ペッパー

日本ではコショウ(胡椒)としてお馴染みのペッパーは、下味をつけたり味を調えたり、どんな料理でも大活躍する調味料。最も身近なスパイスのひとつではないでしょうか。もちろん、カレーを作る時にも使われることがあります。

ペッパーはコショウ目コショウ科のつる科の植物。ブドウのように房状になった果実部分をスパイスとして使用します。原産地はインドで、主にアジアの熱帯地方で育成されています。
ペッパーの種類にはブラックペッパー、ホワイトペッパーのほかピンクペッパー、グリーンペッパーなるものもありますが、カレーによく使われるのはブラックペッパーとホワイトペッパー。この2つは同じ果実を加工して作られるのですが、どの時期に収穫するか、収穫後の後処理をどうするかによって異なる色や風味に仕上がるのです。

ブラックペッパーは、実が青く未熟な状態で収穫し、山積みにして発酵させ、天日干しにして色が黒くなるまで乾燥させます。皮の部分に香り成分がふくまれていて、風味も強いのが特徴です。牛肉など肉料理との相性がいいですね。
またホワイトペッパーは果実が黄緑色になり、完熟してまばらに赤みを帯びてきた頃に摘み取ります。袋に入れた果実を数日間水に浸し、やわらかくなった皮をむいて天日干しにします。こちらはブラックペッパーよりもマイルドで上品な香りがするため、魚料理によく合います。

カレーのスパイスに使う時は、ピリッと強い刺激が欲しい場合はブラックペッパー、反対に味をまろやかに調えたい場合などはホワイトペッパーを、それぞれ使い分けてみてください。

カレーとクラーク博士

「少年よ、大志をいだけ」の名言で有名なクラーク博士ですが、実はライスカレーと関わりの深い人物としても有名です。


クラーク博士は札幌農学校の教師で、生徒に飲酒を禁止させたり毎日賛美歌を歌わせたりと、“道徳教育に熱心なジェントルマン”といった存在でした。
はるばる外国からやってきたクラーク博士は、日本の子供たちが貧相な体つきをしていることが気にかかりました。その原因が日本人は米ばかり食べていることにあると思った博士は、タンパク質のある食事を摂らせようとメニューを洋食にシフトさせることにしたのです。
そこで出されたのが「主食はパンを推奨する、そしてライスカレー以外の米飯は全面禁止する」という規則。


なぜライスカレーはいいの?と疑問に思うのではないでしょうか。カレーならほかの具材からタンパク質を摂取することができますし、日本人が主食として好む米を全く食べられないのもかわいそうだという理由からそうなったといいます。また、当時は米が高価だったため、毎日の食事でご飯を炊くだけの米を買えなかったことも関係しているようです。


クラーク博士とカレーに関する文献には様々なものが残っていますが、古いものでは『恵迪寮史(けいてきりょうし)』が有名です。これには札幌農学校ではパンを推奨し、カレー以外の米飯が禁じられていたという一連の話が記されています。また『新北海道通信使』という文献には、何と一日おきにカレーが出されていたという記録が残っています。現在の私たちより頻繁に食べていたことになるのですから驚きですね。


ちなみにライスカレーと呼ばれるようになったいわれには、「ご飯」よりも「ライス」の方がハイカラな響きだから、という説や、クラーク博士が名づけ親ではないか、とする説があります。しかし、博士が日本に来訪する前に記された公文書には、ライスカレーという意味の「タイスカレイ」という言葉が使われており、真相ははっきりしていません。


何はともあれ、クラーク博士が少年たちをカレーで育てたことは事実です。
少年が大志を抱くには、原動力としてカレーのような栄養のたっぷり入った食事が必要なのかもしれませんね。

シーフードカレー

イカやエビ、タコなどの魚介類を使ったシーフードカレーは、たっぷり入った海の幸とヘルシーさが人気の秘訣です。

カレーに相性がいいといわれている具材といえばエビ、アサリ、タコ、イカ、貝、ホタテなど。これら魚介類にはタウリンという旨み成分が含まれているため、肉や野菜のカレーでは出せない独特の味わいをカレーにもたらしてくれます。
また、タウリンは高血圧や動脈硬化の予防、血液中の中性脂肪を減らす作用などがあるといわれており、栄養面でも体を助ける効果をたくさん持っている嬉しい成分です。

