良予防を助ける効果があり、かぜ薬や胃腸薬にも原料として
使われます。抗菌作用も期待できるため、油っこい料理の後などに摂取すると効果的です。
フェネグリーク
地中海地方やインド、アフリカなど、雨の少ない温暖な場所で栽培されているマメ科の一年草です。60cmほどの高さに淡黄色の花をつけ、20個ほどの種が入ったさやを実らせます。
原産地は西アジアやギリシアで、古代から料理や薬用として使用されていました。エジプトではお香やミイラを作るのにフェネグリークを利用していたそうで、最も古いとされるものがエジプトの古墳で発見されています。
香りの特徴はカラメルのような甘さとセロリに似た苦味。スパイスとして使用されるのは種子の部分ですが、種はそのままでは苦くて食べられないため、ひと手間加えて軽く煎るといいでしょう。
主にインド料理でよく利用され、カレーパウダーの主原料となっています。またパキスタンやアフガニスタンでは調味料のチャツネにも使われています。この他に、エジプトやエチオピアではパンの中に入れたり、ベルベレという香辛料に欠かせない材料となっています。
フェネグリークはタンパク質が多く、ビタミン・ミネラルも豊富に含まれています。また滋養、健胃、などの薬用効果があるとされ、健康志向の方にはもってこいのスパイスだといえますね!
カレーのブルーミング
カレーのルウの表面が時々緑色に見えることはないでしょうか。湿気の時期やしばらく開封していなかったときなど「カビかな?」と心配したことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実はこれ、カレーのブルーミングという現象なのです。ブルーミングとは、カレーのルーに含まれているターメリックの色素が油脂分に溶け込んで表面に浮き上がり、固まって緑色に見えることをいいます。夏の暑い時期や温度の高い室内に置いておくと油脂分が溶け、ブルーミングが起こるのですが、特に品質に問題はないので安心してください。シチューやハヤシライスのルーでもブルーミングが起こりますが、ターメリックは含まれていないため浮き上がった油脂分で表面は白っぽくなります。
ちなみにブルームは英語で「果実や葉の蝋粉(ロウ物質)」という意味で、元々はチョコレートでも砂糖の結晶が表面に残るシュガーブルーミングや、カカオバターの結晶が表面に現れるファットブルーミングの用語で使われていました。カレールーに起こる現象も同じような原理によるため、これが次第にカレーのルーにも当てはめて使用されるようになったということです。
カシア
カシアはシナモンと近縁のスパイスで、クスノキ科の木の皮を乾燥させて作ります。中国では紀元前2000年以上も前の書物に記録が残されているほど古い歴史のあるスパイスで、聖書にも清めのスパイスとしてその名が登場しています。
原産地はアッサム地方とミャンマーの北部で、今は中国やベトナム、アメリカでも栽培されています。
シナモンよりも甘さと苦味があり、風味が強くなるのが特徴で、塩気のある料理にぴったりです。中華料理に欠かせない五香粉の材料に使われるほか、マトンなどの羊肉料理にも使用されています。また東ヨーロッパや中央ヨーロッパ地方ではフルーツの煮付けやチョコレートなどの甘い菓子類にも利用されているそうです。
サボリー
ミントのようなさわやかさと胡椒のようなピリッとした辛さが特徴のサボリーは、ヨーロッパ南部の料理によく使われるスパイスです。ヨーロッパ東部やイランを原産とするシソ科の一年草で、フランスやユーゴスラビア、アメリカなどで栽培されています。ウィンター種とサマー種があり、どちらかというとサマー種のほうが香りがいいという定評があります。
サボリーは古代ローマの時代から野菜やソースの香りをつけるために使用されてきました。その刺激をそそる香りと、神話に登場するサテュロスという半人半獣が好んだ媚薬だったという説から、ほれ薬としても用いられていたそうです。
セボリーを使った料理というと、豆料理は欠かせません。スープやサラダをはじめ、いんげんやえんどうなどの豆料理には外せないスパイスです。そのため「豆のハーブ」とも呼ばれているんですよ。またソーセージや肉の詰め物にも使用され、セボリーで作ったセボリービネガーでマヨネーズやドレッシングを作るとスパイシーな香りが引き立ち、美味しさがアップします。
気になる効能ですが、消化促進やぜんそくの発作の沈静作用、冷え性などに効くといわれています。冬にぜひ取り入れたいスパイスですね!
