フェネグリーク
地中海地方やインド、アフリカなど、雨の少ない温暖な場所で栽培されているマメ科の一年草です。60cmほどの高さに淡黄色の花をつけ、20個ほどの種が入ったさやを実らせます。
原産地は西アジアやギリシアで、古代から料理や薬用として使用されていました。エジプトではお香やミイラを作るのにフェネグリークを利用していたそうで、最も古いとされるものがエジプトの古墳で発見されています。
香りの特徴はカラメルのような甘さとセロリに似た苦味。スパイスとして使用されるのは種子の部分ですが、種はそのままでは苦くて食べられないため、ひと手間加えて軽く煎るといいでしょう。
主にインド料理でよく利用され、カレーパウダーの主原料となっています。またパキスタンやアフガニスタンでは調味料のチャツネにも使われています。この他に、エジプトやエチオピアではパンの中に入れたり、ベルベレという香辛料に欠かせない材料となっています。
フェネグリークはタンパク質が多く、ビタミン・ミネラルも豊富に含まれています。また滋養、健胃、などの薬用効果があるとされ、健康志向の方にはもってこいのスパイスだといえますね!
カレーのブルーミング
カレーのルウの表面が時々緑色に見えることはないでしょうか。湿気の時期やしばらく開封していなかったときなど「カビかな?」と心配したことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実はこれ、カレーのブルーミングという現象なのです。ブルーミングとは、カレーのルーに含まれているターメリックの色素が油脂分に溶け込んで表面に浮き上がり、固まって緑色に見えることをいいます。夏の暑い時期や温度の高い室内に置いておくと油脂分が溶け、ブルーミングが起こるのですが、特に品質に問題はないので安心してください。シチューやハヤシライスのルーでもブルーミングが起こりますが、ターメリックは含まれていないため浮き上がった油脂分で表面は白っぽくなります。
ちなみにブルームは英語で「果実や葉の蝋粉(ロウ物質)」という意味で、元々はチョコレートでも砂糖の結晶が表面に残るシュガーブルーミングや、カカオバターの結晶が表面に現れるファットブルーミングの用語で使われていました。カレールーに起こる現象も同じような原理によるため、これが次第にカレーのルーにも当てはめて使用されるようになったということです。
カシア
カシアはシナモンと近縁のスパイスで、クスノキ科の木の皮を乾燥させて作ります。中国では紀元前2000年以上も前の書物に記録が残されているほど古い歴史のあるスパイスで、聖書にも清めのスパイスとしてその名が登場しています。
原産地はアッサム地方とミャンマーの北部で、今は中国やベトナム、アメリカでも栽培されています。
シナモンよりも甘さと苦味があり、風味が強くなるのが特徴で、塩気のある料理にぴったりです。中華料理に欠かせない五香粉の材料に使われるほか、マトンなどの羊肉料理にも使用されています。また東ヨーロッパや中央ヨーロッパ地方ではフルーツの煮付けやチョコレートなどの甘い菓子類にも利用されているそうです。
サボリー
ミントのようなさわやかさと胡椒のようなピリッとした辛さが特徴のサボリーは、ヨーロッパ南部の料理によく使われるスパイスです。ヨーロッパ東部やイランを原産とするシソ科の一年草で、フランスやユーゴスラビア、アメリカなどで栽培されています。ウィンター種とサマー種があり、どちらかというとサマー種のほうが香りがいいという定評があります。
サボリーは古代ローマの時代から野菜やソースの香りをつけるために使用されてきました。その刺激をそそる香りと、神話に登場するサテュロスという半人半獣が好んだ媚薬だったという説から、ほれ薬としても用いられていたそうです。
セボリーを使った料理というと、豆料理は欠かせません。スープやサラダをはじめ、いんげんやえんどうなどの豆料理には外せないスパイスです。そのため「豆のハーブ」とも呼ばれているんですよ。またソーセージや肉の詰め物にも使用され、セボリーで作ったセボリービネガーでマヨネーズやドレッシングを作るとスパイシーな香りが引き立ち、美味しさがアップします。
気になる効能ですが、消化促進やぜんそくの発作の沈静作用、冷え性などに効くといわれています。冬にぜひ取り入れたいスパイスですね!
トマト
トマトはナス科ナス属の果実で、真っ赤でぽってりした見た目がトレードマークの緑黄色野菜です。ケチャップの原料サラダ、またイタリアではピザやパスタのソースに欠かせない、なくてはならない存在です。
トマトは熟す前の皮の色でピンク系トマト(桃太郎)と赤系トマトに分類されます。日本ではトマト特有の酸味や風味が薄いピンク系が一般的ですが、欧米のトマトは濃い赤やオレンジ色をした、酸味の強い赤系がほとんど。また大きさによって大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトに分類されます。
トマトの代表的な栄養素はリコピン。リコピンは強い抗酸化作用を持っており、がんを予防するといわれています。他にはビタミンCやカロチンといった栄養素が含まれています
カレーには色や酸味を加える意味で赤系のトマトが向いています。フレッシュな生のトマトもいいですが、旨みが凝縮された市販の水煮缶やトマトピューレを使うとまた一味違った味わいになります。またトマトは国や地域、栽培農家によって色も味もバラエティに富んでいるので、カレーに合うお気に入りの種類を探してみるのも楽しいですね。