さらに魚介類にはタンパク質やミネラルが豊富に含まれています。タンパク質は資質、炭水化物に並ぶ三大栄養素で、筋肉の元となり体をつくる上で欠かせない存在です。
そして体のバランスを整える働きを持つのがナトリウムやカルシウム、鉄や銅などのミネラルです。ミネラルは骨や歯の成分となったり、ホルモンや神経のバランスを整えたりしてくれます。
ローカロリーで体に優しい様々な効果が期待できる魚介類は、健康にいいものを食べたい人や「最近太り気味で・・・」という人にとても嬉しい食材なのです。

ちなみに、日本人は1年間に1人当たり約60 kgに相当する量の魚介類を食べているといわれています。これは世界で5番目に多い消費量です。日本は周囲を海に囲まれていますから、身近な食材として魚介類は昔から大切な食料源だったようです。

カツカレー

カツカレーといえば食堂メニューとして、また食欲旺盛な育ち盛りの子供たちにも人気のメニューです。ご飯の上にとんかつを乗せ、上にたっぷりとカレーソースをかけたものが基本のスタイル。キャベツの千切りが加えられることもあります。

カツカレーの発祥地は日本。その起源には諸説あるようですが、一体どのようにして誕生したのでしょうか。
カレーが日本に伝わったのは明治時代、とんかつが誕生したのは大正末期です。諸外国の食文化が徐々に日本に浸透してきた時代で、当時人々の間で話題になっていた食べ物はそばとすし、とんかつはその後に続いて世間に広まりました。とんかつは浅草・上野など下町の庶民料理として生まれたといわれています。

そんな外来のカレーと日本独自のとんかつを結びつけたのも東京・下町の人だったという説が有力。「河金」という東京のとんかつ屋で、店に来ていた客からの要望で丼にご飯を乗せ、カレーをかけたのが元祖だというものです。また東京の銀座にある「グリルスイス」という洋食店でプロ野球選手の一人が発案したものが広まったという説もあります。

ちなみに、とんかつ以外にもビーフやエビなどのフライ、コロッケなどを乗せたカレーライスがあります。またカレーパンやカレーうどんなど、日本発のカレーを使ったオリジナルメニューはやはりバリエーションが豊富ですね。

アニス

スパイスは様々な用途、効能がありますが、今回紹介するアニスもそんなスパイスのひとつです。
原産地は地中海東部の地域やエジプト。セリ科の一年草で、茎の部分はセロリと食感が似ているため、野菜として食用にもされています。スパイスに使用するのは鼻をつくような芳しい香りがする種子の部分。甘草に似た香りがするのが特徴です。

アニスをカレーに入れるとカレーのしつこさがなくなり、さっぱりとした甘みが加わります。しかし入れ過ぎると甘みが強くなってしまうので注意が必要。
このような香りの特性を活かし、アニスはケーキやドーナツの菓子作りには欠かせない存在となっています。また口の臭いを消す消化剤として使用されている他、古代エジプトでは王様の死体をミイラにするための防腐剤として使われていたというエピソードも残っているのですから驚きです。

元々アニスは古代ギリシア時代には薬草として人々に扱われていました。母乳の分泌を促進する、てんかんを予防する、くしゃみがとまるなど、アニスにまつわる効能には様々な説があったようです。それだけ刺激的で強い香りを持つ、インパクトのあるスパイスだったのですね。

ガーリック

ガーリックといえば日本でもおなじみの薬味、にんにくのことです。原産地は中央アジア、日本では青森県が主な生産地で、現在は国内シェアの約70%を占めています。
ガーリックは紀元前からエジプトやインド、ローマ、中国などで使用されていました。戦乱の絶えなかった時代、滋養強壮効果のあるガーリックはスタミナ源として将軍や兵士たちに重宝されたというエピソードが世界各地に残っているようです。

最近は生のにんにくのほかにもパウダー状のものがビン詰めで売られ、用途の幅もぐっと広くなっています。生のままであれば炒め物の時にみじん切りにして炒めたり、薄くスライスして肉や魚のソテーに添えたりします。パウダーならガーリックトースト、チャーハンやピラフなどのご飯ものにさっと振りかけて味や風味付けに利用できます。

口の中に広がる刺激的な香味が特徴のガーリックは、もちろんカレーの風味アップにも一役も二役も買っています。
鱗茎(りんけい)と呼ばれる球根部分を、生のまま乾燥させて粉状にし、ほかのスパイスと混ぜ合わせて使用するのです。
独特の香りの強さがガーリックの良さですが、臭気が強すぎるのが難点。臭いが気になる場合は、使用する量やタイミングを調整するとよいでしょう。また、食後に牛乳を飲むと臭いを消すのに効果的ですよ。

火を止めてからルーを入れるのはなぜ?