トマト
トマトはナス科ナス属の果実で、真っ赤でぽってりした見た目がトレードマークの緑黄色野菜です。ケチャップの原料サラダ、またイタリアではピザやパスタのソースに欠かせない、なくてはならない存在です。
トマトは熟す前の皮の色でピンク系トマト(桃太郎)と赤系トマトに分類されます。日本ではトマト特有の酸味や風味が薄いピンク系が一般的ですが、欧米のトマトは濃い赤やオレンジ色をした、酸味の強い赤系がほとんど。また大きさによって大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトに分類されます。
トマトの代表的な栄養素はリコピン。リコピンは強い抗酸化作用を持っており、がんを予防するといわれています。他にはビタミンCやカロチンといった栄養素が含まれています
カレーには色や酸味を加える意味で赤系のトマトが向いています。フレッシュな生のトマトもいいですが、旨みが凝縮された市販の水煮缶やトマトピューレを使うとまた一味違った味わいになります。またトマトは国や地域、栽培農家によって色も味もバラエティに富んでいるので、カレーに合うお気に入りの種類を探してみるのも楽しいですね。
クチナシ
クチナシは東アジア一帯の山野に広く分布するアカネ科クチナシ属の常緑樹です。
語源は果実が熟してもなかなか割れないことから、「口無し」という意味でとらえられていったことに由来するそうです。別名サンサシとも呼ばれています。
日本では主に本州から南にかけて自生し、外国では中国やフィリピンも主要な産地。強い芳香を放つ純白の花をつけ、赤黄色の果実を実らせます。
果実は漢方薬で山梔子と呼ばれ、消炎や利尿効果を期待することが出来ます。また捻挫をした時は粉状にして湿布にしたり、止血剤として活用します。
園芸用としても人気がありますが、料理には果実を乾燥させて、着色料として利用します。
栗きんとんやサツマイモ、和菓子を黄色く色づけたい時に、熱湯で煎じて色を抽出した液体に素材を漬けたり、生地に混ぜたりします。
なんだか秋になると重宝されそうなスパイスですね。
- 2008/02/22 00:13
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カレーに合うお米
カレーはナン、フォカッチャ、イギリスパンと一緒に食べても美味しいですが、やはり日本人にとってカレーにご飯という組み合わせが最もポピュラーなのではないでしょうか。
以前カレーに合うライスとしてサフランライスやターメリックライスをご紹介しましたが、実は品種や銘柄によって、お米自体にカレーとの相性の良し悪しがあるのだといいます。
カレーに合うお米の条件のひとつに、カレーに絡みやすくなるため体積が小さく表面積の大きい、細長い粒がいいといわれています。またねっとりしすぎずパサパサした食感もカレーに向きです。そのような意味ではタイ米が有名ですが、パサつきが強すぎて苦手な人もいるかもしれません。
この二つの条件を満たすため、サリークイーンや華麗米といったカレー専用の米も開発されました。サリークイーンはインドの米と日本米を掛け合わせたもので、適度なパサパサ感と日本人好みの甘さが感じられます。華麗米は東南アジアのインディカ米と日本米を掛け合わせて作られており、表面は粘り気が少なく中はもちもちした弾力性があるという、まさにカレーライスのためのお米となっているのです。
カレー専用のお米で炊いたご飯にカレーをたっぷりかけたら、一体どこまで食べられるのでしょう。一度試してみたいものです。
きのこ
近年では、カレーにもよく入れられる食材、きのこ。
きのこは子実体という胞子を作る生殖器官を形成する菌類の総称で、昔から豊かな森の中で自給自足の生活を営んできた日本人にとっては大切な食文化です。
縄文時代の遺跡からはきのこ形土製品というきのこの形をした遺物が見つかっています。日本書紀や万葉集などの書物にもきのこを天皇に献上したり、貴族の間できのこ狩りが行われたりしたという記述が残っており、一般家庭できのこが身近に食されるようになったのは江戸時代からで、安定して栽培されるようになったのは大正時代に入ってからだといいます。
きのこは栄養たっぷりのヘルシー食材として、女性や諸外国の人々からも注目されています。食物繊維やミネラル、ビタミンD2、ビタミンBなどが豊富で、特に乾シイタケは食物繊維の含有量が全体の約40%にもなるのです。またきのこは日光に当たるとビタミンD2に変化するエルゴステロールという成分を含んでいるため、数時間日の光に当てるとその量は何十倍にも膨れ上がります。驚きですね。そして野菜と比べてタンパク質が多いことも特徴です。
シイタケやシメジ、なめこやエノキタケ、マッシュルームなどきのこには様々な種類がありますが、カレーでよく使用されるのはシメジやエリンギ、舞茸、そしてマッシュルームなど。きのこ特有の旨みを出すのはグアニル酸という成分で、それぞれのきのこのシャキシャキした食感もまた楽しみのひとつとなっています。
具の下ごしらえ
カレーを美味しく作るには下ごしらえが大切。風味や旨みを出すほか、素材そのものの味を一層引き出すことができるようになります。
たとえば、肉は余分な脂身を切り落とすと臭みが抜けますし、カロリーを抑えることができます。またクローブやナツメグ、オールスパイスを直接肉や魚にふりかけたり練り込んでおくと、臭み消し効果が得られます。ローレルやタイム、オレガノやセージは素材と一緒に煮込んで使うと効果的です。また、下味をつけたい場合はすり下ろしたニンニクや塩・胡椒を素材にまぶしておくとしっかりと味がつくようになります。
野菜は食感を残したいか、それともとろとろ溶かしたいかによって処理の仕方を工夫するといいでしょう。前者の場合、ジャガイモは煮崩れしないメークインを使用したり、一口大に切ったじゃがいもの角をとるとどろどろになりません。またにんじんやナス、ピーマンなどをあらかじめ茹でておいたり、油でさっと揚げて調理の後半に加えると、あっさり仕上げたり香ばしさを演出することができます。
ほかにも素材やカレーの種類、その日の気分によって下ごしらえを工夫すると、楽しさもカレーの仕上がりもぐっと増すので、色々な方法を試してみるといいかもしれません。
