ベトナムのカレー
ベトナムカレーはサツマイモやココナッツミルクが入った、甘くてまろやかな味が特徴です。とろみはなく、スープのようにさらっとしています。辛さは控えめですが、日本と同様ライスにかけたりパンと一緒に食べるのが一般的です。
作り方は、まず肉や野菜にカレー粉をまぶし味をなじませておきます。しばらく置いたらこれを鍋かフライパンにあけ、ガーリックやレモングラス、シナモンなどのスパイスと一緒に炒め、ココナッツミルクを入れて煮込みます。日本では最後にカレールウを入れて煮込みますから、手順の違いがおもしろいですね。
またベトナムの市場では様々なカレー粉やカレーペストが売られており、自分たちでオリジナルのスパイスを調合している家庭も多くあるそうです。残念ながら日本でベトナムのカレー粉を入手するのは難しいので、自宅で作ってみたいときは、チリパウダーやターメリック、コリアンダー、シナモン、クローブなどベトナムのカレー粉に使用されているスパイスを参考にしてみるといいでしょう。
セージ
セージはシソ科サルビア属の多年草で、地中海沿岸を原産地とします。500種類以上もの変種がありますが、一般に店頭で売られているのはコモンセージという品種です。
現在の主な産地はギリシャ、イタリア、トルコ、ユーゴスラビアなど。ヤクヨウサルビアの別名を持つように、古代ローマ時代から万能薬として人々に重宝されてきました。「長生きしたい者は5月にセージを食べよ」「庭にセージを植えているものは不老不死」などということわざもあるほどです。
利用するのは葉の部分。乾燥させ、表面が白っぽくなったものは品質がいい証なのだそう。渋みとわずかな苦味が感じられ、主な効能に殺菌消毒作用があるため豚肉や鶏肉、鯖など魚の臭み消しにはもってこいです。
また消化促進や精神安定効果も期待でき、食後の胃もたれに効くともいわれています。
料理ではソーセージや挽き肉の詰め物を作る時に、乾燥させた葉の粉末や生の葉をそのまま細かく刻んで加えます。またタイムやローズマリーなど、ほかのハーブと一緒にオリーブオイルに混ぜて野菜やシーフード、オーブン料理の下味に使うとおいしいですよ。
またハーブティーや観賞用としても人気があります。
豆類
インドでは宗教上の理由から肉を食すことを禁じる風習がありました。そのためベジタリアンが多く、豆は貴重なたんぱく質のもととして重宝されていたのです。また豆には植物が育つための栄養が蓄えられているため、栄養の貯蔵庫としても人々の健康を支えていました。
世界中には色々な種類の豆があります。インドや北アフリカではレンズ豆、アメリカではいんげん豆、ヨーロッパ地方ではひよこ豆やソラマメなどがそれぞれ原産で、その地域で昔から人々に食されてきました。日本でも大豆が納豆や豆腐の原料として、また小豆は赤飯や和菓子の材料として人々に愛されています。
カレーによく使用されるのはひよこ豆やレンズ豆、いんげん豆など。乾燥した状態の豆を水で柔らかく戻し、炒めたり煮込んだりして調理されます。手間をかけたくない場合は水煮缶が便利です。
豆の植物性たんぱく質は動物性のものと比べ良質で、必須アミノ酸が豊富です。またビタミンB群、カリウム、サポニンという老化を防ぐ働きのある成分も含まれており、健康はもちろん美容にも大変効果の高い食材なのです。
豆カレーは豆のほくほくした食感やほのかな甘味が美味しいだけでなく、体を丈夫にキレイにしてくれる、一石二鳥の効果が期待できるカレーだといえるかもしれませんね。
オールスパイス
中央アメリカ、西インド諸島などの熱帯を原産とするフトモモ科で、また緑色の未熟な果実を天日で乾燥させたものがオールスパイスです。主な産地ではジャマイカが最も有名です。
名前の由来はクローブ・シナモン・ナツメグをミックスしたような香りがすることにあります。さわやかで心地いい芳香に加え、かすかな苦味とピリッとした刺激が感じられる味が特徴です。
オールスパイスをヨーロッパに持ち込んだのはコロンブスですが、紀元2世紀頃にはマヤ・インディオが王の遺体の周りにオールスパイスを防腐剤として敷き詰めて使用していたといいます。
主な効能に殺菌・抗菌、油の酸化防止のほか、消化促進など消化器系の症状を和らげる効果もあります。また精油として薬品の香りづけにも利用されます。
料理ではソーセージやハンバーグ、牛肉のローストなどと相性がよく、トマトの煮込み料理やスープなどに加えても効果的。もちろんほかのスパイスと混ぜ合わせカレー粉にすることもあります。また食品メーカーではケチャップやソースの香りづけに使われる、重要なスパイスとなっています。
タラゴン
タラゴンの原産地はシベリアや西アジア。現在の主要産地はフランス、オランダなどです。キク科のハーブでよもぎの仲間ですが、見た目は特に似ていません。
タラゴンには種類が2つあり、ひとつはフランス種、もうひとつはロシア種です。フランス種は甘く強い香りと、葉っぱ特有のかすかに苦味のある香りが特徴です。ロシア種は甘みのある芳香はありませんが、同様にピリッとした苦味が感じられます。
タラゴンはエストラゴンという別名でも呼ばれており、フランス料理によく使われています。特にエスカルゴ料理にはなくてはならない存在で、美食家達にとても愛されているのです。また鶏肉や卵料理、クリーム系のタルタルソースなどと相性がよく、ワインビネガーにタラゴンを漬け込んで作るタラゴンビネガーは、ドレッシングやピクルスに作りに使用されています。