家庭でカレーを作るのに固形ルーを使用することはよくあると思います。
そこで、そろそろ材料が煮込まれ、「さあカレーのルーを入れよう!」という段階になった時、いったん火を止めてからルーを入れますよね。これはなぜでしょうか?

カレーの固形ルーは何種類かのスパイスの組み合わせと、鶏がらなど旨みを出す調味料、塩、砂糖に油、そして小麦粉で作られています。小麦粉には70%ほどデンプンが含まれているのですが、デンプンは熱によって固まり、ダマになってしまうという作用を持っています。これを糊化といいます。
鍋が高温のままルーを割り入れると、ルーの表面だけが熱によって一気に糊化し中身を閉じ込めてしまうため、口当たりのざらっとしたカレーが出来上がってしまうのです。
これを防ぐために、いったん火を止めて鍋の温度を下げてルーを入れ、ルーが表面からゆっくり溶け出せるようにするというわけです。

ちなみに、小麦粉の糊化は60度から始まり、80度前後でとろみがついた状態になります。火を止めてからいったん鍋を濡れ布巾の上に置いてあら熱を取ると、ちょうど80度~85度前後になりますので、この方法を試してみると滑らかな口当たりのカレーを作るのに役立ちますね。

チャパティ

チャパティはインドやパキスタンで主食として食べられているパンのひとつです。特に北インドでは家庭料理として手軽に作られています。アーターと呼ばれる全粒粉に水と塩を加えて練り、クレープ生地のように薄く丸い形にして焼き上げたものです。

作り方を簡単に説明しましょう。まずアーターに塩をひとつまみ加えて混ぜます。次に水を少量ずつ加え、粘り気が出るまで手でこねます。硬さの目安は油粘土をイメージするといいでしょう。全体がまんべんなく同じ硬さになったら、ぬれた雑巾をかけて約30分寝かせます。通常、パンを焼く時は生地を発酵させますが、チャパティではその必要はありません。ここまでが生地作り。
ではいよいよ焼き始めましょう。
生地をピンポン球くらい手にとって手の平でまるめ、棒で薄く丸くのばします。
そしてタワーと呼ばれる鉄板、ない場合はフライパンを代用し、弱火にかけて生地を乗せます。
表面が乾いて少し膨らんできたところでいったん生地を持ち上げ、鉄板・もしくはフライパンを火から下ろし、生地を直火に乗せます。生地がクレーターのようにぼこぼこ膨れてきたら反対に裏返し、軽く焦げ目がつくまで焼いて完成です。

さて、この地方の主食といえばナンを思い浮かべることが多いと思いますが、実は一般家庭ではあまり食べられてはいません。ナンは大きな釜で大量の火力を要して作るのですが、そのような設備が整っている家庭は少ないのです。また、ナンは卵を使用して作られているため、動物性食品を摂取しないインドのベジタリアンは食さないといいます。
チャパティの方がごく一般的に食べられている、なじみの主食なのだそうです。

焼きカレー

普段、食べなれたカレーライスも、ひと工夫加えるだけでまったく違った味わい方ができます。例えば、焼きカレー。

焼きカレーの始まりには諸説ありますが、福岡県北九州市を発祥とする説が有力です。1955年頃の門司港繁華街、栄町銀天街にあった喫茶店。当時、余ったカレーをオーブンで焼いてみたところ、とても美味しくできたので、のちにお店のメニューとして出したのが始まりだそうです。現在、門司港周辺には20軒以上の焼きカレーを出すお店があり、それぞれに個性を生かした焼きカレーを出しています。そんな焼きカレーは、門司発祥のご当地メニューとして、観光客の間でも人気を博しています。
焼きカレーの作り方はさまざまですが、ひとつ簡単なものを紹介します。まず、耐熱皿にバターかマーガリンを塗り、ご飯を入れます。そこにカレーとチーズをのせ、お好みで生卵を割り入れてオーブンで焼けば出来上がり!パセリをふりかけたり、ブロッコリーをのせてみたりするのもいいでしょう。とても香ばしく、おいしいので、前の日のカレーが余ったときなどに、ぜひお試しください。