- 2008/02/06 18:06
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スターアニス
スターアニスは星型の八角形をしており、アニスやウイキョウに似たよい香りがするため、全く異なる種類の植物ですがこのように名づけられました。大茴香(ダイウイキョウ)、または八角茴香(ハッカクウイキョウ)とも呼ばれ、中国を代表するスパイスとして中華料理には欠かせません。中国原産のモクレン科の植物で、現在の主な産地は中国とベトナムです。
赤褐色の花をつけ、スパイスになるのは果実の部分。特に五香粉という中国のミックススパイスの主原料であることは有名です。ほかには豚の角煮や鴨のロースト、レバーの臭みけしにも使用されており、こってりした料理だけでなく、杏仁豆腐などのさっぱりしたデザートにもよく合います。
またスターアニスに含まれるシキミ酸は、インフルエンザの治療薬であるタミフルの原料のひとつ。アジアでは咳止めや風邪薬にも使われていますし、健胃や鎮痛などにも効果があり、主に消化器系の薬としてとても優秀なスパイスだといえるでしょう。
カレーとメディア
評判のいいカレー屋に行ってみたい、美味しいカレーの作り方が知りたい、そんな時に役立つのがテレビや本、インターネットなどのメディア。
テレビではカレーの特集が組まれたり、美味しいカレー屋をめぐる旅番組が放送されたりることもよくあります。
また雑誌では口コミで美味しいと噂されるカレー屋のランキングが掲載されていたり、料理の本でカレーを取り扱っているものが数え切れないほどあります。
最近ではオリジナルのカレーレシピをインターネットで公開して、カレーを作る際の参考にする人も多くいるのではないでしょうか。
これらはどの料理に関してもいえることなのですが、カレーは特にメディアに登場する頻度、発行される書籍の数が多いように思うのです。やはりカレーは国民的に人気の高い料理である、ということを物語っているのではないか、そんな気がするのでした。
キャラウェー
セリ科の二年草で、原産地は西アジアや北・中央ヨーロッパです。現在の主な産地はオランダ、ドイツ、イギリス、イランやインドなどとなっていますが、そのほとんどは特にオランダで生産されているようです。
別名ヒメウイキョウと呼ばれ、見た目がクミンに似ているのでフランスでは牧場のクミンと呼ばれているそうです。歴史の古いスパイスは色々ありますが、キャラウェーにも様々なエピソードが残されています。紀元前1世紀のローマではアピシウスという美食家として有名な人物が著書の中でキャラウェーを使った調理方法を紹介していたり、エジプトの医学書「エーベルスパピウス」では薬効としての記録が書かれていました。
調理に利用するのは種子の部分。やわらかな甘みとほのかな酸味、そして苦味がキャラウェーの特徴です。
パンやケーキ、クッキーなどの甘い食べ物のほか、ソーセージやキャベツ料理、りんごと相性がいいためアップルパイや焼きりんごによく使われます。またキャラウェイといえばキャラウェイチーズが有名で、ハーブならではの風味の豊かさが人気の秘訣のようです。
薬用としては消化の促進や不良予防を助ける効果があり、かぜ薬や胃腸薬にも原料として
使われます。抗菌作用も期待できるため、油っこい料理の後などに摂取すると効果的です。
セロリ
セロリは暗緑色の葉が特徴のセリ科の植物です。しかし品種によって淡色、黄色などもあるため、淡色野菜として分類されています。南ヨーロッパを原産とし、現在はヨーロッパ、中近東、北アメリカやインド北部で広く栽培されています。
古代ローマ時代には独特の苦味のため食用には使用されず、香料や整腸剤としての働きに貢献していました。17世紀に入るとイタリアで苦味の改良が行われ、食用として使用できるようになりました。現在私たちが通常入手しているのは、この改良後のセロリです。
セロリの香りには、ほのかに苦味のある、独特の強さがあります。茎や葉であれば生食として食べられるため、野菜スティックやサラダに用いられるほか、スープやシチュー、肉料理の付けあわせなどにも使われます。
またセロリの種はセロリシードと呼ばれ、ピクルスやトマトケチャップ、ドレッシングの材料として活躍するスパイスとなっています。効能としては気管支炎、肝臓病や発熱に効果があるといわれています。またよく眠れない時はお茶にして飲むと心が落ち着き、ぐっすり眠るのを助けてくれるそう。苦しい思いから救ってくれる、セロリの香りのイメージ通りの頼もしいスパイスなのです。
甘口+辛口=中辛?
カレーのルーは辛さの度合いを甘口、辛口、中辛と分けて販売されています。
自宅でカレーを作ろうという時、本当は中辛にしたいけれどルーがない、辛口のルーと甘口のルーならあるから混ぜて使おう、こんな方法を試したことがある人は少なくないはず。ところでこのように辛口と甘口のルーを混ぜた場合、中辛製品を使って作ったカレーと同じ味になるのでしょうか。
実は、近い風味にはなるけれど、全く同じ味にはならないのだそう。これはメーカーがルーを作る際、辛味を出すスパイスを単純に機械的な配分で混ぜ合わせているのではなく、スパイスの種類や量、その他の調味料を微妙に変えて辛さに強弱をつけているからなのです。このような細かいこだわりがあって絶妙な風味の美味しいルーが作られているのですね。ちょっと感心してしまいました。
もちろん、辛さの異なるルーを組み合わせてカレーを作っても十分辛さの調整はできますので、自宅で使える簡単な技として利用してみるといいでしょう。
リカリス
リカリスは日本では甘草と呼ばれています。砂糖の100倍以上の甘みのあるグリチルリチンという成分を含んでおり、その名の通り醤油の味付けや佃煮・漬物を作る際に甘味料として使用されてきました。
マメ科の多年草で種類がたくさんあります。アジアをはじめヨーロッパにも広く分布しており、歴史も古くエジプトやギリシャでは古代から薬用として親しまれていたそう。他の植物との調和に優れ、解毒作用もあるということで、漢方薬の中でももっともよく処方に試用される材料のひとつなのです。なんと中国最古の医薬書にはあらゆる薬の中心である「国老」として記されています。すごいですね!
日本へ伝わったのは奈良時代、かの有名な正倉院にも保存されていたようです。
カレーに使用する時はその独特の甘みとわずかな香りを活かし、香りづけのスパイスとして使用されます。またしょう油の味付けや佃煮、漬物や塩辛を作る際も重宝される存在となっています。
ビーフ
牛肉は食肉の中でも値段が高く、高級食材として知られています。他の食用肉と比べると、ミルクのような甘味と独特の風味が特徴です。
輸入ものと国産ものがあり、国産ものはさらに和牛と乳用肉に分けられます。和牛は日本人が好む、赤身に脂肪が細かく入った霜降り肉が多くとれます。繊維がきめ細かく、とろけるような食感が人気の秘訣。しかし飼育にコストがかかるので、現在はアメリカやオーストラリア産の安い牛肉が多く消費されているのが現状です。
牛肉は動物性タンパク質であるほか、鉄分やビタミンB群、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれています。コレステロールやカロリーも考慮しつつ、適当な量を摂取すれば、筋肉をつくったり体を丈夫にしてくれる大事な食料源です。
牛肉はサーロイン、リブロース、ヒレ、肩、肩ロース、ばら、もも、すねなど様々な部位を食用にすることができます。牛タンやレバー、ハラミなどの内臓も焼肉等で人気のメニューです。その中でも、カレーに使用するなら肩やバラ肉がお勧め。これは長時間煮込むと牛肉の味がじわっと浸透するためです。ちょっとリッチに決めたいときは、思い切ってヒレ肉を使ってみるのもいいですね。
ちなみに牛肉は筋繊維がしっかりしているため、冷凍保存に向いています。料理に使用して余ってしまった分を冷凍しても、家庭用冷蔵庫で半年と持つというから嬉しいですね。
カレーの価格
近頃カレールーのメーカーが商品を続々と値上げするニュースが続いています。2007年の9月にはカレールー大手のハウス食品が値上げを表明し、翌月には同じくカレールーの主力メーカーであるヱスビー食品が、約6%から10%価格を上げるという発表を行いました。
またカレールーに限らず、パンやハムといった食品も10%近く値上がりしていますが、これは近年油脂や小麦、香辛料などの原料価格が高騰し、資材などの経費も上昇していることが原因となっています。原料価格の高騰が急であったことと、食の安全に対する感心の高まりに合わせたコスト増加などの理由もあり、今までぎりぎりのところでやりくりしていた価格設定では限界があるため、価格上昇に踏み切ったのだということです。
今後家庭でカレーを作る場合は、具にボリュームを持たせる、しっかり保存して期限を守って使い切るようにするなど、家計に影響が出ないよう、色々工夫してみる必要がありそうですね。
ガラムマサラ
ガラムマサラという名を皆さんよく耳にするのではないでしょうか?クローブやシナモンのようにスパイスの一種だと思われがちですが、実は複数のスパイスを組み合わせて作られるインドの代表的なミックススパイスなのです。
一口にガラムマサラといっても様々で、2~3種類のスパイスを混ぜ合わせて簡単に作れるものから、十数種ものスパイスを配合したものまでその種類や数は無限大。
語源はヒンズー語で「ガラム=辛い・熱い、マサラ=混合スパイス」から来ています。
「辛い」は理解できますが、「熱い」という意味が含まれるのは熱を加えて作られるためです。またインドの家庭ではおふくろの味として料理に使われるので、あたたかいという意味合いが生じたのだろうという説もあります。マサラにはグリーンマサラやチャットマサラなど、ガラムマサラ以外のスパイスも存在します。
ガラムマサラは辛味を味付けるというよりも香りづけがメインです。
主にクローブ・シナモン・ナツメグの3種類がベースとなることが多いようですが、シナモンにカルダモンやメースをブレンドした香りのいいもの、ペッパーとクローブを基本とする辛みの強いものなど料理や好みに合わせて自由にブレンドすることができます。
作り方は、まずスパイスをホールや粒のまま、火の通りにくい順に煎ります。これをすりこぎやミルなどを使って砕いて粉にすれば完成です。
料理に使用する際、香り付けをメインとするなら煮込み料理などで火を止める直前に加えるといいでしょう。また下味や調理中に使うこともあるので、使用する目的や料理に合わせてうまく取り入れるとぐっと風味がアップします。いずれにしろ多すぎず少なすぎず、適量を加えるのがそのスパイスの良さと料理の美味しさを引き立てるコツです。カレー好きの方はぜひ探究してみてくださいね。
カレー粉を使ったサラダ
定番のポテトサラダやマカロニサラダをカレー風味にしてみると、いつもとちょっと違ったサラダを作ることができます。作り方も簡単ですのでご紹介しましょう。
カレー風味のポテトサラダを作るには、ジャガイモを茹で、きゅうり、ハムなど好みの具材を食べやすいように切っておきます。通常はマヨネーズと塩コショウ、酢やレモン汁を加えてあえますが、ここでカレー粉を少々いれる、これだけでOKです。マカロニサラダも同様で、通常の調味料にカレー粉を混ぜてあえると、あっという間にカレー風味のサラダが出来上がります。
上でご紹介したカレー風味のポテトサラダやマカロニサラダは、上にチーズをのせてオーブンで焼いたり、パンにはさんだりするとさらにバリエーションを楽しむことができるので、色々工夫してみると楽しいですよ。ちょっと冒険してみたくなったら、ぜひカレー粉を手にとり、野菜とにらめっこしてみてください。
- 2008/01/04 14:21
- 家庭でできるカレー料理
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ラッシー
カレーのサイドメニューのひとつに、ラッシーというヨーグルトをベースに作られたインドの飲み物があります。ヨーグルトの酸味とさわやかな甘さが、カレーと相性ぴったりです。
ラッシーは地域や作る人によって味の濃さやのどごしが異なるため、色々なバリエーションを楽しむことが出来ます。シンプルなプレーンのほか、マンゴー、バナナ、パパイヤなどを入れたフルーツラッシー、塩を入れたソルティラッシー、砂糖を入れたスウィートラッシーなど、種類も豊富です。
作り方も簡単で、ボールにヨーグルトに水、ミルク、ハチミツ、クリームやレモン水などを好みの分量入れてよく混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やせば出来上がりです。また水分と脂肪分を分離させたい場合は、材料をミキサーにかけて攪乱させます。さらさらした液体のラッシーにどろっとした脂肪分の濃い部分をのせて飲むとおいしいのだそう。フルーツラッシーを作る場合は、一緒にミキサーにかけたり、ジャムで代用してもOKです。
レーズン
給食のドライカレーにレーズンが入っていた思い出はありませんか?