カレールウ

自宅で手軽にカレーを作ろうと思えば、カレールウは不可欠です。野菜や肉を入れ、煮込んだところにカレールウを放り込めば、簡単においしいカレーが出来上がります。
実は、このカレールウは日本生まれなのです。1914年(大正3年)、東京・日本橋の岡本商店が、元祖カレールウともいえる「ロンドン土産即席カレー」を発売しました。これは、現在の固形状のカレールウとは違い粉末状だったようです。しかし、粉末をお湯で溶き、肉や野菜を煮込んだ鍋に入れるだけで完成するところは、現在のカレールウと変わりありません。

そんなカレールウですが、その原型は、明治時代から存在したと言ったら、驚かれるでしょうか。1906年(明治39年)に、東京神田の一貫堂から発売された「カレーライスのタネ」。カレー粉や極上の生肉を混合乾燥し、固形状にしたもので、お湯をかけて溶かして食べるというものだったそうです。カレールウと言うより、レトルトカレーの元祖と言ってもいいかもしれません。はたして、味はどうだったのでしょうか?とても気になります。きっと当時の人たちはその斬新な発想に驚いたことでしょうね。

タンドリーチキン

タンドリーチキンはスパイスの利いた漬け汁にとり肉を浸し、タンドールと呼ばれる壷窯で焼いたグリル料理です。インドのパンジャーブ地方に伝わる定番メニューのひとつで、レストランなどで単品としてはもちろん、カレーのサイドメニューとしても人気があります。

作り方を簡単に紹介します。まずは下準備。味付けはコリアンダー・クミン・ターメリックなどのスパイスとヨーグルトを混ぜた漬け汁に、塩、コショウで行います。使用する種類はこれ以外にも様々で、応用を利かせたレシピも豊富です。家庭で作るならカレー粉をスパイスの代用としても構いません。漬け汁ににんにくや玉ねぎ、しょうがをすりおろして混ぜても風味が増してより美味しくなります。
そしてこれらに肉を漬け込んだ後、高温で熱したタンドールの中に吊して焼き上げます。
タンドールは高温の炭火をうまく循環させる仕組みになっており、余分な油はしたたり落ちてしまいます。そのため本来の肉の旨みが凝縮され、ジューシーに焼き上げることができるのです。家庭では、タンドールの代わりとしてオーブンを使うとよいでしょう。

鮮やかなオレンジ色の照りと香ばしい香りが食欲のツボを刺激します。暑くなるこれからの季節、ビールを飲みながらタンドリーチキンをほおばるなんて最高ですね。

ネパールのカレー

今回はネパールのカレーをご紹介します。
ネパールのカレーはシンプルであっさりした味わいが特徴。ネパールは標高の高い場所に位置しているため(標高約1000mから3000m)、刺激の強いスパイスやこってりした油分は体に負担をかけてしまうという理由からです。

ネパールでは毎日食卓にカレーが出ます。ごはんと一緒に食べる、日本でいうみそ汁と同じような感覚の料理ですね。じゃがいもやにんじんは入っていませんが、口当たりが素朴で優しく、日本人の舌にもなじみやすいようです。

最もポピュラーなものは野菜や豆をスープ状にしたジャネコ・ダルと呼ばれるカレー。ひよこ豆やレンズ豆を使い、色も黄色、緑、赤など種類の異なるものが利用されるので見た目にもカラフルです。味付けは山菜を乾燥させて作ったジンブというスパイスと、コショウ・しょうが・にんにくを使ってシンプルに仕上げます。ネパール人にとっては「おふくろの味」的な存在として親しまれているそうです。

肉を使ったカレーではとり肉を使う場合が多いようです。コリアンダー・クローブなど幾つかのスパイスにガラムマサラを組み合わせ、玉ねぎ・トマトなどの具材を加えて煮込みます。ちなみに味付けがあっさりしていますので、どんな食材やスパイスを試しても味がまとまるという良さがあります。ネパールは多民族国家ですから、それぞれのテイストを取り入れたカレーがまだまだたくさんあるのでしょうね。是非全部試してみたい・・そんな気持ちになってしまいますね。

 1  |  2  |  3  | All pages