辛いものが苦手でも、レーズンが入っていれば味がマイルドになるから食べられる、という人がいますね。辛くて刺激のあるカレーにほのかな甘みを含んだレーズンは意外とマッチするんです。インドカレーはもちろん、欧風カレーにもよく合います。
レーズンの原産地はカリフォルニア。スペインの宣教師が、夏の暑い日差しですっかり水分の飛んでしまったぶどうをサンフランシスコに送ったところ、たちまち評判になったといいます。レーズンの歴史をさかのぼると、その昔木になったままで自然乾燥していたぶどうを偶然発見した人がいて、それから長い年月をかけてたくさんあるぶどうの種類の中からレーズンにぴったり合う種類を見つけ出したのでした。
レーズンは天日、もしくは人工的に乾燥させて作るドライフルーツです。糖分が多く含まれるためそのままでも充分甘みがありますが、 バターに練りこんでレーズンバターにしたり、ラム酒に漬け込んでラムレーズンにしてもとても美味。レーズンを使ったクッキーやパウンドケーキ、レーズンパンは年齢性別問わず人気の高い料理です。
またレーズンは鉄分、ミネラルやカルシウムといった栄養素も豊富。ポリフェノールや食物繊維も含まれています。貧血や疲労回復、さらにはガンの予防まで、舌だけでなく身体にも美味しい存在だといえるでしょう。
オニオンスライス
玉ねぎを薄切りにしたものをオニオンスライスといいます。カレーに玉ねぎを使うといったら、通常はくし型やみじん切りにして肉や他の野菜と一緒に炒めて煮込む、という図を想像するでしょう。しかし生の玉ねぎを水にさらしたオニオンスライスも、カレーのトッピングとして楽しむことができるのです。
作り方は簡単です。玉ねぎを半分に切り、切り口を下にして繊維に沿ってできるだけ薄くスライスします。こうすると水にさらした時に辛味成分が抜けやすく、マイルドでほのかな甘みを味わうことができます。一方玉ねぎの辛さを残したい場合は繊維と直角に切るといいでしょう。シャキシャキした食感を出すことができます。
またオニオンスライスはカレーの付け合せ以外の調理法でも活躍しています。
しょう油やドレッシング、ポン酢をかけ、かつお節をまぶしておかか和えにしたり、チキンやサーモンと一緒にサンドイッチにはさんだり。気分や好みに合わせ、切り方や使い方を工夫してみるといいでしょう。
ガジュツ
ガジュツはショウガ科ウコン属の多年草で、英語ではゼドアリーと呼ばれています。また和名では、根や茎、包葉が紫色であるため紫ウコン、初夏に花をつけることから夏ウコンとも呼ばれています。
原産地はインドを中心とする熱帯アジア。東アジアや中国、インドネシアやバングラディシュなどにも広く分布しています。日本では屋久島や種子島、沖縄などが良質のガジュツの生産地として有名です。
シネオールやカンファー、セスキテルペン、クルクメノシンなど、あまり耳にしたことのないような成分を100種類以上含んでおり、日本薬局方に生薬として収録され用いられています。しょうがとよく似た用途として使用されるのが一般的で、風邪や鎮痛、消化不良や吐き気などの症状にあてがわれることが多いです。また、シネオールやアズレンなどガジュツに含まれる成分が脂肪やコレステロールを分解・排泄してくれ、ダイエットにも効果的です。
カレーペースト
レッドカレーペーストはタイでレッドカレーを作るときに使われる、辛い中にもコクのあるペーストです。タイ語でゲェーンペットとも呼ばれています(スパイスを使った辛い煮込み料理という意味)。
レッドカレーぺーストを作る際に使用するスパイスは、唐辛子、ニンニク、レモングラス、クミン、カフェライム、ガランガルなど。カレーはもちろん、炒め物やローストチキンの下味なんかとしても優秀な働きをします。
またグリーンカレーペーストは、青唐辛子をベースとしたグリーンカレーには欠かせないペースト。ニンニク、レモングラス、胡椒、カフェライムやクミン、ナツメグなどを砕き潰して作ります。グリーンカレーはココナッツミルクを入れてまろやかな甘味を加え、具材にはチキンが使われるのが一般的です。
自分で手作りする際は、ミキサーやクロックと呼ばれる石うすでを使ってスパイスを砕いたりすり潰したりします。また、調合されたものが市販されていることもありますので、スパイスや器具を揃えるのが難しい場合は手軽に試してみてはどうでしょうか?。
カレーとじゃがいも
カレーに入れる野菜といえば、人参・玉ねぎ・ジャガイモですね。この3つは一部でカレー3種の神器と呼ばれるほどの定番材料です。
じゃがいもの原産地は南アメリカのアンデス山脈の高地で、16世紀末にスペイン人がヨーロッパに持ち帰り広まっていったのだといわれています。日本へは1600年頃の慶弔年間に長崎に伝来しました。インドネシアのジャカルタ(=ジャガタラ)を拠点としていたオランダ人が持ち込んだため、ジャガタラいも→ジャガイモと名前が変遷してきたのだそうです。日本では馬鈴薯とも呼ばれていますね。
世界の主な産地は中国、ロシアやインド、そして日本の主な産地は北海道や九州となっています。
じゃがいもにはいくつか品種がありますが、よく使われるのは段爵薯とメークインです。男爵薯は食感がホクホクしてポテトサラダやコロッケにピッタリですが、煮崩れしやすいのが難点。そのためカレーにはねばりねがあり、荷崩れしないメークインのほうが適しています。
しかしじゃがいもがカレーに溶け込むと甘みやとろみが加わって、舌触りや味がマイルドになりますから、これを好むのであればあえて男爵薯を使ってみてもいいですね!
じゃがいもは常温で長持ちしますが、暗くて温度の高い場所は保存に適しません。
みそ汁や肉じゃが、ポテトサラダやオムレツなど、1日の食事のうち1回はじゃがいもを使った料理が食卓に出てくるほどではないでしょうか。
カレー鍋
日本独自の鍋料理とインドのカレーが融合して生まれたのがカレー鍋です。その美味しさの秘密は和風のダシと、数十種類のスパイスのブレンドからなる旨みにあります。
カレー鍋が広まったきっかけは、カレー鍋専門店が誕生したことにあります。今では市販のカレー鍋のもとが販売されたり、居酒屋のメニューに加えられていたりと、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の人々に慕われる、人気の料理となりました。
鍋に入れる材料は、豚肉、鶏肉、白身魚、にんじん、ブロッコリー、きのこ、玉ねぎ、ねぎ、きゃべつ、油揚げなどなんでもあり。ぎょうざやベーコンなど一風変わった具もカレー鍋とは相性抜群です。鍋の後にはおなじみのうどんや雑炊も、ほかの鍋とはまた違った美味しさで楽しむことができます。食べると体も心も暖まる、寒い季節にぴったりの料理です。
- 2007/12/10 08:47
- ○○カレー、カレー△△
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ラムとマトン
ラムは生後1年未満の子羊のことをいい、臭みは少なく赤味が濃いのが特徴です。一方マトンは生後1歳以上の羊のことで、脂身に独特の臭みがあるため、料理に使用するときはこの部分を取り除いて使用します。
羊肉は日本では豚肉や牛肉と比べると消費が少ないですが、オーストラリアやニュージーランドでは代表的な食用肉です。またフランス料理やイタリア料理では高級な肉として認知され、欠かせない食材となっています。日本で羊肉を使った料理で有名なのは、やはり北海道を中心に盛んなジンギスカンです。他にはスペアリブの香草焼きとして調理されています。
羊肉で注目すべきはその栄養価。ビタミンやミネラルがバランスよく含まれているため健康にいいのです。また他の食用肉と比べると低脂肪でコレステロールが少なく、さらにカルニチンと呼ばれる脂肪を燃焼させる働きを持つ物質が含まれているということで、ヘルシーな美容食としても注目を集めています。
カレーに使用するなら歯ごたえが柔らかい足の部位がお勧め。臭みが気になるかと思いますが、心配はいりません。カレーはスパイスをたくさん使用しているので、しばらく煮込めば臭いも気にならなくなるのです。まだラムやマトンを食べたことがない方は、まずカレーでトライしてみるといいかもしれませんね。
スパイスの保存方法
スパイスはなんといっても香りと色が命。料理に微妙な色あいや風味をプラスしてくれる頼れる存在です。しかし本来は光・熱・湿気に弱くデリケートですので、保存方法を工夫してスパイスをこれらから守らなければなりません。
生のもの、乾燥させてあるものそれぞれに適した保存方法を知っておくと、スパイスを長持ちさせることができます。
生のもの(フレッシュスパイス)は野菜や果物と同じようにあまり保存がきかないため、使う量だけ購入するようにします。使いきれなかった場合はできるだけその日のうちに冷凍してしまいましょう。細かく刻んで水気を切り、冷凍用パックなどに密閉して冷凍庫へ入れておくと、次に調理する時大変便利です。
またオイルやビネガーに漬けるのもお勧めです。ビンや密閉容器によく水気を切った材料をいれ、オイルやビネガーを足し、2週間ほどおいて使う前にこしましょう。香りが液体に移るまで多少時間がかかるため、芳香の強いスパイスを使用するとうまくいきます。マリネやドレッシングに使うと風味がアップしてとても美味しいので試してみてください。
乾燥したスパイスの保存方法で注意したいことは、まずビンに入っている場合は蓋をしっかり閉めること。スパイスの香り成分は揮発性のものがほとんどのため、湿気が入らないよう密閉した場所に保つことが大切なのです。そして戸棚の中や日の当たらない冷暗所に保管し、高温を避けるようにしましょう。
またいつも料理の際に、ビンや容器のスパイスを使う場合は直接振り出し口から振りかけずスプーンですくう、ビンを火のそばに置きっぱなしにしないようにするなど、スパイスの風味を新鮮に保てるようちょっとした心がけをしておくといいですね。
カレー菓子
カレー風○○という料理はたくさんありますが、カレー菓子も小さなお子さんからご年配の方まで馴染みが深いのではないでしょうか。ポテトチップスなどのスナック菓子、せんべいなどは、カレーのピリッとした風味と旨みがきいた美味しさが人気ですね。
このようにカレーの菓子といえば辛くて塩気のあるものが一般的かと思いますが、なんと甘いカレー菓子なるものもあるというのです。特に日本のカレーのルーツが誕生した横須賀では、カレー味のソフトクリーム、クッキーやどら焼きが販売されているといいます。しっかりカレーの味がするものからほんのり風味がついている程度まで様々で、評判もなかなかいいそうです。しかし一体どんな味がするのでしょう、ぜひ自分の舌で確めてみたいところです。
- 2007/11/01 15:54
- ○○カレー、カレー△△
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チャービル
チャービルはヨーロッパ東部を原産とするセリ科の一年草。現在は主にフランスやアメリカで栽培されています。水栽培で簡単に育てることが出来るので、家庭で栽培している人も多くいるようです。
フランスではセルフィーユという別名を持ち、美食家のパセリと呼ばれています。
誠実・正直という花言葉の通り、上品な香りが特徴で苦味や辛みはありません。
ヨーロッパ地方やアメリカではキリストの復活を記念する日にチャービルを食べる習慣があるそうで、希望のハーブとも呼ばれています。
チャービルの効用は発汗作用を高めること。ビタミンC,カロチンなども多く含み、高血圧、風邪を引いてしまった時など料理に使うと効果的です。
サラダの飾りに利用したり、肉や魚のソテーにはみじん切りにして加えたりします。
乾燥させて使うこともフレッシュな状態のまま使うこともできますが、生のものは加熱すると香りが飛んでしまうデリケートな一面を持っています。火を通す場合は仕上がりの直前に加えるなど、特性を上手に利用して料理できるといいですね。ドレッシングや冷たいパスタなどもおススメです。
またフランス料理の調味料として頻繁に使用されるミックスハーブ・フィーヌゼルブには欠かせない定番のハーブとなっています。
カレーにとろみが出ないときはどうしたらいい?
カレーといえば特徴的なのはあのとろみですが、これは小麦粉が加熱されて糊化するためです。しかし、空気中の菌や人間の唾液・味噌・醤油などに含まれている酵素がカレーに混入すると、とろみのもとである小麦粉の粘性を切ってしまい、とろみの出ないカレーになってしまいます。また、煮込んだ際に野菜が煮崩れてカレーとなじむことでもとろみが減りますので、野菜を使わないカレーやシーフードカレーなどはとろみがつきにくく、さらっとした仕上がりになりやすくなります。
このようなときは、じゃがいもやニンジンをすりおろして入れると簡単にとろみを加えることができます。またパン粉を牛乳で溶かしたものや、小麦粉とバターを電子レンジにかけ練り合わせたものを入れてもいいでしょう。この場合、ダマにならないよう様子を見ながら、少量ずつ加えていくのがポイントです。
ちなみにカレーが完成した後も、出来上がったらすぐ蓋をする、残ったカレーは容器に密閉して冷蔵庫に入れて保存するなど、なるべく空気が入らないようにしておくと、とろみのある状態を保つことができます。
スパイスを使うタイミング
スパイスを上手に料理に取り入れるには使用するタイミングがとても重要になります。
スパイスを使用する目的と素材との相性によって、その料理の美味しさを引き出すのに一番適したタイミングがある程度決まっているのです。
例えば素材に味をつける時を考えると、下味をつける場合と調理中に味付けする場合があります。下ごしらえとしてスパイスを使用する場合は、スパイスを素材に漬け込んだりまぶしたりし、しっかりと味が染み込むようにします。調理中に加える場合は煮込んでいる途中のソースやスープに混ぜたり、材料を炒めている最中に上からぱらぱらと振りかけ、全体にスパイスをよくなじませます。料理の色づけが目的の場合も同様です。
また、肉や魚特有の臭みを消したい場合は下ごしらえかこのタイミングで使用するのが一般的となっています。
またスパイスの香りを発生させるもとである精油の成分は長時間煮込んだり高温で焼くなど加熱によって風味が損なわれてしまう恐れがあります。そのため料理に香りをつけたいとう時は、料理が出来上がる直前に加えてさっと取り出すのが上手な使い方です。
ちなみに各スパイスと相性のいい素材や料理を調理の順番に合わせた例です。
・オールスパイス
下ごしらえの段階ではひき肉料理やフルーツケーキなどの菓子
調理中はビーフシチューやアップルパイ
仕上げの際はケチャップや魚のマリネ
ナス
ナスはインドを原産とする野菜で、世界中で様々な品種が栽培されています。特にインド周辺や中国、東南アジアで種類が豊富。日本でポピュラーなのは寒冷地でも温暖地でも栽培可能な紫色の長卵形ナスで、山形や秋田・京都では丸ナス、西日本では長ナスが多く出回っています。
ナスは90%以上が水分で、カリウムとビタミンCが少々含まれています。低カロリーで油との相性がいいのも特徴です。また体の熱をとる効果があるため、高血圧の方にお勧めの食材。「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがありますが、これは秋の美味しいナスを食べ過ぎて体が冷えると妊娠しにくくなるかもしれない、という嫁の体を案じる気持ちが込められているのです。ちなみにナスの紫色の正体は、ナスニンというポリフェノールの一種。ガンや動脈硬化の予防に効果があるといわれています。
新鮮なナスを選ぶには、身がずっしりつまっていてつややかな紫色かどうか、ヘタの部分がみずみずしいかどうかを見てみましょう。煮浸し、焼きナス、天ぷらなどの揚げ物、様々な方法で調理することができます。カレーにナスを入れる場合は、油でさっと揚げるか炒めると、香ばしさがアップして風味のいいカレーに仕上がるのでお勧めです。
上手な米の研ぎ方
ふっくらした美味しいご飯を炊くためのポイントをご紹介します。
皆さんはお米を研ぐときどのようにしているでしょうか?よく聞くのは、炊飯器のボウルにお米を入れ、水を加えて手でかき混ぜながらギュッギュッとこすり合わせるようにして研ぐ→水を捨てて、再度水を加えて同じように研ぐ→これを数回繰り返す、という方法です。しかし、実は現在店で売られている米は、精米機でしっかり磨かれじゅうぶんぬかが取り除かれているため、研ぎすぎるとかえってデンプンが逃げてしまい、甘みの少ないご飯になってしまうのだといいます。水を注いで軽くかき混ぜる→水を捨てる、この作業を3~4回ほど行うくらいが丁度よいのだそう。ただし、お米が古い場合は軽く研ぎ、古米臭を取り除くといいでしょう。
また、ご飯を炊く前に米をしばらく水につけておきます。こうするとアミラーゼという酵素がデンプンを分解して糖が出ますし、水分がひとつひとつの米粒に十分浸透し、炊飯の際に均一に糊化するからです。夏は30分、冬は1時間、そして春と秋はその中間を目安につけるのがベストです。
そしてご飯が炊けてからもうワンポイント。すぐ蓋を開けず、10~15分ほど蒸らしましょう。これは米粒の表面についた水分を内部までしっかり均一に浸透させるため。米粒ひとつひとつがふっくらと甘みのある、美味しいご飯を炊くことができます。
- 2007/10/05 11:38
- 家庭でできるカレー料理
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アサリ
毎日の食卓に欠かせない味噌汁の具でお馴染みのアサリ。実はカレーにもよく使用されているのです。
アサリは日本や台湾、フィリピンなどの内湾の干潟に多く分布します。日本では東京湾や有明海が主な産地です。旬の時期は春や秋。産卵期の1ヶ月ほど前は身がぎっしり詰まっているためとても美味です。逆に産卵が終わった冬は身が痩せてしまうので、美味しさが半減してしまいます。
アサリを調理するときは、まず事前に砂だしを行う必要があります。海水または海水と同程度の濃度の塩水(約3%)につけておくと、簡単に砂を吐き出してくれます。
また加熱の際、火を通しすぎると身が固くなってしまうため、注意が必要。
身が小さいアサリは栄養価値もあまりないように思われがちですが、鉄分やビタミンB1が豊富なため妊婦や貧血気味の人にはもってこいの食材。カルシウムや亜鉛、銅なども多く摂取でき、疲労回復やむくみの改善などに役立ちます。ちなみに旨みの元はコハク酸と呼ばれる成分です。
カレーを作るときは、旨みと栄養がたっぷり詰まった煮汁も是非一緒に加えてみてくださいね。
カルダモン
カルダモンはキリストが誕生するずっと昔から重宝され、紀元前2世紀ごろにインドからヨーロッパに輸出されていたといわれる、世界で最も古いスパイスのひとつです。
原産地はインドやスリランカ、マレー諸島で、現在はベトナムやタンザニア、グアテマラでも栽培されています。
カルダモンはサフラン、バニラに次いで3番目に高価なスパイスで、香水の原料として使用されていたこともあります。通称「スパイスの女王」という呼ばれ方をされることもあるほど!
カルダモンの種類には緑色のグリーンカルダモン、グリーンカルダモンを漂白したホワイトカルダモン、茶色のブラウンカルダモンがあります。スパイスとして使うのはさやの中に入っているゴマ粒大の種子の部分。香りはしょうのうに似ており、口に含むとジンジャーのような清涼感が残ります。
主な効能に消化促進・健胃作用があるので、日本では小豆蒄という名の生薬として日本薬局方に収録されています。インドでは体力増進に効くスパイスとして認識されているようです。消臭効果もあるため、口臭や肉料理の臭い消しにも用いられます。
カルダモンを使った代表的な料理はやはりインドカレーです。ガラムマサラやカレーパウダーの原料として欠かせない存在となっています。辛い料理だけでなく、アイスクリームやケーキ、チャイなどの甘い物、パンなどにもよく合います。また中近東ではコーヒーにカルダモンを入れて客をもてなす風習があるそうです。
カレーまん
寒い時期に食べたくなる人気の中華まん、そのうちのひとつがカレーまんです。
生地にターメリックを練りこむことで皮が薄い黄色に色づけられ、見た目にもスパーシーさが演出されています。
カレーまんの具はひき肉や玉ねぎ、たけのこ、椎茸などをみじん切りにして混ぜ合わせたものにスパイスやカレー粉、その他の調味料を加えて作ります。肉まんのたねをカレー風味にした感じといっていいでしょう。カレーパンの具やドライカレーにも似ています。
ほかほかの皮と濃い目に味付けた具の組み合わせが、癖になる中華まんです。
一口にカレーまんといっても、今では地域やメーカーによって色々なバリエーションのものが出ています。特にコンビ二では店舗ごとにそれぞれこだわりを込めた商品を毎年売り出していて、手軽に食べ比べることができます。今年はどんなカレーまんが登場するか、楽しみですね!
- 2007/09/25 11:48
- ○○カレー、カレー△△
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アジョワン
アジョワンは原産地のインドで古くから使用されていたスパイスで、現在ではエジプト、イラン、アフガニスタンなどの中東・南西アジアでも生産されています。
セリ科の一年草で、主に精油を作るのに利用されるほか、主成分であるチモールには殺菌・防腐効果があるため料理の口直しや歯磨きに使われています。また下痢や消化不良にも効果があるので、現地では各家庭で薬用としても重宝されているそうです。
スパイスとして使用する場合は、種子の部分を乾燥させてホールのまま、または砕いて使います。香りはタイムに似ていますが、風味はもっと刺激的。特にパウダー状にするととても芳ばしい香りがするため、料理にほどよく加えるとタイムと同じような風味を出すことができると代用されることもよくあります。
カレーにはまるごとホールのまま入れるか、他のスパイスと混ぜ、ガラムマサラにして加えたりします。他にも魚を使った料理やパサラというインドのパン、ピクルスなどにも使われ、インド料理で広く親しまれています。
ローリエ
ローリエは地中海沿岸を原産とするクスノキ科の常緑種で、英語ではベイリーフとも呼ばれています。日本では月桂樹の葉を乾燥させた香辛料のことを指し、勝負事をして勝った方に葉のついた枝を月桂冠として頭に載せる行為は有名ですね。
すがすがしい香りと優しい甘さが特徴のスパイスで、ヨーロッパ料理には欠かせません。トマトを使った煮込み料理やポトフによく利用されます。また肉の臭みを消す働きがあるため、よくカレーやスープに利用されます。
風味が強いため1~2枚の葉を加えるだけでじゅうぶんです。この時、葉を折って入れるといっそう香りが広がります。
注意点として、長時間煮込むと苦味が出るため途中で取り出すのを忘れないようにしましょう。一般的には乾燥させて苦味や青臭さを取り除くのですが、生のまま使用することも出来ます。
ちなみに家庭でローリエを乾燥させる場合は、重しを乗せて葉がそり返らないようにし、約1週間~2週間日陰で干して水分を飛ばし完成となります。
ニンジン
ニンジンのないカレーは多くありますが、基本はニンジンはカレーに欠かせない材料です。特に家庭で作るカレーには必ずといっていいほどニンジンが具材に含まれています。生のままだと固くてあまり味はしませんが、加熱することで柔らかくほのかな甘みが出てきます。ニンジンは嫌いだけど、カレーに入っているニンジンなら食べられる、というお子様も多いのではないでしょうか。
切り方は一口大の乱切りや薄く切るイチョウ切り、ドライカレーの場合はみじん切りなどにします。お子様のいる家庭やパーティーの時には型抜きで花形や星型にくりぬいても楽しいですね。
ニンジンはセリ科ニンジン属の野菜で、太くて短い西洋品種と細長い東洋系品種があり、ます。江戸時代に栽培されていたのは東洋系品種ですが、現在スーパーでよく見かけるのは西洋系品種となっています。
なんといってもビタミンA、カロチンが他の野菜と比べて圧倒的に豊富なのが特徴です。鉄分やカルシウム、ビタミンBも含まれていて栄養価100点満点の優秀な野菜です。
- 2007/09/05 20:50
- 家庭でできるカレー料理
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